神魔戦記 第百七十四章
「火花、乱れて」
カノン王城、地下。無音の世界で、ヴン、という機械音が響く。
起動したエーテル・ジャンプ装置から一人の少女が現れる。名雪だ。
彼女は着地するや周囲に誰の気配もないことを確認してすぐさま、
「隠者(の夜」
ザァ、と目に見えぬほどの微粒子となった『不通』が空間内を覆い尽くす。これでどれだけ強力な気配の持ち主が何人現れようと外からは感知されない。
「まずは第一関門突破だね」
ふぅ、と顔に浮かんでいた汗を拭う。
この作戦、まず何よりも名雪が『隠者の夜』を展開しなければ始まらない。
つまり最悪な状況は、名雪がエーテル・ジャンプで飛んだ時に強力な敵――例えば風子――などがその場に居合わせていた場合だ。
この『隠者の夜』は気配を感知させない。それはつまり内部から外に発せられる微弱な魔力の流れを阻害しているのと同義だが、そうなると念話や連絡系の呪具なども効果を発揮できない。
よって名雪以降の後続は名雪が出発してから数分を待って順次やって来る手筈になっている。
そしてエーテル・ジャンプは現在一方通行。逃げることが出来ずもしもここで名雪が殺される、ないし無力化されてしまえば後続もすぐに敵の知るところとなる。
だからこそこの初手が肝心だったのだ。逆を言えば、名雪が『隠者の夜』を展開出来た時点で作戦自体の成功率は格段に跳ねあがったと言って良い。
「あとは皆を待つばかり。……お願いだから誰も来ないでよ〜」
そして二つ目。現在名雪のいるこの空間は『隠者の夜』で覆われ外側からは気配はおろか音も姿も見えなくなっているわけだが、だからこそ何も知らぬ敵がやって来て効果範囲内に入ってしまう可能性が出て来る。
もちろん名雪からは見えているので、ある程度の敵なら名雪一人で対処出来るだろう。だがそれも風子たちといった連中なら別の話だ。
少数精鋭になった理由の一つには、このリスクを極限まで削る意味もあった。一回での跳躍人数に限界のあるエーテル・ジャンプ装置で数百、数千の兵を運んでいたらそれだけ膨大な時間を要することになるからだ。
「名雪、お疲れ様」
「あ、香里」
そんなことを考えている間に第一陣が、そして随時後続のメンバーがエーテル・ジャンプ装置から飛んでくる。
「何とか大丈夫みたいね」
「心臓バクバクだよもう。でもこれで第二関門も突破、かな?」
「そうね。とりあえず最低限のラインは超えられた」
二人してエーテル・ジャンプ装置を見る。送られてくる人数はどんどんと増えて行き、そして……突入組に選ばれた面々の全員が集まった。
エーテル・ジャンプ装置の稼働が終わったのを確認してから、香里は全員を見渡す。
「皆いるわね?」
互いが互いを確認しあう。問題なく予定のメンバーは揃った。あとは出来る限り早くウォーターサマーの主力級と遭遇し、これを撃破するだけだが……。
「面倒ね。……気配が分散しているわ」
「マジかよ。全員バラバラとか面倒な……」
気配探知用の強化型呪具(名雪の結界内でも起動するよう調整した改良型)を操作するルミエに、リディアが毒吐く。だがその隣に立つ元ウォーターサマーのさやかは、
「ううん、これはむしろラッキーだよ」
「ラッキー? そりゃどういうことだ」
「ウォーターサマーは個人戦力が強い。だから一見バラバラの方が手強い感じがするけど、知っての通りうちは四家でそれぞれ分割統治してる国だからね。一枚岩じゃないんだよ」
「つまり?」
「稲葉家あたりなら説得出来るかもしれない」
柾木、水瀬は好戦的にして残虐だ。しかし稲葉はそうではない。必要な戦いには微塵も躊躇しないが、そうでなければ無用な戦は好まない。
ちとせがこっちにいることもあり、説得は十分可能だろう、というのがさやかの弁だ。
「でもそんなことだって近くに他の二家がいれば説得なんて出来やしないだろうし」
「なるほど。それじゃあ稲葉家とかち合ったらとりあえず説得を試してみることにしよう」
「それじゃ、話が纏まったところでひとまずお城の出口まで向かおうか。皆、私からあんまり離れないでね」
『隠者の夜』を展開した名雪を先頭にゆっくりと歩を進めていく。
別に『隠者の夜』は音も隠ぺいするのでゆっくり動く必要はない。が、ウォーターサマーの力は相当だ。あるいは『隠者の夜』を突破する者がいるかもしれない。だからこその警戒だった。
朋也の隣を歩く渚がルミエに視線を向け、
「ルミエさん。その呪具で美汐さんたちの気配は掴めないのですか?」
「もうやってるけど……美汐もヒミカもマリーシアも、誰一人として引っ掛からない。索敵範囲外にいるのか、何か拘束具でもされて気配を抑え込まれているか、あるいは……」
