神魔戦記 第九十六章
「逃亡、追撃、阻止」
雨脚が強くなりはじめた王都クラナド。
「動き出しました」
クラナド王国全体を覆うほどの巨大な探知結界を張っていた理恵は、すぐさま計画が動き出したことを確認した。
「状況は?」
「隊長の予想通りです。岡崎さんは古河渚さんと共にこちらに向かってきています。
古河秋生さんと古河早苗さんは残って足止めのようですね。坂上さんや芳野さんたちの部隊と交戦状態に入ったようです。
葵ちゃん、兵の展開を」
「了解」
出入り口を封鎖するため、葵が兵に指示を出し始める。
それを横目に、理絵は朋也たちが来るまでのおおよその時間を割り出そうと結界に意識を集中し、
「!」
それを感じ取った。
「――複数の強い気配。……カノン、来ましたか!?」
だが、その気配の出現地点は――王都とラドスの中間。
「いきなり!? ……空間跳躍の使い手でもいるんですか!? 葵ちゃん!」
「なに!? どうしたの理絵!?」
「カノンです! 空間跳躍の使い手がいるようで……! 出現地点はラドスを越えた辺り! すぐにラドスに追撃の連絡を!」
「っ!? わかったわ!」
慌てて駆けていく葵を見送り、理絵は慌てた動作で連絡水晶を取り出した。
連絡する相手はもちろん、
「隊長! カノンが来ました!」
祐一たち十人は空間跳躍で国境都市ラドスと王都クラナドの間――ややラドス寄りに跳んできた。
馬鹿正直にラドスを通るつもりなど最初からない。わざわざ警備が頑丈になっている都市を通る必要はない。
周囲を見渡しとりあえず敵がいないことを確認すると、祐一は一同に視線を向けた。
「さて、今回の作戦だが。最優先は古河渚の保護と亜衣との合流、時谷の救出だ」
「最優先とか言っておきながら三つもあるのか〜。こら大変だね」
「いや、そうでもない」
リディアの辟易とした声に祐一は首を横に振る。
「おそらく亜衣は時谷の近くにいるだろう。だからこの二つは同時にできるはずだ。問題は古河渚の方だろう。
一応事前情報ではラドスに向かってくる、ということになっているが――」
祐一は王都クラナドの方に視線を向け、
「……どうも騒がしい。もしかしたらクラナド軍が事に気付いたのかもしれない」
「そうね。気配の動きが慌しい。何かあったのは間違いなさそうよ」
気配探知の呪具である眼鏡を構いつつ、ルミエも頷く。
「まぁ、どの道時谷たちのことがあるから王都に侵入しなくてはならない。古河渚の保護は王都で行う」
「で、具体的にはどうするわけ?」
「杏。お前ならおおよそ見当はついてるんじゃないか?」
「まぁ、ね」
杏は小さく肩を揺らし、
「ラドスからの増援を防ぐ足止めに数名、王都クラナドの出入り口を強襲、保持するのに数名、王城に潜入する救出部隊が数名、ってところ?」
「ビンゴだ」
そこで祐一は美凪に視線を向けた。
「というわけで、ここでラドスの増援を抑えるのは美凪に頼みたい」
「私、ですか?」
「お前の実力なら足止めくらい容易だろう。国境都市とはいえ、主力は王都だろうしな」
「はい。陛下がそう仰られるなら――」
「あのー、ちょっと良いでしょうか〜」
美凪が頷く直前、会話に割って入ってきた言葉があった。
だぶだぶの袖をそのままに挙手したシャルだ。
「なんだ、シャル?」
「ええとですね、そのラドスの人たちの足止め、わたしにやらせていただきませんか〜?」
思わず、祐一と美凪がキョトンとした。
「わたしはですね、基本的に多数戦闘が得意なんですよ。というより広い場所じゃなきゃ戦いにくいというか……。
多分わたしはお城に潜入しても無力ですし、出入り口なんかで戦ってたらそれこそ辺り一帯壊滅させちゃいそうなんで」
どうでしょう? と小首を傾げるシャルに、祐一はリディアとルミエに視線を投げかけた。
シャルとの付き合いはこの二人が一番長い。この二人はどう見るだろうか、と。
するとリディアは豪快に笑い、ルミエは苦笑を浮かべ、
「はははは、ま、そうだな。シャルはそっちの方が良さそうだ」
「そうね。シャルはもともと武器の特性上、大規模制圧なんかが一番性に合ってるかもね」
二人ともまるで不安に思っていないようだった。
リディアはともかく、現実主義なルミエですら、こう思っているのだ。ラドスの部隊なんかにシャルが負けるはずがない、と。
なら、祐一から言うことは何一つない。
「わかった。それじゃあここはお前に任せる」
「はい。お任せください」
頷き、しかしそこで何か気付いたように手を打って、
