神魔戦記 第百七十章

                         「決死」

 

 

 

 

 

 ――08:33――

 

 王都民の避難も残すところ一割程度というところにまで差し掛かった。

 だが安心は出来ない。

 何故なら既にカノン側の戦力は底を尽きかけているからだ。

 彼らの奮戦によりウォーターサマー側の戦力の足止めには成功したが、撃退出来たわけではない。そう遠くないうちに誰かがカノン城に辿り着くのは明らかだ。

 カノン王城門前で残り数名にまでなってしまった兵を率いて立つ天野美汐は、その相手がおおよそ誰であるかは推測出来ていた。

 稲葉水夏。先程戦った、神殺しの所持者。

 なのはの話では、渚やちとせたちが戦っていた鬼の方は相当疲弊していたらしく追撃の素振りがなかったという。ならこちらはおそらく避難までは大丈夫だろう。

 稲葉宏に関しても問題ない。魔理沙たちの協力により大きなダメージを与えたはずだ。動けるとは思えないし、仮に動けたとしても脅威ではないだろう。

 故にこそ、動けるのはあの黒衣の少女ただ一人となるわけだ。

 しかし、一度矛を交えたからこそわかる。あれは格の違う相手だ。そう簡単に勝てる相手ではない。

 だから目的はここでも変わらない。王都民が逃げるまでの時間稼ぎ。ここを絶対に通さないこと。それが彼女のすべきことだ。

「あまり気張らない方が良いわよ。そういうこと、出来ない相手ってことはわかるけど」

 ポン、とこちらの肩を叩く一人の女性。人のようで人でない気配をさせる、髪から服まで赤を基調とした色である彼女は、

「ヒミカさん。お気遣いありがとうございます」

「いやいや」

 ヒミカ=レッドスピリット。王国エターナル・アセリア所属のスピリットだ。

 本来彼女はヨーティアの護衛として派遣されてきていたのだが、この有事に当たって、城の防衛に参戦してくれたのだ。

 彼女と共に護衛として来ていたハリオンも、いまでこそ先にクラナドへ向かったが、先程までずっと負傷兵の治療をこなしてくれていた。

 ヨーティアはヨーティアでエターナル・アセリアに援軍の掛け合いをしてくれていたようだし、頭が上がらないとはこのことだろう。

「他所の国のことでここまで尽力していただいて……何とお礼を言えば良いやら。エターナル・アセリアもいまは大変だと聞きましたが」

「あぁ、そうらしい。そのせいで援軍の派遣も無理ってことになってしまったしね」

 現在エターナル・アセリアは謎の病が流行しているのだと報告が入った。人間はおろかスピリットにさえかかる病気のようで、未だ対処は出来ていないという。

 そんな中でチェリーブロッサムに攻められたらとんでもない被害となる。故にこの情報は隠蔽され、ヨーティアが確認するまでこちらにも届かなかったのだとか。

「だから同盟国として出来ることは、私やハリオンが手伝うことくらい。悪いわね、大した力になれなくて」

「いえ、助かっていますよ。これまでも、これからも」

 美汐は心からの礼を言い、そして反対側を見やる。

「もちろん、あなた方にも礼を」

「ま、乗りかかった船ってやつだぜ」

 黒いとんがり帽子を傾けながら、男らしい笑みを浮かべて見せる少女、霧雨魔理沙。そして彼女の隣には鈴仙・優曇華院・イナバの姿もある。

 結局彼女たちもここに残り殿を務めてくれることになった。彼女たちの実力は先の戦いで既にわかっているし、まさしく心強いと言えよう。

 その他、逃げずに最後まで残ってくれた兵士らにも礼を言い、美汐はゆっくりと正面を見据えた。

 遠からず来るだろう敵に全ての神経を注ぐために。

 ……そう、彼女は必死だったのだ。ここに来る敵を防ぐために、その注意を向けていた。

 だから気付かない。……否、そうでなくても気付かなかったに違いない。それほど巧妙な気配遮断だった。

 そう。

 既にカノン王城に、ウォーターサマーの人物が侵入していた。

 しかも最も最悪な人物が――。

 

 

 

 ――08:36――

 