ルミエが言葉を濁したものこそが、おそらく最も高い可能性。それに気付かぬわけもなく聞いた一弥、そして隣を歩くハリオンの顔が曇る。
容赦という言葉を忘れたかのようなウォーターサマーが相手となれば絶望的と言って良い。
ただルミエが言っていたような理由がないわけでもない。いまはそこに望みを賭けるしかないのだ。
「敵軍の展開具合はどう?」
問うたのは香里だ。彼女とて皆の安否は気になるが、聖騎士として何より冷静であろうとする彼女の覚悟がうかがえる。
「数はそう多くない。少なくとも王都内には主力と思われるメンバーと、その側近らしき数十名の気配……。軍と呼べるほどの人数じゃないわね」
「本隊はエフィランズらしいしね。まぁカノンに私たちがいなかったうえにエーテル・ジャンプ装置も扱えないんじゃクラナドに攻め込む準備しててもおかしくないと思うけど」
「さやかさんの意見に同感。主力がここに残ってるのは、多分王都を抑えておけば俺たちが奪還に来ると読んでいるからだろうな」
香里もさやかや純一と同じ考えだった。そしてそれはウォーターサマーの、「カノンなんて自分たちだけで十分だ」という自信の表れでもあるのだろう。
だとすればその自信――否、慢心はつけいる隙となりえるはずだ。特にシズク戦で兵力が疲弊しているカノンにとっては、主力だけで決着がつけられるまたとない好機でもある。
そうこうしているうちに地下を抜けた。未だに敵との遭遇はない。名雪の力が効果を発揮している証拠だろう。
「これからどうする?」
「ルミエ。ここから最も近い敵の気配は?」
「明確なのは城門を抜けたところに誰かいるわね。……でも城内にもよくわからない気配が――」
「そこに、誰かいますね?」
ゾクリと。その声を聞いた瞬間、誰もが心臓を鷲掴みにされたかのような感覚に襲われた。
何時の間に、本当に何時の間にいたのか。前方、かなりの至近距離にその少女は立っていた。
「姿も見えず気配も感じられませんが……いますね、そこに」
「まずい……!」
真っ先に反応したのは純一だった。何故なら彼はこの少女を知っている。文字通り命懸けの逃走劇を繰り広げた相手を忘れられようはずもない。
その名は――、
「そいつが風子だ! こんな場所で戦ったらら間違いなく全滅させられる……!」
伊吹風子の能力は対多でこそその真価を発揮する。こんな密集状態で受けてしまえば、それだけで全滅必至だ。
悠長に隠れている余裕はない。咄嗟に純一は叫んでいた。
「散れ!!!」
風子が星型の飛来物を一つ出現、発射したのと、『隠者の夜』が解除され、皆が四方八方へ散開したのはほぼ同時だった。
星の魔弾は一歩遅れて廊下を貫き、壁をめくり上げるように粉砕しながら突き進み、突き当りを轟音とともにぶち破った。
それがこの戦いの狼煙代わりとなる。
「む……。思った以上の数ですね。なら一気に叩き潰して――」
「まぁ待てよ」
「!」
星型の展開が止まる。風子が行動を停止するという事態が、知る者が知れば驚きで目を見開いたことだろう。
それを成し遂げたのは一人の青年の存在。
「そう焦るなって。お前の相手は俺たちがしてやる」
威風堂々。目の前に立ち、そう宣言したのは他でもない、風子の実力を最も理解しているだろう朝倉純一であった。
「……あなたですか。あなたとは風子、またお会いしたいと思っていました」
「俺は出来ることなら会いたくないと思ってたんだが……不思議だな。いざ相対すると俺が相手をしなくちゃいけない気になってきた」
何かを考えたわけじゃない。なのに足は勝手にこの場に留まっていた。
皆を無事にこの場から遠のかせるため? それもあるだろう。だが最も大きな理由としては、言ったように風子の相手は自分がしなくてはいけないといった使命感のようなものがあったからだ。
そして純一がその道を選ぶのであれば、彼の双剣たる彼女たちもまた同じ道を選ぶのみ。
「悪いな二人とも。俺の直感に付き合わせて」
「何言ってるの純一。私たちはいつでもどこでも一心同体にして一蓮托生」
「そうですよ。美春たちは常にマスターの隣にいるのです。どんな道だって、一緒ですよ!」
「あぁ。ありがとう二人とも」
少し情けなくもあるが、寄り添う二人の少女の力強さがなければこの場に立つことも出来なかったに違いない。
だからこそいまはこの直感に殉じよう。
「何故でしょう。あなたは決して強そうには見えないのに、以前までは苛立ちしかなかったのに、いまは……楽しみで仕方ありません」
対する風子は子供そのものだった。純一の覚悟など知ったことではなく、ただ、ただただ純粋に楽しみだった。