「あ、それと。一つお聞きしたいことがー」
「なんだ?」
問えば、シャルは極上の笑みを浮かべて、
「別にこっちから乗り込んで壊滅させちゃっても良いんですよね?」
と、なんでもないことのように言い放った。
これにはさすがの祐一たちも唖然とする。そうしなかったのはリディアとルミエだけで、二人はただ苦笑を浮かべるのみだった。
祐一はようやくを気を取り直し、小さく咳払いして、
「お前の好きにしろ」
「はい♪」
笑顔で頷くシャル。そして次の瞬間、
「――衝撃は風を起こす――」
そのような呪いの言葉を残してシャルの姿が掻き消えた。
いや、よくよく見ればラドス方向に物凄い速度で走っていくシャルの後姿が見える。速度増加の呪具だろうか。
その背中を見送り、リディアとルミエを見やれば、
「ま、あいつはやると言ったらやる奴だよ」
「本当に。街ごと壊滅させなきゃ良いんだけど……」
二人はやはりなんの心配もしてなかった。
シャルのまだ見ぬ能力にどこか期待を感じながら、
「よし、行こう」
再び空間跳躍で跳んだ。
理絵から連絡を受けたのはラドス警備部隊の上層部の人間であり、まだ下っ端の兵たちには連絡が届いていない。
が、事前に準備を整わせる手筈にはなっていたので、ラドスの二つの出入り口にはそれぞれそれなりの兵が集まっていた。
ノルアーズ山脈側と、王都側だ。
ここはその王都側。
集結するように言われたものの未だに状況がよくわかっていない兵士たちには、いまだ緊張感というものがない。
無論、門番なんかなおさらだ。
そのうちの一人が暢気に欠伸なんかをして、目をこすりながら前を見ると、
「ん? なんだ?」
その視線の先、見た目十二〜三といった少女がゆっくりとこっちに向かって歩いてきていた。
特徴的な服で、ボテボテの袖を引きずりながらニコニコと微笑む少女。
門番たちは互いを見やり、苦笑。どうせただの子供だろう、と思い――、
次の瞬間、門番たちの身体は門の中にまで吹っ飛ばされていた。
門扉をぶち抜き転がる門番たち。破砕音が門を震わせる。突如起こった出来事に集結していた他の兵たちも状況について来れない。
「あらあら、職務怠慢ですねー。あなたたちは門番なんでしょう? 突っ立ってるだけなら猿にもできますよ?」
そんな兵士たちを見下ろし、門扉を乗り越えて足を踏み入れてくる少女――シャルロッテ=アナバリア。
吹っ飛ばされた兵が慌てて起き上がり剣を抜いて、
「貴様、何者だ!?」
と、言った瞬間だ。
ゾブリ、と。兵の身体を巨大な剣がぶち抜いていた。
「0点ですね〜」
いつの間にかその大きな袖から身長の五、六倍はありそうな巨大な剣が突き出ていた。そしてシャルはにこやかに微笑み、
「攻撃してきている時点で敵だということくらいわかるでしょうに。屑ですねー。馬鹿は死ななきゃ治らないそうですし、死ねて良かったのでは?」
言って、剣を振り上げる。
兵の身体が真っ二つに切り裂かれ、血飛沫が舞う中……やはりシャルは笑みのままだった。
笑顔のままに人間を容易く殺す少女
そのギャップの怖さ。まるで悪魔にでも魅入られたかのように、周囲の兵たちはシャルの異様さに飲み込まれていく。
そんな兵を軽く見回して、シャルは笑顔のまま肩をすかし、
「駄目駄目ですよー。もう戦意失くしちゃうなんて、それでも一つの街を守る兵士ですか?」
軽く腕を振る。と、次の瞬間大剣が消え、入れ替わるように銃が出現した。
否、それはもう銃と形容するのはおかしいだろう。
言うなれば砲身。人の腕を四本より集めたような太さの砲身がそれぞれ左右に二本ずつ、計四本。
「ま、良いんですけどね。どうせそっちが来ようが来まいが殺すことに変わりはありませんし」
その砲身をガリガリと引きずり一歩を踏み出して、
「――衝撃は風を起こす――」
その靴――『疾風王』に込められた呪いが発動しシャルの身体が軽々と空へ舞う。そのまま砲身を下に向け、
「――触れし物は加速する――」
そして今度は銃に刻まれた呪いが読み上げられ、弾丸が発射された。
銃の名前は『怒濤王』。触れた物体を加速させるというある種単純な呪いであるが、これはルミエの作った一品である。普通なはずが無い。
砲身から銃弾が放たれる。いや、それはもう既に砲弾と言って過言ではない。
拳より二回りほどの大きさの球が強烈な加速を持って大地へ突き刺さる。
それはまるでクレーターのように大地を抉り、爆音と共に砂を撒き散らしていった。
そんなものが人間に直撃すればどうなるか。鎧なんてあろうがなかろうが関係ない。木っ端微塵に砕け散るだけだ。