 マリーシア=ノルアーディはまだ王城の中にいた。

 というのも、彼女はその気配探知能力を駆使して逃げ延びた人たちを回収しつつ進んでいたために随分と時間を食ってしまったのだ。

 いまや彼女と共に廊下を駆ける者の数は三十を上回っている。

 戦うことだけが道ではないとマリーシアはそう思い、そしてそれを速やかに実行したのだ。その行動力は、昔の弱気な彼女とは違う。

「皆さん、もう少しです! もう少しでエーテルジャンプ装置に辿り着きます! 諦めずに頑張りましょう!」

 いまも心折れそうになる者を鼓舞し、声をかけ、挫けそうになるのを支えながら皆を誘導している。

 ――そう、これこそがきっとわたしの出来ることだから。

 自分が出来ることをやる。そして力のない自分が出来ることなどきっとこの程度のことで、しかしその程度のことが救う命も少なからずあるという事実。

 ならそのために頑張ろうと思う。きっと、そういうことこそが何より大事だと思うから。

「もうすぐだからね、プリムラちゃん」

「……うん」

 そんな当たり前のことを教えてくれたプリムラ。感謝してもし足りない。だからこそ、掴んだこの手を離さず守ろうと思う。

 

 ……だが、現実とはすべからく非情なものなのだ。

 

「!?」

 瞬間、マリーシアは足を止めた。否、意思とは無関係に止まってしまったと言った方が正しい。

 他の誰もが気付かない。並走しているプリムラや他の連中も、外でいまなお防衛の準備をしている美汐たちも。

 しかし、マリーシアだけが気付いた。気配探知に優れた彼女だからこそ、気付いてしまった。

「まずい……!」

 背後を振り向く。

 そこに、いた。

 気配もなく、音もなく、虚空から一人の少女が現れたのだ。その出現の仕方は美汐の空間跳躍のようにも見えて、しかし違うようにも見える。

 だが原理などどうでも良い。問題は現れたその相手が、規格外クラスの化け物であるとわかってしまったことだ。

「逃げ……て……」

 口が渇いて上手く動かない。

 いや、動かさなければならない。早く、一秒でも早く、速やかに、急いで。でないと、ここにいる全員が……!

「皆さん、逃げてください! 早く――!!」

 突然のマリーシアの大声に、逆に皆の動きが止まってしまった。振り向き、そこにいる少女に気付いた者もいる。

 しかし、残念ながら彼らにはわからない。そこに立つ少女の異常性を感知出来ず、故に焦りが生じない。

 そう。もはやその時点でアウトだった。

「……面白いですね」

 正面、星型の何かを身体の周囲に浮かせた少女がゆっくりと向き直り、言う。

「風子、気配を消してきたつもりだったんですが、わかる人もいるんですね。――ぷち最悪です」

 

 次の瞬間、王城の一角が轟音と共に文字通り消し飛んだ。

 

 

 

 ――08:38――

 

「!?」

 予期していた襲来は、しかし予期せぬ場所で始まった。

 城門から外を向いていた美汐たちは思わぬ方向……つまり後ろ、守る対象であるはずの王城側から轟いた爆音に驚愕せずにはいられなかった。

「城から……!? まさか侵入を許していたと!?」

 たちまちの瞬間に悲鳴や怒号が響き、避難を終えていない王都民たちが混乱に陥った。

 避難誘導していた兵らが慌てて状況収拾にかかるが、これでは当初よりも避難に時間を食ってしまうのは火を見るより明らかだった。

 そうこう言っているうちに、更に爆音。壁を容易く突き破った何かがそのまま街へ突き刺さり、大爆発を巻き起こす。

 間違いない。事故でも何でもなく、城内で誰かが戦闘を繰り広げている。

「く、なんて失態を……!」

 気配遮断か、あるいは自分のような空間跳躍系か。いや、こうしているいまでさえ気配を感じ取れないということは前者の類の能力か道具を持った敵がいたのだ。

 ウォーターサマーの個人戦力の強さに思考を奪われた形だ。真正面から飛びこんでくるだろうという決めつけが仇になった。

「おいおい、どうするんだよ!」

「あのままにしてはおけません! かと言ってここを放棄するわけにもいきませんから、人員を半分に割きましょう!