いつぞや感じた不愉快さもどこへやら。風子にとって朝倉純一という存在はもはや特例にまで昇華されていた。
何故ならば、彼女が『壊す』と決めたにも関わらず、壊れずに逃げ切ったのは純一が初めてだったのだ。
最初は自分を『視られた』ような感覚から嫌悪が先に立っていたが、いまやそれは反転し興味そのものになっている。
他者を何とも思わない。他者を『個』として認識しない風子に、それは初めて芽生えた感情だった。
「風子、一つ教えてほしいのですが」
「何だ?」
それは――他者を『知りたい』という欲求。
「あなたの名前を聞きたいです」
名前を問う。血を分けた姉ですら自分以外の『その他の一つ』としか考えていなかった風子が、他者を『個』として認めた証拠。
これには風子の過去を夢として見て多少なりと人となりを知っている純一も驚いた。
純一としては律義に答える義理などない。……が、何故だろう。口は勝手に動いていた。
「朝倉純一だ」
「朝倉、純一……」
風子は深く刻み込むように反芻するとゆっくりと頷き、
「では純一さん」
ドン! と突如風子の気配が膨れ上がる。彼女の周囲に瞬時に数十個の星型が形成され、獲物を狙うように中空を舞う。
「すぐに壊れないでくださいね。また、楽しませてください」
そうして星型が殺到した。
リディア、シャル、ルミエの『猫の手』三人組は城を出て、そのまま王都郊外まで走り続けていた。
無論、風子から逃げ出すためなどではない。
「本当にこっちに敵がいるんだな?」
「ええ、間違いないわ。大きな気配を隠そうともしない輩が一人いる。よほどの自信家なのでしょうね」
「無慈悲なウォーターサマーの中で自信家ですか。なーんかやたら性格悪そうですねぇ」
今回の戦いで最も重要なのは、ウォーターサマーが何か動きを見せるより前に敵主力を撃破することにある。
ダ・カーポの面々から聞いていた最も凶悪なレベルとされた風子と真っ先に衝突したのは想定外だったが、敵戦力がどうであれ主力を各個撃破するという手筈にはなっていたのだ。
よって分散したいま、呪具により敵の位置が大まかにわかる『猫の手』が一番遠い位置にいる敵を狙うのも自然な流れと言える。
ただ本来であれば、敵の情報を知っている明日美が千里の魔眼によってどこに誰がいるのかを把握し、能力的に相性の良い者を差し向けることになっていたが、全て予定通りに行えるとは誰も思っていない。
そもそも、敵の情報がわかっている戦いなんて稀だ。普段通りだと思えば何も問題はない。
「相手が移動してるわ。でもこの方向は……まさか……」
「どうしたルミエ?」
「偶然だと思うけど……この敵、孤児院の方へ向ってるわ」
「なんだって?」
新設した孤児院のうちの一つが郊外にある。どうやら敵はそっちへ向かっているらしい。
普段なら慌てるところだろうが、既に子供たちの避難は終わっており、安否も確認済みだ。あそこには誰もおらず、そして何もないはずだが……。
「自信家ということは柾木か水瀬のどっちかでしょうが、どちらにしても魔族至上主義のようですし……嫌な予感しかしませんね」
そうして三人が孤児院へと辿り着いた――その眼前で。
無造作に立つ男の魔手によって孤児院が真っ二つに叩き折られた。
「――!!」
「ようやくカノンの主力の到着か。待ちくたびれて暇潰しが大変だったぞ?」
こちらを振り返る男の歪んだ瞳、禍々しく肥大化した腕。
事前に聞いていた情報と照らし合わせれば、該当する人物は一人しかいない。
「……あんたが柾木良和か」
「お前たち程度の雑魚に呼び捨てされる覚えはないが。あぁ、僕が柾木良和だ」
「で。あんたは暇潰しのためだけに孤児院を壊したって言うのか?」
問うリディアの口調は隠しきれぬ怒気に満ち溢れている。
無理からぬことだろう。カノンの中、特に『猫の手』にとって王都内にある孤児院は成果であり象徴でもあったのだ。
人的被害がないとはいえ、それは彼女たちのこれまでの行いを否定されたに等しい。
だが良和も何もそこまで知った上で孤児院を壊したわけではない。彼にとっては、宣言通りこれは暇潰しでしかないのだから。
「孤児院など弱者の溜まり場にすぎん」
「何だと……?」
「今日からここはウォーターサマーのものだ。故に、こういった弱者の溜まり場など必要ない。誰かの慈悲がなければ生きていけない者など死んでしまえば良い。僕の国に必要なのは強い者だけだ。だからそうだな。これは遠くない未来のため内政とも言えるかな。ククク……」
「戦争で親を亡くし、絶望に苛まれながらも生きて行こうとする子供が弱者だと……!?
