神魔戦記 第五十四章

                  「決戦、カノン(Y)」

 

 

 

 

 

 相対する影がある。

 片方は黒い外套。長刃の片手剣を持つ、相沢祐一。

 片方は白い外套。一対の剣を構える、北川潤。

 出会うべくして出会った二人は、いま互いへ向けて一歩を踏み出す。

「一つ訊きたい」

 声は、潤のものだ。

「お前はなんのためにカノンを攻める?」

 ふむ、と祐一は頷いた。

「それを聞いてどうする?」

「どうもしないさ。ただ・・・聞いておくのが筋だろう?」

 気さくな風の笑みが来る。それに対し祐一も笑みを浮かべた。

 剣を構え、姿勢を落とし、しかし笑みは崩さず、

「過去の清算と・・・これからの未来を築き上げるためだ」

「なるほど」

 潤も頷きを見せ、構える。右に持つ剣を下・・・膝の高さへ。左に持つ剣を裏・・・腰の高さで水平に構える。

 独特の構えだ。

 その姿勢から、縦よりも横の攻撃に重点を置いたものだろうか、と考えつつ、口は動く。

「・・・細かい部分は聞かないのか?」

 すると潤は苦笑し、

「例えどんな理由があろうとも・・・、俺は一国の王子として戦う。それだけだ!」

 地を蹴った。

「おぉぉ!」

 裂帛の斬撃が来る。

 魔力付与した剣で受けるが、わずかに押される。

「そういえばそれは永遠神剣だったな・・・。剣格は・・・確か四位だったか?」

「あぁ。永遠神剣『第四位・誇り』だ!」

 ガァン、と強い音と同時、剣が弾かれる。

 ―――力は向こうの方が上か。

 そう思考する祐一の眼前には、残ったもう一振りの剣が横から迫っている。

 それに対し祐一は残った腕を掲げて、

「『光の剣(ライトセイバー)』」

 出現する光の剣でその一閃を受け止めた。

「!」

「そんな簡単に・・・決着が着くと思ったか?」

「はっ・・・。そんなこと―――」

 一際強く剣を弾かせ、潤が後退する。その距離・・・およそ七メートル。

 その間合いに、そして潤の『誇り』に集まっていくマナを感じ、何かが来ると悟る。

 そして潤は一対の剣を中空で交差し、

「―――思ってないさ!」

 振り下ろした。

オーラフォトンレーザー!」

 刹那、その空間を白が染め上げた。

「オーラフォトン・・・! まさかここまで使いきれるとは・・・!」

 強烈なマナを宿した、純白の波動が祐一目掛けて突き奔る。

 しかし、祐一は避けようとしない。避けようと思えば避けられる攻撃だったが、

「受けきって見せるさ・・・!」

 剣を床へ突き刺す。詠唱は済ませてある。

 闇と光。それを紡ぎ、あり得ざる現象をあり得るモノへと変換させる・・・!

「『陰陽の砦(インシュレイト・フォート)』!」

 何かが形成される音が響いた。目に見えるか見えないか、ほぼ不可視に近いその透明な壁は、しかし強固な魔力を成してそこに立つ。

 純白の波頭が―――激突する。

 だが、その矛先は祐一の前に築かれた不可視の砦に遮られ、それ以上前へと進まない。

「なっ・・・!?」

 潤の驚愕の声が響く。

 無理もない。彼にとってこの一撃は自分の持ちえる最強の一撃なのだから。

 それは祐一も雰囲気から悟っていた。だからこそ、失笑する。

「大技をそう容易く使うのが間違いなんだ。これを最強と自負しているのなら。放つときには必殺を心掛けろ。

 敵の力量もわからない、敵の動きも読めてない、敵にダメージを蓄積させていない状況で自らの最強をぶつけるなど愚の骨頂だ」

「くっ・・・!」

 そして潤の一撃は祐一の盾によって完全に消滅した。同時、役目を全うした盾も消えていく。

 その向こうで、祐一は鋼の剣と光の剣。両方を携えて、一歩を刻む。

「お前から向けられる威圧感、圧迫感・・・。これは上に立つ者の、一国の王子としての誇りや決意なんだろう。

 ・・・だが、同時に焦りも感じるな。

 俺がここまで来たことに?