しかも加速により砲弾の射出が早い。一秒間に三発から四発という驚異的な連射が、四本。合計すれば秒間十二発から十六発である。
一瞬で大地は穴だらけになり、兵士たちは巻き込まれるようにしてひき潰されていく。
兵士たちは逃げ惑っていた。どこに逃げても上空から降る凶悪な砲弾の雨はやってくる。逃げようとして背中から撃ち抜かれた者も少なくない。
「ほらほら、どうしたんです? 反撃もなしですか? ただ駆逐されるのを待つだけですか?」
着地して、シャルは笑みのままに生き残った兵士たちに視線を向ける。
シャルの疾風王はあくまで衝撃を風に変換する呪具。踏み出しという衝撃がなければ跳べないので、滞空はできない。
それを好機と見て、
「うぉぉぉ!」
「うわぁぁ!」
兵士たちは攻撃してくる者と逃げ出す者に分かれた。
「うわ、逃げ出しましたよ。役立たずも良いところですねー。国民の血税で生活してる者としてそれはどうでしょう?」
後ろから迫る兵の剣を軽い動作で頭を下げてよけ、一回転し怒濤王の砲身をその兵士にぶつける。そして、
「――触れし物は加速する――」
呪いを読んで逃げ出した兵士たちの方向に投げつけた。
吹っ飛んだ兵士の身体が加速され弾丸となり、逃げ出す兵士たちを巻き込んで向こうの壁に突き刺さった。
「うあぁぁぁぁ!」
半狂乱で他の兵士たちがシャルに襲い掛かってくる。
だがその攻撃を軽々とかわし、ある兵士の腹に靴を当てて、
「――衝撃は風を起こす――」
今度は別方向に逃げていた兵士の群れに吹っ飛んでいった。
「弱いですねぇ。もう少しどうにかなりませんか?」
そうして再び腕を振る。すると怒号王と代わって最初のあの大剣が左右の袖から現れ、
「ま、無理ですか。雑魚ですもんね、あなたたち」
身体を旋回させた。
周囲に集まっていた兵士たちが一気にその大剣の餌食となっていく。
だが剣が重いのか、振った直後に隙が生まれた。そこに一瞬の好機を見て兵が殺到し、
「――全ては連鎖する――」
次の瞬間、斬られていない者にまで斬撃が奔った。
バタバタと倒れていく兵士たち。その屍の上で、ただ無傷のシャルが微笑んでいた。
その大剣。シャルが持つ呪具の中で、唯一ルミエが製作したものではない呪具。
それは原初の呪具、『アルビカルト』。
事象を連鎖させるという脅威の呪具。
たとえ斬られていない者であろうと斬られた者が近くにいれば空間を越えて斬撃が及び。
たとえ盾か何かで防いだとしても衝撃が連鎖されて身を砕くという、絶対防御不可能の呪具。
この一撃から逃れたければ、回避する他に方法は無い。
「とはいえ、これを使う必要もなかったようですけどね〜」
辺りを見渡せば、死屍累々。動きを見せる兵はもうどこにもいなかい――ように見えたが。
「……まったく。これじゃホント化け物みたいじゃない」
シャルの耳にそんな声が届いた。
声は上方。門の上から。
「あらあら、やっぱりまだ残ってましたか。いや、どうりで数が少ないなぁ、と思ったんですよー」
門の上。そこに敷かれた通路に、青い髪を結い上げた、位の高そうな女性がいた。
「……ったく。まさかそっちから攻め込んでくるとは思わなかったわ。ノルアーズ山脈側に兵を集中させたのはミスだったみたいね」
相良美佐江。それが彼女の名だ。
クラナド軍所属の戦技教官。既に現役を退いて兵の育成をしていた人物である。
その美佐江は、眼下の死体の群れに悲しげな視線をやり、次いでシャルに視線を向け、
「――目標、視認補足!」
手を上げた美佐枝の動きに応じるように、門上の通路に弓を構えた兵士たちが次々と現れた。左右からは剣を構えた兵士たちも。
それらを見やり、
「カノンに最も近い国境都市の警備にしては少ないとは思っていましたが、まだこれだけ残ってましたか」
「当然よ。にしても、随分派手にやってくれたわね。全種族共存とか謳ってる割には敵に容赦ないじゃない?」
「いえいえ、祐一さんはそりゃあ甘い人物ですよ。今回だって身も知らぬ人物を助けるために動いてるんですから。
でも、それは祐一さんであってわたしじゃありません」
シャルは笑顔を崩さず美佐枝を見上げ、
「祐一さんも、リディアも、ルミエも基本的には甘いです。が、わたしは違います。わたしはあの人たちほど甘くはありません。
敵であるなら容赦なく殺しますし、躊躇なんて欠片もしません。死にたくなければどけば良いんです。そうでしょう?」
「あんた……」