誰かが誰かを救いたいって、守りたいって思うことがそんなにいけないことか!」
「弱いから群れたがる。それが人間族だとも理解してはいるつもりだが……というか何をそんなに怒ってるんだ? 静まれよ、たかだか建物の一つや二つ」
「てめぇ!!」
この孤児院は国王である祐一や、皆の母とも言えるルリエンダ、そして国の皆が協力してくれたからこそ建てられたもの。
この孤児院で救われた命が少なからずあって、俯くばかりだった孤児が笑顔を取り戻す。そんな空間であった孤児院を、たかが建物と一蹴した。
皆の想いと楽しい記憶で埋め尽くされた、そんな場所を、何も知らないこの男は――、
「――輪は意のままに動く――!」
躊躇など微塵もなかった。狙いは眉間に心臓といった急所ばかり。しかし飛来する針に良和は身動き一つ取らない。
なんてことはない。自分の身に傷一つつけられない攻撃などかわす必要性すらないというだけのこと。
「なっ!?」
リディアが変形し飛ばした針はただ立っているだけの良和の身体に弾き返され、中空を舞った。
「落ち着いてリディア! あいては鬼の中でも上位の存在よ! 並の攻撃が通じる相手じゃないわ!」
「ちっ……だったら! ――形状変化!」
手を掲げ、自分の異能を直接発動する。
いつもなら躊躇する力の行使。だがリディアにとってそのブレーキが壊れるほどに、良和の行ったことが許せなかった。
良和の身につけている貴金属を掌握、形状を変化して身体ごと串刺しにしようと試みる。だが……。
「……な、に!?」
刺さらない。形状変化の手応えはある。間違いなく金属を支配下においているはずなのに、良和に傷一つつけられない。
「ほぉ。金属を操る特殊属性か。なかなか面白い力だとは思うし、鎧を着込み金属武器を所持する人間相手には絶大な力だろうが……僕には通用しないな」
皮膚が硬すぎる。金属を変形させると言っても、その切れ味は所詮金属のそれだ。人外の防御力を持つ相手に対し、リディアの能力は相性が悪すぎる。
「くそ……!」
「少しは冷静になった方が良いですよ、リディア? リディアのそういう熱いところは嫌いじゃないですけどね」
打つ手なしとなったリディアの前に一歩進み出る少女。
「ん? もう選手交代か?」
「ええ。まぁ適材適所というやつですよ」
それまでの会話でもひたすらに傍観を決め込んでいたシャルである。いつもの柔和な笑みを崩さぬまま、彼女はとことこと緊張感の欠片もない動作で距離を詰めていく。
「君もあれか。この建物に執着している口か」
「んー、そうですねぇ。まぁそういうのも多少なくはないですが。でも私はあなたの言葉にも一理あるとは思いますよ」
「シャル!?」
「へぇ、面白いことを言う」
「この世は非常ですからね。弱者が淘汰されていくのは事実です。だからこそ強くならないといけない。ええ、それは同感です。綺麗事だけじゃ生きていけませんからね」
でも、と彼女は足を止め笑みを崩さぬまま告げる。
「誰もが最初から強いわけじゃないんですよ。最初は弱くて、誰かの救いが必要で、守らなければいけない存在であっても、そこから強くなれば良いだけの話なんです。人間というのは、そうして成長して強くなっていく生き物なんですよ」
誰もかれもを救い、後生大事に守る必要性はない。人間は一人では生きていけないが、誰かに依存したまま生きるというのは間違いだ。それは生きているのではない。生かされているのだから。
それがシャルロッテの在り方だ。時と場合によっては救ってやるし、守ってもやろう。ただそれがずっと続くなど甘い考えは持つなと。
だからこそシャルはリディアたちの反対を押し切って孤児院の子供たちに戦う術を教えたりもしていた。
故に、一部においては良和の言い分も正しいと彼女は思っている。しかし――、
「だから私が許せないのはただ一点だけです」
口元は笑みを浮かべたまま、しかし開かれた彼女の双眸には誰が見ても明らかな怒りの炎が燃え盛っていた。
「あなたは人間という種族そのものを弱いと断定しましたね。鬼だかなんだか知りませんが、生まれが違うだけで他種族を見下すとは良い度胸です」
「へぇ? ならどうする」
「決まってるじゃないですか」
ジャキン! と彼女の両袖から大剣が出現する。そのままニコリと微笑んで、
「あなたが嘲る人間族である私が、あなたを容赦なく、完膚なきまでにぶっ潰してあげましょう」
「別に狙ったわけではないとはいえ、また面白い顔ぶれになったわね」
「そうかもしれませんね」
カノン王国西側へ向かう三人組、その先頭を行くは白き翼を広げ低空飛行している相沢二葉。
そしてその後ろには遠野美凪と鷺澤美咲の二人が地上を駆けている。
そんな二人を二葉は心配げに振り返り、
「それにしても……本当にこんなスピードで大丈夫なの? 美凪は……まぁともかくとしても、魔術師である美咲には辛いんじゃない?」
「ご心配には及びません。私だってそのくらいはわかっていますから、一工夫していますよ
ほら、と美咲は自分の足元を指差す。釣られて見てみれば、
「あぁ、なるほど。靴の底を凍らせて滑っているのね」