 国が潰れようとしていることに?

 ・・・だがその程度で心を揺らし、いまのようなつまらない一撃を放つようでは―――」

 トン、と軽く床を蹴って、

「―――先は見えているぞ」

 祐一が迫る。

 異なる色を放つ二振りの斬撃を、潤は苦悶の表情で受けるしかない。

「く・・・そ!」

「動きが鈍いぞ。さっきの一撃で魔力を使ったこと・・・。また、それを簡単に打ち消されたことで心が折れたか?」

「舐める・・・なぁ!」

 腹に力を込め、押し返さんと斬り返す。だが、止まらない。祐一の動きが潤を圧倒している。

 その事実に唇を噛み、しかし負けんと潤が言葉を放つ。

「やらせるか・・・! やらせるかよ! ここは俺の・・・俺たちの国だ! お前たちの好きには・・・!」

「お前たち、人間族の国か? 何もせず安穏と暮らす魔族を駆逐する、それがお前たちの国か?

 それとも、ここはカノンの国民だけのものか? 自治領だからと、ワンを蔑むのがお前たちの国か?」

「!?」

「何をしたかまでは知らんがな。だが・・・そうして蔑み、罵倒し、自らに邪魔なものを切り捨てるような国だ。

 ・・・恨まれたところで文句は言えないだろう!」

 激突音が鳴り響く。だが、その剣戟は徐々に、一方的なものへと推移していく。

「俺は半魔半神だ! カノンの者に魔族の子を生んだと神族の母を殺され、人間族に手を出すことのなかった魔族の父を殺された男だ!

 そうして復讐を誓った俺がいま・・・こうしてここに立っている! この意味がわかるか!?」

「なにを・・・!」

「それに共感する者が多くいたということだ! それだけ・・・カノンは腐っているということだ! いまもな!」

「それは・・・一部の過剰な奴らのしでかしたことだ! 俺は、カノンをもっとより良い国へと・・・!」

「守ると! 一国の王子として守ると口にしたのなら! その国に責任を持て!

 知らなかったから許されると・・・これからやるから許せと・・・そんな傲慢を吐くのなら、最初からやって見せろ!」

「・・・なにも、なにも知らないお前が!」

「だが過去は消えない! 募る憎しみという負の鎖は心を絡めて離しはしない!

 だから俺はここにいる! その鎖を解き放つため・・・そしてお前たちができなかった国を自ら作り上げるために!!」

 二振りの剣を勢い良く振り抜く。

「ぐぅ・・・!?」

 気合の乗った一撃は、受けきってなお潤の身体を強く吹っ飛ばした。

 祐一はそれを追いながら、光の剣を消す。かわりに、残った剣の柄に両手を乗せ、魔力を紡ぎ込んだ。

 蔑まれた血を、属性を、思い知らせるためここに成す!

「『陰陽の剣(インシュレイト・ブレード)』!!」

 鋼の剣の回りを黒と白が踊る。それは混ざり合い、包み込み、そこに一振りの剣として体現した。

 振り上げる。その一刀に全ての思いを込めて、

「この一撃は・・・過去と未来を紡ぐ一撃だ!