 魔理沙さんたちはここをお願いします! 私は空間跳躍であの謎の敵の元へ――」

「行かせないよ。君たちの相手はボクだもん」

「ッ!?」

 直感のまま、美汐は空間跳躍を発動し真上に跳んだ。

 するとその直後、彼女が立っていた場所を漆黒の斬撃が奔り、数人の兵が身を断たれて絶命する。

 誰か、など聞く必要もない。何故ならその攻撃方法を彼女は一度見ているのだから。

「稲葉、水夏……!」

「うん」

 視線の先、黒衣を纏い、黒猫の人形を抱えた少女がいる。

 稲葉水夏。稲葉家最強の人物であり、そして神殺しを保有する魔族の少女。

「今回は近くに宏くんもいない。……最初から全力で行くよ」

 チリン、と鈴の音が響いた。

 

 

 

 ――08:40――

 

「っ……!?」

 声にならない、とはまさにこのことか。

 莫大な気配を瞬時に察知したマリーシアは手を繋いでいたプリムラを抱き寄せると、無心で横へ飛退いた。

 そして結果的にそれが彼女たちの命運を分けた。

「生きてる……」

 飛び散った瓦礫などで多少の傷は負ったが、それだけだ。意識もしっかりしているし、命に別状はない。

 どうやらどうにか回避出来たようだ、と安堵しかけて……すぐに気付いた。

 先程まで周囲にいたはずの、たくさんの人たちの気配がほとんど消失していることに。

「そ、んな……!」

 慌てて振り向けば、壁には巨大な穴が開き、廊下は瓦礫に閉ざされ、おびただしい血の臭いが充満している。

 慣れたくなくても、慣れてしまった戦場の臭い。それが再び彼女の眼前に広がっていた。

「運が悪かったですね。風子に気付いてしまった時点で終わりです」

「え……?」

「風子は強いので、あなたたちみたいな弱い人たちには興味がありません。風子に気付かなければ無視するつもりでした」

「――!?」

 では、つまり。皆が死んでしまったのは風子に気付いてしまった自分のせいだということか……?

 くらり、と目眩がした。もちろんそんな風子の思考など知る由もなかったが、結果的にマリーシアが彼らの命を奪ってしまったようなものだ。

 守りたいと願っての行動が、裏目に出た。彼女を支えていた芯が、一気に崩れ落ちそうになる。

「うるさいのは風子好きではないので、駆除しましたが……ここまで来ると全部潰してしまった方が綺麗になりますね。風子は綺麗好きとよく言われます」

 再び、風子の周囲に星型の何かが出現する。その数は十個にも満たないが、その一つ一つが超魔術を遥かに超える規模の魔力を帯びているのが翼越しによくわかる。

 勝てるわけがない。逃げられるはずもない。

 マリーシアは気配探知に優れている。だからこそわかる。こうしてこの目の前に立つ少女は、覚醒した祐一や、神奈さえも上回るような別次元の領域の者だ。

 戦う術を持たない自分などがどうこう出来る相手ではない。出会った瞬間に、もう終了宣告を受けたようなものだ。

 それが現実。これが現実。

 抗いようのない、残酷な世界。

「……マリーシア?」

 けど。

 だけど。

 いまこうして自分の胸の中で、ギュッと服を掴んでくる女の子がいる。生きている、命がある。

 後方の人たちもそうだ。風子の攻撃から運良く生き延び、まだその命の炎が消えてない人たちがいることもはっきりと知覚出来ている。

 自分はミスを犯した。が、まだ全てを失ったわけじゃない。ここで何もかもを放棄してしまったら、それこそ自分の命も含め一切合切がなくされる。

 そんなことは許せない。どれだけ絶望的でも、希望が見えなくても、諦めてはいけないんだ。

 マリーシアは祐一たちをずっと後ろから見ていた。自分だけ安全な場所で、必死に戦う彼らの背中を見続けていた。

 誰も諦めなかった。希望を失わなかった。絶望的な戦いにも、身を投じていた。

 ……戦いは嫌いだ。争いなんてしたくない。でも、無慈悲な暴力というものは確かにあって、抗うためには力が必要だというのも真理だろう。

 だとすれば、自分がすべきことは……。

「プリムラちゃん……。わ、私が時間を稼ぎますから、プリムラちゃんは生き残った人たちと一緒に先に奥へ行ってください」

「え……? でも……」

「大丈夫ですよ。……私は憶病ですからすぐに逃げます。だから……お願い、プリムラちゃん!」

「――」

 思わず大声になってしまったが、プリムラはその言葉の中に込められた何かを察したのか。強いまなざしで頷くと、人形を抱えたまま小走りに離れていった。

 だが、それを風子が見過ごすわけもない。

 無言のまま、星型の飛来物が一つ放たれる。ゴッ、という空気を破る音をこだまさせ、一条の光と化した攻撃は寸分違わずプリムラに迫り、

 

 破砕音は、しかしそのわずか手前で鳴り響いた。

 