「これなら走るよりも楽ですし速いですからね」
氷の魔術師ならではと言えるかもしれないが、誰でも行えるような芸当でもない。
靴の底を凍らせる、とだけ聞けば簡単にも聞こえるが、力加減、氷の大きさや厚さの調整もさることながら何よりその微細な魔力放出を常に維持しなければいけないのだ。
魔術師にとって大きく魔力を出力させるのも困難だが、細かいコントロールをしながらごく微量の魔力を出し続けるのも同様に難しい。
それを事もなげに行っている辺り、美咲の魔力コントロールの凄まじさがうかがえる。
(さすがは兄さんの片腕、ってところかしら)
と、無意識にまた兄である祐一を引き合いに出していた。そしてこうなると、
(……そういえば兄さんはどこかに行ってしまったのよね)
思考はループしてしまう。何度もやめようと思っているのに、兄の名前を心の中で出すだけですぐに思考がそっちに行ってしまう。
折角わかりあえたというのにこのすれ違いっぷりはどうだろう。ほんの少し泣けてしまいそうだ。
「とはいえ……留守の間に兄さんの国を好き勝手させるわけにもいかないけど」
こうなったら王不在の間に攻めてくる相手を片っ端から打倒して国を守り、戻って来た時に思いっきり褒めてもらおう。そうしよう。
「二葉様」
「何よ美凪。いま綿密な計算を――」
「前方に敵です」
「それを早く言いなさい」
速度を緩めながら、意識を前方に集中する。なるほど確かに見知らぬ強い気配が一つある。ならば、
「先手必勝と行きましょう」
弓を取り出し、呪具を発動。矢を形成し、そこに強大な魔力を一気に集約させ、
「いけ!」
放つ!
道を抉りながら突き進む光の一撃はまさしく砲撃だ。巨大な力はそのまま敵へと直撃――、
「無駄だ」
――する直前に、展開した結界によって光は跡形もなく霧散した。
「その程度の攻撃でおれの結界は壊せない。……あんたたち、カノンのやつらだな?」
「だったら何か言うことでもあるのかしら?」
「あぁ。……無駄な殺生は好まない。ことり王女と白河の魔女さえ引き渡してくれればおれたちとあんたらが戦う理由はなくなる」
その言い方に、ピクリと美咲が反応した。
「条件は飲めませんが、すぐに戦わないところから察するに……あなたが稲葉家の方ですか?」
「? あぁ、おれが現稲葉家当主稲葉宏だが……だからどうした?」
「現在我が軍にあなたの妹さんである稲葉ちとせさんがいます」
「な、に!?」
「さやかさんと一緒に来たのです。戦争などしたくない、と。……あなたは妹さんを大事にされていると聞きました。ですからどうか矛を収め私たちと一緒に――」
「……ふざけるな」
声を遮られる。静かな声ではあったが、そこには敵意と怒気が混ぜられてこちらの肌をビリビリと震わせる。
「ちとせは確かにおれにとって大事な妹だ。ちとせならそう言うだろうし、白河さやかがやりそうなことでもある……。だが俺が背負ってるのはちとせだけじゃない。
ウォーターサマーにいる稲葉家、そしてその下に集う全ての民。あいつらを放っておれがカノンにつく? ありえないな」
「であればその民も一緒に――」
「甘いよ。お前たちはウォーターサマーの力を知らないからそんなことが言える。征木家と水瀬家がお前たちに負けるなんて思えない。
特に征木の伊吹風子。あれには誰だって勝てやしない。そんな存在がいる時点で民ごと移動させるチャンスなんかないんだよ。全員殺されるのがオチだ」
だから、と宏は戦意を漲らせる。
「そちらからの提案は意味がない。だからこちらから提案する。これが最後だ。ことり女王と白河さやか、そしてちとせを差し出せ。
そうすればお前たちを稲葉の一員として迎えて、あいつらから守ってやっても良い」
「ハッ!」
吐き捨てるように笑ったのは美咲ではなく、それまで聞くに徹していた二葉だった。彼女は見せびらかすように肩を下げ息を吐き、
「それ、本気で言っているのだとしたらあなたは相当のバカね」
この状況でそんなことを言う辺り、力に自信を持ちながらも、他の残虐と称されるウォーターサマーの連中とは確かに違うのだろう。だが、
「私たちの王都を奪い、多くの民を苦しめた。何の前触れもなく攻め込まれたのに、三人を差し出せば見逃すって?」
笑みが消える。そして拒絶の二文字を瞳に浮かべ、睨みつけた。
「ふざけるんじゃないわよ。王都を奪われた時点でこっちには戦う理由が増えてるのよ。そんな言い分をはいそうですかって聞けると思わないでほしいわね」
二葉の台詞に応じるように、美凪と美咲が左右に並び、そして構える。
「戦うしかない、と?」
「対話で片付く時もあるでしょうし、もちろんそれを否定はしないわ。……でも、それをしてはいけない時というのも確実にある。
そう、いまのようにね。だからこう言いましょう」
戦意を前面に、譲歩も妥協もしないと示し、そして弓を掲げ、言う。
「カノンを舐めるな」
月宮あゆ、雨宮亜衣、桜塚恋、鷺ノ宮藍、ハリオン・グリーンスピリットの五人は城を抜け庭園に出ていた。
別に最初からここが目的地だったわけではない。ないのだが……。
「呼ばれたような気がしたんだ」
「あゆさんもですか?