 受けてみろ―――北川潤っ!!」

 振り下ろした。

 潤は慌てて『誇り』を交差し、マナを具現化しオーラを纏う二本でその一撃を受け止めようとする。だが、

「おぉぉぉぉぉぉ!!」

 ―――その一撃は、止まることなく一閃と化した。

「なっ―――」

 目を見開く潤。

 その視界に映るのは、吹き荒れる血と、斬り飛ばされた左腕と・・・・・・そして砕かれた自らの永遠神剣。

「・・・お、俺の・・・『誇り』が・・・砕・・・か、れた・・・?」

 亀裂が走る。そして、パキィィィィン、という甲高い音と共に彼の永遠神剣『第四位・誇り』は・・・光り輝くマナとなって立ち上り・・・消失した。

「あ・・・がっ・・・!?」

 膝が崩れる。

 自らの能力を底上げしていた永遠神剣が消失し、潤の身体能力が並みの物に戻った反動か。

 彼は左腕から血を滴らせながら、ガクリと力なく項垂れた。

「こんな・・・こんな・・・馬鹿、な・・・!」

 呻くような言葉に対し、祐一はその首元に剣を突きつけて、

「信じられないか? あっさりと負けることが? だがこれが現実だ。

 お前は弱い。それは身体能力だけの話じゃない。・・・思いもだ」

「そんな・・・俺は・・・!」

「別にお前に思いがないとは言わん。いろいろとあるだろう。先程の威圧感も認める。

 ・・・だが、その思いの重みは、俺には遠く及ばない」

 過剰な物言い、ではない。

 純粋な事実だ。

 潤にも思いはあった。この国の王子として生まれた。その責任と、誇りを持って戦おうと、守ろうという強い意志があった。

 だが、祐一はその上を行っていた。

 母を殺された。父を殺された。その復讐としては始まった戦い。

 けれど、続く戦いの中で見つけた思いがある。そして願った夢がある。

 最初に言ったことが事実だ。

『過去の清算と・・・これからの未来を築き上げるためだ』

 そしてもう一つ。

 ここまで自分と共にいてくれた・・・仲間の思いがある。

 だからこそ、祐一は潤を凌駕する。

「祐一!」

 不意に後ろからの声。振り返らずとも気配でわかる。名雪と神耶だ。もう下の兵を片付けてきたのだろう。

 だが、名雪も神耶もそれ以上なにかを言おうとはしなかった。

 ここからは、自分たちが踏み込む領域ではないとでも言うように。

 だから祐一は意識を前に戻す。そして潤の首筋に当てた自らの剣を見て、

『北川潤王子を、殺さないでいただきたいのです』

 そんな言葉が頭を過ぎった。

 が、やはりそれは無理だろう、と考える。

 共に戦ってきた部下たちに見せねばならぬことでもある。

 ―――すまんな、茜。

 心中で一言だけ呟き、剣を振り上げた。そして振り下ろそうと腕に力を込め、

「待たれよ」

 そんな厳格そうな声に動きを止めた。

 その場にいた皆がその声の方向へと視線を向ける。

 そこにいたのは男だ。祐一や潤よりも一回りほど歳をとった男。

 表情は引き締まっている。威厳に満ちている、と表現しても差し障りないだろう。そして身に纏う衣服や装飾から察するに・・・、

「父・・・さん・・・!?」

 潤の驚きと共に紡がれた言葉に、祐一はやはりな、と頷いた。

 そして祐一は振り上げていた剣を下ろし、潤を避けてその男へ数歩近付く。

「カノン国王、北川宗采王とお見受けする」

「いかにも」

 男―――宗采はゆっくりと頷いた。

「なんで・・・父さん・・・!?」

 悲痛な声を上げる潤を一瞥だけして、宗采は祐一へと向き直った。

「君の言葉は聞いていた」

「近くにいた・・・ということですかな?」

「病に掛かっていてな。ここまで来るのに随分と時間をかけてしまったが、な」

 祐一は思案する。

 正直、声を掛けられるまで気配に気付かなかった。が、こうして直に見ていれば、わずかにだが気配を感じる。

 だが、黎亜とは違う。あれは『小さい』と表現すべきだろうが、これは『弱々しい』と言うのが妥当だろう。

 もはや風前の灯のような、そんな気配。

 そんな宗采は、しかし見るだけなら力強い足取りでこちらへ近付く。

「君の名前は・・・なんだったかな」

「相沢祐一です」

「そうか。とすると君の父親という魔族とは・・・あの相沢か」

 ふむ、と頷き、

「なるほど。ならば復讐も納得できよう」

 言って宗采は笑みを浮かべ・・・腰から剣を抜き放った。