「あの人……祐一さんには恩もありますしね? ですからカノンでわたしはそういう立ち位置でやっていこうかなー、と思うんですよ。
汚れ仕事はわたしが引き受けようと、ね。ほら、そういう人間もいないとやっぱり不便でしょう? 皆が皆優しいのは、ちょっとねぇ?」
クスクスと、シャルは袖で口を隠し笑って、
「――ですから、とりあえず死んでくださいゴミ虫ども。わたしと出会ったことを冥界で後悔することですね」
瞼を開けて、禍々しく微笑んだ。
それは、見る者に悪寒を与える絶対零度の笑み。
それに触発されたように美佐枝は手を振り下げ、
「てぇぇぇぇぇ!!」
数多の矢が放たれた。
祐一たちは王都クラナドの手前に出現した。魔族の卓越した視力で、入り口が目視できるかどうかという距離。
気配は多い。渚を逃さないようにするための封鎖か。あるいは――こちらの動きが感知されていたか。
「ともかく、やることに変わりはない。皆、良いな?」
頷くを皆を見渡して、祐一は作戦の概要に入った。
「シャルのおかげでここにはまだ九人のメンバーが残っている。ゆとりを持って行動しよう。
まず出入り口の強襲、そして保持はイリヤ、雪見、杏に頼む。古河渚はここを通るはずだ。杏はいなければいけないだろう」
頷く杏を横目に、続ける。
「そして城には俺と美汐、美凪、神耶、リディア、ルミエでいく。
潜入だからな、リディアとルミエがいなければ話にならないし、敵の主力とぶつかるとすればこのチームが一番確率が大きい。
俺と美凪、神耶は敵と遭遇したときの戦闘要員、美汐は移動要員だ。良いな?」
皆が頷く。そしてここからが作戦のポイントだ、と前置きし、
「まず出入り口側。もしここに古河渚が現れたら、杏と雪見は渚を連れてラドスとの中間ポイントまで下がれ。保持はイリヤ一人に任せる」
「どういうこと?」
「良いか、杏。本来なら出入り口の強襲なんてイリヤ一人で事足りる。だが、古河渚がいた状況では何か起きる可能性もなくはない。
だから杏は渚の判別役、そして――」
「あたしは下がるときの警護役、ってところね」
雪見の言葉に祐一は頷いた。
「で、俺たちは城に潜入し亜衣、時谷と合流したら空間跳躍ですぐさま出入り口まで下がる。そこでイリヤと合流し再び跳躍。
中間地点で杏たちと合流し、最後にラドスでシャルと合流してカノンまで下がる。これが作戦概要だ。何か質問は?」
「万一渚が来なかったら?」
「しばらくは待ってみるが、これ以上は不可能だと判断したところで退避する」
それは仕方ないと最初から思っていたのだろう。杏は小さく首を下に振った。
そんな皆をもう一度見渡し、そして祐一は深呼吸し、
「よし、やろう。美汐!」
「御意」
美汐が空間跳躍の溜めに入る。
ここから一気に城の内部に空間跳躍を仕掛ける。距離も距離だ。それなりの溜めがいる。
「それじゃあ、わたしたちは先に行くわ」
その間にイリヤはそう言ってとっとと王都に足を進めた。
そんなイリヤに祐一は苦笑し、
「わかった。『必ず迎えに行く。待ってろよ』」
「!?」
イリヤが弾かれるように祐一を振り返った。
祐一は日頃あまり見せないような意地の悪い笑みを浮かべていた。そんな祐一にイリヤは頬を膨らませ、
「……ひどい人ね、ユーイチ。あのときと同じ言葉をそっくりそのまま使うなんて」
「俺もそう思うよ」
ここにあゆがいればきっと苦笑を浮かべていただろう。だが他の者たちはなんのことやらわからない。
これは二人が知り合ったときの台詞。だからこれはその当事者たちだけのものだ。
「そうね。『来なくても良いけど、待っててあげる』」
後ろで手を組み、スカートをたなびかせてイリヤは言った。
あのときと同じ、会話。
それを返し、イリヤはどこかご機嫌な表情で王都の方向に足を踏み出していった。
そんなイリヤと祐一を交互に見比べ、聞くべきじゃないかと自己完結した杏もまたイリヤを追い駆けていく。
最初から興味なかったらしい雪見もその二人についていった。
「主様、準備が整いました」
「よし」
皆が美汐の周りに集まる。
良いですか、という視線の問いに祐一は、
「突撃だ」
笑って言った。
その瞬間、王都クラナドの出入り口を固めていた兵士たちは何事が起こったかまるでわからなかっただろう。
突如として凶悪な気配が真上に出現し、封鎖していた門を叩き潰すようにして降って湧いたのだから。
「■■■■■■■■■■■■■――――――――――ッ!!」
魔神が猛る。
獰猛な眼光をした魔神は未だに状況が把握し切れてない兵たちを門ごと斬り崩した。