「ってことは亜衣ちゃんも?」
「はい」
「あんたたちも?」
「恋さんもなんだ。それじゃあ藍さんやハリオンさんはどう?」
「え、いえわたしは別にー。ただお二人が近くにいたので一緒に来ただけですから」
「わたくしも恋ちゃんと一緒に行動していただけですから」
「と、するとボクたちの共通点って言えば……」
言いかけた瞬間、コツッ、という強烈な気配が五人に降り注いだ。
「!?」
あゆがグランヴェール、亜衣がディトライク、恋がゲイルバンカーを、そして藍とハリオンがそれぞれの永遠神剣を条件反射のように構えた。その先で、
「珍しい。まさか一ヶ所に神殺しが四つも存在するなんて」
そこに、鎌を持ち猫の人形を抱えた黒ずくめの少女がいた。
可憐な顔をしているのに、何故だろう。あゆたちは彼女を見て『死神』という単語を連想した。
そしてあゆ、亜衣、恋はすぐに理解した。相対する少女の持つあの鎌もまた、自分たちの持つ武器と同じ……神殺しであることを。
「君たちカノンの人たちだよね?」
「そうだよ。王都は返してもらうんだから!」
「……その決定権はボクにはないけどね。頑張ってみれば良いよ。戦うっていうならボクも容赦しないから。でもその前に伝えておくことがあるの」
「伝えておくこと……?」
「天野美汐。彼女の最後の言葉だよ」
「「「!?」」」
それはつまり、やはり美汐はもう……。
「『この選択が間違いではなかったと、胸を張って言える』……って。死ぬ間際まで自分の選択を誇りに思っていたよ。
彼女がいなければ君たちの国民は全員は逃げ切れなったはず。彼女があの装置を壊さなければもしかしたら追撃も出来たかもしれない。
それが天野美汐が最後の最後にやり抜いて、そして君たちに託したことなんだろうね」
あの装置、とはエーテル・ジャンプ装置の送信機のことだろう。やはりあれを壊したのは美汐だったのだ。
「……美汐さん……」
あゆは小さく呟き、グランヴェールをグッと握る。
まだ祐一たちが新生カノン王国を作る前から、彼女にとって槍の師匠は彼女だった。
元々は我流だったが、美汐が仲間になってからは常にその技術は彼女に教わっていたのだ。そしてその結果がいまこうしてここに立っている自分だ。
いつかきちんとお礼をしたかったのに。でももうそれも叶わない。悔しいし悲しい。でも、唯一の救いは……。
「……美汐さんの相手が君で良かった。君はボクたちが聞いているウォーターサマーの人たちとは違うみたいだし」
「どうだろうね。ボクだって敵として立ちはだかるなら容赦はしないし、実際に天野美汐を殺したのもボクだよ。でも、君たちだっていろんなものを背負って戦っていることは知っている。戦ってその命を狩り取るからには、そんな彼らの想いを踏み越えたんだっていう自覚も忘れたくない」
少女は力のない瞳であゆたちを見渡し、
「最後に。いま逃げるのなら追いはしないよ。天野美汐の死体もすぐそこにある。誰にも触らせてないから、埋葬してあげると良いよ」
「それはありがとう。凄く嬉しい心遣いだけど……でも、ボクたちは逃げるわけにはいかないんだ」
「そうだよね……。そうなると思ってた」
「……言葉はきっと届かないんだろうね。いまのその言葉だけでわかる。君はきっとその背負うもののために、決して退きはしないんだって」
「ええ。でもそれはこっちも同じ。だってあなたたちからは……天野美汐と同じ戦意を肌で感じるもの」
「だったら――」
「そうだね。行き着く先はこれしかない」
少女がスッと鎌――神殺し、ギメッシュナーを構えた。
「ボクの名前は稲葉水夏」
「ボクは月宮あゆ」
「雨宮亜衣です」
「桜塚恋よ」
「わたくしは鷺ノ宮藍ですわ」
「ハリオン・グリーンスピリットです」
戦う前に名乗り合う。それは戦争というよりは騎士の一騎打ちのような、どこか清浄な雰囲気が包み込む。
だが、どれだけ綺麗であってもこれは戦い。……殺し合いなのだ。だから、
「容赦はしないよ。ボクとギメッシュナー、そしてアルキメデス。相手が誰だろうと何人だろうとどんな種族だろうと関係ない」
そう。
「ボクは『死神』だから」
だから、
「悲しいけど――君たちをここで終わらせる」
漆黒の魔力翼を展開し、ギメッシュナーに闇の力を震わせて、そして地を蹴った。