 年季の入った、しかししっかりと手入れされた剣だ。そうとわかる輝きをそれは放っていた。

「では、君の望みを成就するためには私を倒す必要があるな」

「そうですね」

「父さん!?」

 驚愕の声を上げる潤に宗采は今一度振り向き・・・笑みを浮かべた。

 そして祐一へと向き直ると、なんでもないことのように言う。

「一つ頼みがある」

「・・・なんでしょうか?」

「君の望みの成就には、私の首だけで十分だろう? 潤は見逃してやってもらえないかね?」

 ピクリ、と祐一の眉が跳ねる。

「それは―――」

「甘いと言われるのならそれも良い。だが、私とて国王の前に一人の親だ。

 愛息子のことを想うても不思議ではなかろう?」

「・・・・・・」

 その言葉を聞いて、祐一に頭に二人の人物が浮かんだ。

 父と、母である。

 ―――親、か。

「だが、病に掛かっているとは言え、私もそう易々とやられてやるつもりはないがな」

 宗采が剣を構える

 気配も弱々しいが、そこには潤と相対したとき以上の威圧感を感じた。

「祐一」

 後ろからの声は、神耶のものだ。

「ルヴァウルの魔術で、いまこの光景は外で戦っている皆に見えるようにした。

 ・・・あとは、祐一だけ」

 頷く。どういった魔術かは知らないが、その方が何かと都合が良い。

 この戦いは、この場で戦っている全ての者が、見るべきことのはずだ。

 だから祐一も剣を構えた。既にその剣から光と闇の魔術は消えており、それはただの鋼の剣に戻っている。

「潤王子のことは・・・あなたの言うとおりにしよう」

「そうか。すまんな」

 呟き、

「では―――参る」

 一閃が、来た。

「!」

 それをすんでで受け止める。

 正直侮っていた。予想以上に早い斬撃に、一瞬虚を突かれてしまう。さらに、

「くっ・・・!」

 重い。

 魔術じゃない。腕力としても祐一の方が勝っているはずなのだが、明らかに祐一の方が押し負けている。

「これが・・・一国の王の重さか・・・!」

「言っただろう! そう易々とは負けん・・・と!」

 切り返しが来る。一撃、二撃、三撃・・・。その一振り一振りの重さに、祐一は王としての重みを感じざるを得なかった。

「ぬぅん!」

 横合いからの一撃を、剣の原で受け止める。そのあまりの衝撃に、ビリビリと肌が痺れる。

 病気を患っていて、魔力も込めず、これだけの一撃を打つことができる。

 これが、一国の王の重さ。思いの深さ。

 それを剣越しに受け、強く感じることができる。

 剣で語る。・・・つまりは、こういうことなのかもしれない。

 ―――なら。

 ならば、こちらの思いも受けてもらおう。

 相手が渾身ならば、こちらも渾身を持って・・・!

「はぁぁぁ!」

 力の限りで一撃を切り払う。そのまま剣戟を繰り返す。

 技などない。魔術など持っての他。

 これは気持ちと気持ちのぶつかり合いだ。

 思いを剣に、願いを剣に、望みを剣に、誓いを剣に。

 そうしてただただ振り抜くだけ。

 そして、その凄まじい剣戟は―――すぐに幕を閉じる。

「おぉぉ!」

 ガキィィィィィィン!

 祐一の一閃が、宗采の剣を破砕する。

「むぅ!?」

「これで・・・終わりだ!」

 そして―――最後の一撃が宗采の身体を深く、貫いた。

「がはっ・・・」

 血を吐き、宗采の身体が弛緩する。しかしその表情は笑みであり、

「見事だ・・・相沢祐一。この国の・・・新たなる王よ」

「・・・・・・北川宗采王。あなたはやり方は間違っていたが・・・その思いは、本物だった」

 フッと、小さく笑う音が聞こえ・・・、

 その身体は、ゆっくりと沈み込んだ。

 

 

 

 終わった。

 神族と魔族の間に生まれ、生き・・・そしてここまで来た。

 母を殺され、父を殺され・・・。

 復讐のためだけに剣を、魔術を磨き、戦いを起こし・・・そしてここが終着点だ。

 復讐は終わりを告げた。

 全て・・・終わった。

「―――いや」

 ・・・否、訂正しよう。終わってはいない。

 自分には、新しい目標がある。夢がある。

 あの頃は、まるで予想もしなかった、未来と言う名の幻想。

 ただただ憎い相手を殺すためだけを考えていたあの頃。

 あの頃の自分がいまの自分を見たら・・・なんと言うだろうか?