一撃で門は全壊。兵も二十人ほどが巻き込まれ粉微塵に消し飛んだ。
一撃。たかが一撃である。
何か特殊な魔術を使ったわけでもなく、何か特殊な武器を使用したわけでもなく、何か特殊な能力を伴ったものでもない。
ただ、圧倒的なまでの暴力が、その一撃の正体だった。
「なっ……!?」
理絵は思わず、唐突に現れたその悪の化身のような存在を見て愕然としていた。
なんなんだこれは、と。
このタイミングで来たからには、おそらくカノンなのだろう。が、カノンにはこんな規格外の戦力まで有しているのか。
「はっ――」
思ってしまった。
こんな化け物を持つカノンに、自分たちは本当に勝てるのか、と。
「あら、もう終わり?」
声はその化け物の後ろ。
そこには三人の少女がいて、うち一人、透き通るような白い髪を靡かせた少女が不敵な笑みを浮かべてその化け物の隣に並んだ。
その気配は知っている。先ほど出現した十人のうちの一人の気配だ。
「なんだ。どの程度かと思ったけど、クラナドもたいしたことないのね」
はぁ、と。失望したと言いたげにその少女――イリヤは髪を払い、
「まぁ、どうでも良いけどね。わたしの目的はここを破壊し尽くして、やって来るお馬鹿さんたちを相手にするだけだから。
……ねぇ? ――バーサーカー?」
「■■■■■■■■■■■■■――――――――――ッ!!」
イリヤの問いかけに答えるように、バーサーカーが吼えた。
そして大剣が振り上げられ、
「!」
群がる兵をまるでゴミのように叩き潰した。
一方その頃朋也たちは。
「くっそ……!」
毒吐く朋也。その後ろから数十人という兵士が追いかけてきていた。
既に朋也と渚の追撃命令は王都にいる兵士全員に伝わっていたらしい。どこを走っても兵士に見つかり、追われる形になっていた。
正直、魔眼が使えれば、と思ってしまう。
魔眼さえあれば兵士の百人や二百人、造作も無いことなのだが……。
「朋也くん……」
気付けば、渚が腕の中で服をギュッと握り締めながらこっちを見上げていた。
情けない。渚はこうしてるいまも湧き上がる魔力に身を蝕まれているというのに、自身のことではなくこちらの心配をしている。
それがどうだ。力が無くても守りきると豪語しておきながら、たかがこの程度の困難でいらつきを見せるなんて。
――落ち着け、落ち着くんだ、俺。
クラナドのことだ。こうして踏み切ってきたからには既に周到な準備がなされていたはず。だからこそこうしていたる場所に兵が配置されている。
この程度のことは予想できたはず。そして秋生たちに託されたのだ。約束したのだ。
「大丈夫。大丈夫だ、渚」
渚を心配させないように。渚を安心させるように。
朋也は深呼吸し、心を落ち着けて、笑みを見せた。大丈夫だと。この程度どうってことはないんだと。
それだけは譲れない、守るべき意地だった。
「止まれ!」
再び前方に三人の兵士が立ち塞がる。しかし、
「そう言われて、止まる馬鹿がいるわけないだろーがぁ!」
朋也は攻撃を避けながら真ん中に立つ兵だけを切り捨てて、真っ直ぐに走り抜けた。
全員相手になどしてられない。そんなことをしている間に他の兵に追いつかれてしまう。
朋也は渚を抱えた状態。機敏な動きはできない以上、出来うる限り敵との接触は避けるべきなのだ。
「!」
が、そうも言ってられない人物が朋也の前に立ち塞がった。思わず朋也の足が止まる。このまま突っ込んで勝てるような相手では、なかった。
左右にそれぞれ短剣を持った少女。髪を二つに結って、どこか怒ったような表情を浮かべているその少女は、
「……河南子、か」
「……よっ。随分と暴れ回ってるみたいじゃない」
坂上河南子。鷹文の妻になった、友人だ。
正直、強い。軍に在籍していた頃はあの智代とすら良い勝負していたような実力者だ。現状の朋也の力で、はたして突破できるかどうか。
そうして冷や汗を垂らす朋也を一瞥し、河南子は腹の底からのような深い溜め息を吐いた。そうして頭をボリボリ掻きながら、
「まったく。あんたのせいでこっちは散々だよ、もう」
「そうか。そうなんだろうな」
河南子は既に軍を抜けた人間。それがこうして立ちはだかっているのだ。
国に頼まれたか、あるいは智代に頼まれたのか。どちらにせよ彼女からすれば良い迷惑だろう。
「ま、愚痴っても仕方ない、か。ここに立ってんのはあたしの意思なわけだし」
河南子が短剣を手の中でクルリと回して構える。そして、
「この怒りをいまここで吐き出させてもらうとするよ」