応戦する五人の耳に、チリン、と死神の鈴が聞こえた。
「あー、怖かった」
城から散開したさやかたち一行は、そのまま随分と距離を取りカノンの中央付近にやって来ていた。
いつもなら東へ西へと王都に住まい、またその他行商の者やらがたくさん行き交う場所だが、当然のことながらいまはただただ静かだった。
「っていうかこんなところに来てどうするの? ウォーターサマーの個人戦力を各個撃破するって言ったって相手の場所わからないじゃん」
「もー。わかってないなぁみっちゃんは♪」
肩をすくめる美絵の頬を、横に並んださやかがぷにぷにと指で押す。押しまくる。
「あ、あにするのよう!」
バッと離れる美絵にさやかは悪戯めいた笑みを見せると、くるりとその場でターンし、蒼司の横に並ぶ。
「だってさ、ウォーターサマーがカノンに攻め込んできた理由はなんだった?」
「あ……」
「そ。理由の半分は私への粛清だもん。ここでジッとしてれば相手の方から出て来てくれるってわけだよ」
「ま、そういうことよねぇ」
その声に、蒼二、美絵、萌がすぐさま反応し、さやかを守るように取り囲むんだ。
一人自然体のままなさやかが明日の天気でも聞くような気楽さで、後方に現れた相手に問い掛ける。
「ということは、私の相手はあなたかな? ……小夜さん?」
クルリと振り返れば、水瀬小夜が何の警戒もなしにこちらへ近付いてきていた。
顔にはいつも通りの好戦的かつ挑発的な表情。いつでも掛ってこいとばかりの態度に、さやかは思わず苦笑する。
「ま、そんなに時間が経ったわけでもないから当たり前なんだろうけど……あなたは変わらないね」
「そうでもないわよ? あたしは以前よりいまの自分の方が好きだもの。それってあたしが自分の理想に近付いたってことでしょう?」
「へぇ。何か良いことでもあったのかな?」
「あったし、そしてこれからもう一つ増えるの」
立ち止まる。小夜との距離はそれなりに離れているが、さやかにとっても小夜にとってもこの距離は必殺圏である。
しかしどちらにも緊張というものがない。さやかは元々そういう性格ではあるが、あの戦闘好きの小夜までもが敵意さえ発しないとはどういうことだろうか。
何か違和感を感じた蒼司がさやかを守るように間に割って入る。
「随分と余裕そうですね。こちらは四人。そちらは一人。いくらなんでも厳しいと思いますが?」
「黙りなさい解体屋。あなたなんかお呼びじゃないのよ。死にたくなければジッとおとなしくしていることね」
「……!」
「まぁまぁ落ち着いて蒼司くん」
「でもさやか先輩」
「もう、君らしくないなぁ。もっと冷静に、ね?」
ポンポン、とこちらを落ちつけるためだろう、肩を軽く叩かれる。そんな普段通りの彼女を見て、蒼司も自分が少し冷静さに欠いていることを自覚した。
嫌な予感が先行して落ち着きがなくなってしまったようだ。
「……はい。もう大丈夫ですよ先輩」
こういうときだからこそ、冷静に。そう自分に言い聞かせて、安心させる意味でさやかに笑いかけた。
それに満足し頷いたさやかは、しかし蒼司の想いを組んで彼の背後に立ったまま小夜に向き直る。
「さっきもう一つ良いことがあるって言ってたね? それって何かな」
「そんなの決まってるじゃない。厄介なあなたという存在を今日この場で消しさることが出来るんだからねぇ」
さやかは前に立つ蒼司と、横にいる美絵の袖を掴んだ。優しい彼らがいまの台詞に激昂して飛びかかろうとしていたからだ。
さやかの先読みでどうにか動きを止めた二人に笑みを送り、そうして手を掲げる。
「随分な自信だけど……何か策でもあるのかな? そうでないと、きっと私の方が強いと思うけど?」
いかに不通の闇とはいえ、さやかの力を防げるはずもない。発動すれば小夜に待っているのは死だけだ。
しかし掲げられた手に白河の魔女の力が展開しつつあるのを見てもなお、その余裕の表情は崩れなかった。
「だったら教えてあげる」
舞台役者のようにわざとらしい動きで両手を掲げ、
「いまから楽しい楽しい舞台が始まるわ」
ニヤリと。小夜は悪魔のように口元を歪めて笑った。
名雪は民家の屋根から屋根へと跳びながらひたすら南に向かっていた。