『甘い』

 それとも、

『なにをふざけたことを抜かしてやがる』

 とでも言われるかもしれない。

 だが、

 だがこの戦いで得たこと、学んだこと・・・感じたこと。全て嘘じゃない。

 ならば行こう。

 ここは決して終着点などではない。スタートラインだ。

 全ては・・・これから始まるのだ。

「祐一。・・・終わったね」

 だからそんな名雪の言葉にも、首を振る。違う、と。

 振り向き、

「違うさ。始まりは、ここからだ」

 過去の清算は終えた。

 あとは・・・未来への一歩を。

「・・・うん。そうだね」

 名雪が微笑む。その後ろでは神耶も小さく笑っていた。

 頷きを返す。

 そして祐一は剣を納め・・・ゆっくりと周囲を見やった。そして一点で止まる。

 北川潤だ。

 潤は倒れ、どうやら意識を失っているようだ。かなりの血を流している。無理もない。

「名雪。北川潤を連れて栞のとこまで行ってくれ」

「え?」

「元国王との約束だ。・・・遺言くらいは聞いてやらなければな。だから、あいつを死なせるわけにはいかない。頼めるか?」

「うん。わかったよ。もう外の戦いも終わってるだろうし」

 王が死に、祐一のことを次の王と認めた言葉まであった。

 自暴自棄になる者以外は、もう戦意を喪失しているだろう。

 そうして名雪は潤を抱えると翼をはためかせて先に城を後にした。

 それを見届け、神耶の横に並ぶ。

「・・・さて、俺たちも戻ろう。いろいろとやらなければならないこともあるしな」

 促す。が、神耶は動く素振りを見せない。

「神耶・・・?」

「駄目、祐一。・・・どうやらまだ終わってないみたい」

「なに・・・?」

 怪訝に思い、神耶の見る方向へと振り返れば・・・、

「ん・・・?」

 玉座。その横にある通路から一人の少女が姿を現した。

 黒い服を纏い、その氷のような淡い水色の短髪を揺らせた見た目十歳程度の少女は、緩慢な動作でこちらを見る。

 その碧の瞳を見た瞬間、祐一は思わず総毛立った

「な・・・」

 なんだ、と言葉にすらできない。

 その瞳は異質すぎた。こちらの隅々を見通すような、どこまでも深い凶悪なまでに虹彩を放つ碧の瞳を見て、直感する。

 あれは―――魔眼だ。

 加えて、少女からは全く気配を感じない。気配完全遮断能力か・・・あるいは魔力完全無効化。

 そして片手には独特の刻印を刻まれた銃に、残りの手には文字を刻まれたブレスレット。概念武装か、呪具。・・・あるいは法具か。

 まるで少女は・・・戦うために作られたかのような、存在。

「・・・あれは、私と同じ匂いがする。」

「なに・・・? つまりあれは・・・」

 神耶は頷く。

 どうやら、本当に・・・戦うために作られた存在であるようだ。

 ここで祐一は杏の言葉を思い出した。

『なんかカノン軍、城の地下で物騒な実験をやってるそうなのよ』

 つまり、カノンが行っていた実験と言うのは・・・、

「魔導生命体の製作か・・・!」

 視界の先、少女が動きを見せる。

 銃を構え、一言。

「敵・・・見つけた」

 銃口が、火を放った。

 

 

 

 あとがき

 はい、神無月です。

 祐一VS潤・・・でしたが決着はあっさりと。まぁ、両者の能力を比較すれば仕方ない言うかなんというか・・・。

 で、北パパこと国王北川宗采死亡。王として散りました。

 さーて、次回で「決戦、カノン」は終わりです。

 カノンの最終兵器彼女(!)をしかと見よ。

 

 

 

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