地を蹴った。
「!」
速い。風属性の力を大いに利用して推進剤のように使っているのだろう。
まずは河南子の攻撃を受け止めてスピードを殺してからが勝負だ、と朋也は剣を構え――しかし河南子は朋也の横を通りすぎていった。
「は……?」
思わずポカンと口を開けて河南子の背中を視線で追うと、河南子は短剣を振り上げて、
「どっせい!!」
ゴガァ!! という強烈な打撃音と共に兵士の先頭集団を殴り飛ばした。
短剣に風を纏わせ圧縮し、振り下ろしと同時に敵にぶつけたのだろう。集約された風はさながら巨大な拳となり、兵士たちを吹っ飛ばしていく。
……いや、それよりも、だ。
「河南子? これは一体……」
「鷹文に頼まれたんだよ。あんたを守ってやってくれ、ってね」
「いや、しかしお前は坂上の人間で――」
と言いかけてジロリと河南子に睨まれた。
「そうだよ。坂上の人間が逃亡者の手助けなんかしたらまずいからね。……だからついさっき離婚したよ」
「……は?」
「だーから、離婚したつってんだろぉぉぉがぁぁぁ!!」
と吼えて再び兵士たちをぶっ飛ばす河南子。怒りの捌け口にされた兵士たちはたまったものじゃない。
ボトボトと墜落してくる兵士たちを見据え、河南子は怒りに身体を震えさせる。
いまでも鮮明に思い出せる。
あのとき、肩を掴まれて鷹文が真剣な表情で言った台詞を。
「頼みがある」
鷹文のどこまでも真面目な瞳が真っ直ぐ河南子を捉えていた。
いつもぽやぽやしているくせにこういうところは一丁前に男だなぁ、と感心する河南子の前で鷹文は、こう言った。
「僕と別れてくれ」
とりあえず無言で脇腹を殴っておいた。
「ごふぅ!? か、河南子? なんだよ急に?」
「なんだよ急に、はこっちの台詞だと思うんだけど、鷹文?」
「……河南子、河南子、落ち着いて。目が笑ってない。めちゃめちゃ怖いって! ちゃんと理由はあるんだから!」
「ほう。では説明してもらいましょうかねー。どうしてあたしと鷹文が別れなきゃいけないの?」
すると鷹文はやや顔を俯かせ、
「……僕はさ、ねぇちゃんもにぃちゃんも好きだ。二人が戦ったり、あまつさえどっちかがそれで死ぬのなんて考えたくない。
でも、僕はそれほど強くない。二人を止めることはできないし、何より坂上の僕が二人に割って入ったらねぇちゃんの想いが無駄になる」
でも、と鷹文は顔を上げて、
「河南子は違う。河南子は力だってあるし、僕と別れさえすれば坂上の人間でもない。朋也のにぃちゃんを助けられるじゃないか」
「鷹文……」
「だから頼む、河南子、僕と別れてくれ。そして、朋也のにぃちゃんを助けてやってくれ」
頼む、と鷹文は土下座までした。
鷹文は、昔からとても優しい人間だった。
そして他者のために自らを犠牲にすることを厭わない人間だった。
以前、両親の仲が悪く家族が崩壊しかけたときもそう。鷹文は自らの身を挺してその崩壊を救ったのだ。
魔物に襲われて。傷付いた鷹文を、父も、母も、智代も泣いて心配した。離れ掛けていた家族の心が、そのとき久しぶりに同じになったのだ。
それを見越して、わざと魔物に襲われた鷹文。
鷹文はなにより家族が大切だった。河南子もそれは知っている。それが鷹文という人間の性なのだと。
だって、河南子は……、
「おいこら鷹文」
「へぶぅ!?」
土下座していた鷹文の頭を踏みつけた。そうしてグリグリと床に擦りつけ、
「なに土下座なんかしてんだ。男だろ? そう簡単に土下座なんかするんじゃねぇよ」
「だけど――!」
足をどかし必死の表情で顔を上げた鷹文。それに視線を合わせるように、河南子は膝を折った。
「見くびるなよ。あたしは、あんたの妻だよ? あんたのそういうところ、きちんとわかった上で隣に立ってんだよ。
だからそんな頼み方するな。なんかすんごい腹立つから」
「河南子……」
「さっき言ったじゃん。あたしはあんたに付き合うよ。その言葉に嘘は無い。あたしは、ずっと鷹文の味方だよ」
そうして頭に腕を絡め、引き寄せるようにキスをした。
「ん……」
十秒近い、長い長いキス。そうして顔を離し、河南子は鷹文と額をくっ付け、
「でも、これだけは約束して、鷹文」
「ん?」
「もう一度結婚してくれる、って。全てが片付いたら、また元に戻る、って」
「当然だ。僕の隣は河南子だけだよ」
「へへへ。うん、なら頑張れるよ、あたしは」
そうして立ち上がった。部屋に戻り、引き出しからあるものを取り出した。
軍にいた頃、ずっと一緒に戦ってきた二本の短剣だ。