既に『隠者の夜』は解除してある。というのも、あれは自分ないし対象の周囲に超小型の不可視の闇を散布することで気配やその他の感覚から身を隠す力なわけだが、これには弱点も存在する。
それは高速移動には利用が出来ないということだ。周囲に散布するタイプの能力である以上、常に動きまわったり、あるいは素早く移動してしまう場合まるで効果がないのだ。
ゆっくりであれば展開しながら移動が出来るので、シズク戦で琴音と一緒に戦うときも、先程のような潜入の場合にも問題はなかったわけだが、今回はそうもいかない。
手早く敵の主力を叩くということもあるし、なるべく風子から距離を取りたいということもあった。
だがそれよりも自分を突き動かすのは――、
「水瀬秋子、か」
その声は並走している青年から。城で散開してから唯一自分と行動を同じくしている顔馴染み、羽山浩一だ。
同じく屋根を伝いながら自分の横に並ぶ浩一に名雪は頷きだけをを返す。
そう。この先に、忘れられるはずがない気配を纏った相手がいる
水瀬秋子。自らの母にして、過去祐一たちとともに撃退した相手。
生きていることも、ウォーターサマーにいることもつい最近までは知らなかったが、であるならばその相手は自分がすべきだろう。
能力的な意味でも……そして心情的な意味でも。
「浩一くん、ごめんなんだけど……お母さんとの戦いは私一人に任せて欲しいの」
「……大丈夫なのか?」
「大丈夫」
即答。
普段そこまで言いきったりしないことを知っているだけに、浩一は名雪がどれほど本気なのかを理解した。
「……わかった。んじゃあ任せる。ただ本気で危ないと判断したら俺は介入するぞ」
「うん、わかった。ありがとうね」
「じゃあ行くか」
「うん」
王都カノンを突っ切るように南へ進み、門までやって来た。
そしてその上に、長い髪をなびかせた女性が立っている。
「お久しぶりね、名雪」
ニコリと微笑み見下ろすは、かつてこのカノンで恐怖の代名詞とまで言われた魔族の長。
水瀬秋子。
「……ホント、久しぶりだねお母さん。まさかまたこうして会えるなんて思わなかったよ」
「それはこっちも同じことですが……まさか私の相手があなたたち二人だけなんて言うつもりですか?」
「ううん、違うよ」
「そうでしょうね。ということは後続が来ると――」
「お母さんの相手は私一人だよ」
「……いま、なんて言いましたか?」
「聞こえなかった? 私一人でお母さんの相手をするって言ったんだよ」
「フ……フフッ……アハハハハハハ! 名雪が、名雪程度が一人で私の相手をすると!? これは面白い冗談ですね!」
「お母さんは変わらないね」
物悲しげな笑みで、名雪は母を見た。
「……お母さんは変わらない。そして周囲も変わらないと思い込んでる。ううん、変わらないで欲しいのかな?
全部が全部、祐一のお父さんがいた頃のまま止まっていてほしいのかな。でも人も魔族も、ううん、どんな種族だって成長するんだよ。もちろんわたしも、ね」
「……つまりいまの自分なら私に勝てると、そう言いたいのですね名雪は?」
「じゃなきゃ一人で挑んだりしないよ」
腰から剣をスラリと抜く。その切っ先を秋子に向け、名雪は言い放った。
「お母さん。今日こそ乗り越えさせてもらいます」
あとがき
どうも、なんかやばいくらいに腕が動く神無月です。終わりが近いうえに戦闘オンパレードで腕が鳴る!
さぁさぁさぁいよいよカノン主力軍とウォーターサマー主力のバトル勃発です! まぁウォーターサマー側には数人いますが、それと誰が当たるかは次回に。
とりあえずウォーターサマー三家の主力&準主力とのバトル面子って感じですね今回。……いやそれだけで相当な文章量になりましたが(汗
まぁ以前(ええ、大分前ですけど……)拍手でやったバトルカードもチラホラあります。まぁ概ね予想通りだったでしょうけどねw
でもって次回はこのうちのどれかの戦いと、残りの面々と誰が戦うかとなります。
ちなみにカノンは方々に散っているので合流が遅れる連中もいるので「あれ、あいついなくね?」とか思うかもしれませんがご心配なさらず。
しかし、この調子ならホント今月もう少しいけるかもわからんね。こういうのはノッている時にガンガン行っちゃった方が良いんですよね。ちょっと頑張ろうかな。
ではでは!