感触を確かめるように一度二度と握り、振り返って河南子は言った。
「じゃ、行ってくるよ。あの馬鹿を助けにさ」
「あぁ。朋也にぃちゃんを頼んだ」
「――ってことがあったわけよ」
そう河南子が事情を話し終わる頃には、とりあえず朋也を追ってきていた兵は掃討されていた。
恐ろしい。片手間で三十人以上の兵士があっけなくやられていた。しかも全員死んでない。手加減する余裕もあったようだ。
さすがは河南子。智代と互角と言われるだけはある。
「……そうか。お前たちには悪いことをしたな」
「べっつにー。鷹文ならとんでもないこと言い出すとは思ってたわよ」
「にしては随分と不機嫌だな」
するとクワッ! と河南子が勢いよく朋也を睨みつけ、
「当たり前でしょー!? わかってるとはいえ、あたしがバツイチになったとう事実は変わらないのよ!?」
「そ、そうだな、すまん!」
条件反射で謝る朋也。それだけ河南子は怖かった。
そうしてへこへこする朋也を半目で睨み、その腕の中でキョトンとしている渚を一瞥し、大きく息を吐いた。
「……ま、良いけどさ。とにかくさっさと行こうよ。どっか向かおうとしてたんでしょ?」
「あ、あぁ。どうもオッサンが言うにはラドスに向かうと手助けしてくれる人がいるらしい」
「オッサン?」
「古河秋生っつー人だ。……俺たちを逃がすために必死に足止めしてくれてる」
なるほど、と河南子は頷いた。ここに智代や近衛騎士団がいないのはそういう理由なのだろう、と。
正直助かる。河南子としては智代が前に立ち塞がったら勝てる気はしなかったからだ。
「なら、急ごうよ。その人たちのためにも、一刻も早くクラナドを抜けるべきでしょ?」
「あぁ、その通りだな。すまないが、河南子の力を貸してくれ」
すると河南子は口元を崩し、
「とーぜん。そうじゃなきゃ別れた意味ないじゃんよ。――しっかりついてきなさいよね!」
そうして駆ける河南子の背を追った。その頼りになる少女の手助けを、ありがたいと思いつつ、
「新妻でバツイチ舐めんなよこのやろー!」
しかし同時に、怒りも確かに存在するんだなぁ、と吹っ飛ぶ兵士たちを見て思ったのだった。
「?」
亜衣は、ふと城から外を見下ろした。そして隣を歩くエクレールに声を掛ける。
「エクレールさんエクレールさん。なんか外が騒がしくありませんか?」
「今頃気付いたんですの? 相変わらずどんくさいですわね」
「あぅ……」
二人はいまクラナド城内をゆっくりと歩いているところだった。
そもそもいま二人は謁見の間まで向かっている最中だ。エクレールが和人に呼ばれたからである。
それこそ何かあった証でもある。和人は自分たちに何かをさせようとしているのだろう。
まぁ亜衣にはその旨を伝えてないのでどこに向かっているかもわからないようだが。
しかし……無論エクレールは和人の命令を聞くつもりなど最初からない。
――まぁ、そろそろ良い頃合ですし、話ても良いですわね。
「亜衣」
「は、はい?」
しょげていた亜衣がこちらを見上げる。そうして周囲に誰もいないことを確認し、やや声のトーンを落とすと、
「いまここで何かが起きている。わかりますか? ――チャンスは、いまですわよ」
「――」
亜衣はすぐさまその言葉の意味を理解できなかったようで、一瞬無言になり、次いで目を見開かせて、
「えぇ!?」
「ちょ、声が大きいですわよ!」
「はわぁ、す、すいません!」
まったく、とエクレールは大きく嘆息。亜衣は口を両手で塞ぎつつ上目遣いで見上げ、
「……ってことは、これから?」
「この機を逃せば次がいつになるかは見当もつきませんわ」」
すると亜衣はパーッと、見るからに晴れ晴れとした笑顔を浮かべて、「はい!」と元気良く頷いた。
だからあまり大きな声を出すな、と言いかけてやめる。それだけ嬉しいということなのだろうし、きっといま何を言っても無駄だろう。
「とにかく、急ぐに越したことはありませんわ。行きますわよ」
「はい」
周囲の気配を辿りつつ、兵士がいないことを確認して時谷の捕まっている拷問部屋まで急ぐ。
あのとき時谷に会いに行ったのは、亜衣と合わせるためだけではなく、こうなったときのために事前に場所を把握しておく意味もあった。
「ほとんど誰もいませんねぇ」
いま何が起こっているかは知らないが、それに随分と兵を割いているようだ。ほとんど無人に近い。
そんな廊下をエクレールと亜衣は小走りに進んでいく。そうして数分、時谷の拷問部屋の前にまで辿り着いた。
エクレールが気配を探る。中には魔族の気配が一つ。時谷しかいないようだ。
亜衣に対して頷きを見せ、先に入るように促す。そうして急いで入室する亜衣を見送って、エクレールも中に足を踏み入れた。
「時谷さん!!」
「あ、亜衣……?」
すぐさま亜衣が時谷に駆け寄って抱きしめた。やや涙目になりつつ時谷を見上げ、
「待っててくださいね! いま助けますから!」
そうしてディトライクを召喚する亜衣を、時谷は困惑した目で見て、次いでエクレールに視線が向いた。
そこでエクレールが無反応、という時点で時谷は状況を察した。
「えい!」
ガキィ、と時谷を拘束していた魔道具が破壊された。拘束が解け、しかし足に力が入らない時谷はそのまま床に崩れ落ちた。
「わ、時谷さん!? 大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ。ちーとばかしふらついただけだ。問題ねぇ」
踏ん張りどうにか一人で立ち上がる時谷だが、見た目に満身創痍だとわかる。亜衣が慌てて肩を貸した。
そんな二人をただ見守っていたエクレールは小さく息を吐き、
「そんなんでちゃんと動けますの?」
「動けるか動けないかなんて関係ねぇ。動くんだよ」
そうですか、とエクレールは肩をすかせて扉を開けた。そのまま立ち止まり、早く出ろ、と視線で促す。
時谷は亜衣の肩を借りてゆっくりと廊下に足を踏み出した。そうして大きく深呼吸し、笑った。
「……あー、空気が美味ぇなぁ」
拷問部屋はそれこそ血の臭いしかしない。嗅ぎ慣れているとはいえ、四六時中も嗅いでいれば嫌になるのも道理だろう。
そんな時谷の台詞に亜衣は苦笑し、エクレールは嘆息しつつふと後ろを見やり、
「――――」
表情が固まった。
が、それも一瞬。エクレールはすぐさま思考を呼び起こし舌打ち一つして、
「……まさかこんなところに誰かがいるとは思いもしませんでしたわ」
その言葉に時谷と亜衣が弾かれたように振り返る。
三者の視線の先。そこには一人の女性が瞼を閉じて立っていた。
「こちらこそ『まさか』と述べたいところですけれど。……まさかホーリーフレイムの方がこのようなことをしでかすとは」
コツコツ、と不思議と耳に響く足音を鳴らし向かってくるは――鹿沼葉子。
気配が弱い。故に存在に気付かなかったわけだが……不思議とエクレールはそれで『葉子が弱い』という思考にはならなかった。
その葉子の接近に対し、エクレールは警戒したまま剣の柄に手を添える。
「エクレールさん!」
同調してディトライクを構えようとする亜衣。が、エクレールはもう片方の手でその動きを制した。
「亜衣。あなたはそいつを連れて先に行きなさい」
「エクレールさん!?」
「当然でしょう? その男は足手纏い。それを庇いながら戦うあなたも足手纏いですもの。これが最善の選択ですわ」
その言葉に亜衣も言い返すことができない。確かにこの状況では時谷も自分もろくに戦えないと、わかっているから。
亜衣はそれでも何かを言おうと口を開きかけて、しかし止めた。堪えるようにグッと歯噛みし、
「……わかりました。お願いします」
その返答に、エクレールは自覚せず微笑んだ。
亜衣は学び、選択した。我侭を言わず、言いたい言葉を封じ込め、いまできる最善の選択を。
エクレールを見捨てるようなことはしたくないだろう。
一緒に戦おう、あるいは一緒に逃げよう、とでも言いたかったのだろう。
でも、それでも堪えたのは。
……ひとえにエクレールを信じているからこそ。
だから、エクレールは顔だけを振り向かせ、言った。
「素直で大変よろしですわ。……行きなさい」
亜衣は躊躇するように、しかし次の瞬間にはその躊躇をかなぐり捨てたようは整然とした表情で、
「はい!」
しっかりと頷き走り去っていった。
良い成長ですわ、と思う。だからこそエクレールは笑って――前に向き直った。
「追いかけようとはしませんの?」
「追いかけたいのは山々ですが、背中から切りつけられてはたまりませんから。……まずはあなたを倒してからでないと」
ハッ、と。嘲るように息を吐き、エクレールはゆっくりと剣を抜いた。
剣先を向け、不敵に笑みを浮かべ、
「倒せますの? わたくしを」
「無論」
二つの高速が激突した。
あとがき
ほい、ども神無月です。
えーと、カノン介入です。あい。
実力の片鱗を見せ始めたシャル。相変わらず最強のバーサーカー。そして激突するはエクレールと鹿沼葉子。
そして河南子が加わった朋也たち。
クラナド編、まだまだ続きますよ〜!