「――これは驚きです」

 風子は、さほど驚いていないような声で言う。

「力を落としているとはいえ、風子の支配下にあるヒトデを防御しきる人が伊月さん以外にいるとは思いもしませんでした」

 彼女の視線の先。そこにあるのはプリムラの死体……などではない。

 そこには、明確な意思を持ち、風子の攻撃を通さぬと立ちはだかるマリーシアの姿があった。

 しかし、通常の彼女の姿とは違う。何が違うかと言われれば一目瞭然で、

「その翼……何か不思議な感じがするとは思っていましたが、純粋なマナの塊なのですね。更に驚きです」

 マリーシアの背から生える漆黒の翼。それが巨大化し、まるでマリーシアを抱くように折りたたまれ、重なり、そして風子の一撃を真正面から防ぎきったのだ。

「……は、ぁ、はぁ……通しません。ここから先は、絶対に」

 下手をすれば命が簡単に消し飛ぶという戦場。いまそこに、マリーシアは自分の意思で立った。

 足がガクガクと震える。何もしていないのに息は乱れるし、身体が緊張でひどく冷たい。

 だが上手くいった。翼の能力制御はこれまでいろんな人に魔力の繰り方を基礎として教わってきたし、自分で学んで来た。

 純マナの結晶であるマリーシアの翼は伸縮自在にして硬軟自在。練習では亜衣のディトライクの一撃も容易く受け止めたことだってある。

 とはいえ絶対に受け止めきれるという自信はなかったが、身体は勝手に動いていた。そして勝手に動いた自分の身体を、マリーシアは褒めてやりたかった。

 動けなかった自分じゃない。いまは、動ける自分になったのだということを。

「風子の邪魔をするのですか?」

 莫大な圧力が身体に圧し掛かる。気配探知は既に振りきれていて、正確に相手の巨大さを把握しきれていない。

 だがそれで良い。わからないくらいの方が、希望が持ててまだ救いだ。

「じゃ、邪魔、させてもらいます」

 だから言う。

 これまでのことを思い出す。過去の戦場を、祐一たちと一緒に戦った日々を、亜衣やリリスたちと学んだ授業を、そしてこの国のいろんな人たちの笑顔を。

 大丈夫。やれる。動ける。進める。そして、

「た、戦いは嫌いです。……でも、戦わなくちゃいけないときも、……あるんです! それがいまなら、私は……!」

 戦える!

 その意思を明確にした途端、マリーシアの想いに応えるように翼が更に巨大化した。更にマナが発光を始める。

 それは漆黒の光。見る者を委縮させるほどの、闇に属する混沌の光だ。

「これは……」

 ピクリと風子が眉を顰めた。

「翼よ……お願い、私に、皆を守れるだけの力を!」

 ゴァ!! と翼がはためく。すると数多の漆黒の羽が舞いあがり、そして、

「行って!!」

 射出された。数百、否、数千枚の羽が、それぞれが意思を持つかのように縦横無尽に奔り回り、風子を一気に取り囲む。

「面白いですね」

 風子もまた、星型を生みだす。そして風子を中心として、円を描くように漂う。

 星型と羽。形は違えど、互いの戦法はどこか似ていた。

 ヒュンヒュン、と高速で空を駆ける音だけが耳に響く。風子とマリーシア、星型と羽が踊り、そして、

「「!!」」

 互いに激突した。

 それは戦争だった。

 個対個の戦いではありえない、広範囲かつ多数の激突が火花を散らし、轟音を鳴らし、爆発を呼び、裂き、裂かれ、光と共に衝突する。

 万色の色彩溢れる星型と、純粋なまでの漆黒である羽は、一見して拮抗していた。

 一撃一撃の威力こそ星型の方が大きいが、数は圧倒的に羽の方が上で、一撃の威力を数で補うかのように相殺し合う。

 しかし、それを繰る者たちの様子は正反対だった。

「なるほど。やはり異国は面白いですね。見たことのない能力者が、こんなにいるんですから」

 どこか機嫌の良さを滲ませる弾んだ声の風子と、

「はぁ、はぁ、はぁ……!」

 もはや言葉さえ紡げない、必死の表情のマリーシア。

 それが彼女たちの差だ。

 風子は全力どころか、半分の力も出していない。対するマリーシアは不慣れな命のやり取りという戦場の上に、扱い慣れてない翼を気力と精神力で操作している。

 更に言えば数倍の数を操作するマリーシアの方が疲労度の蓄積が早いのも道理と言えるだろう。

 だが、そこに一筋の勝機もある。

 ――わかってる。本気じゃない。本気じゃなくてこれだけの力を持ってる人、半分の力だって出されたら押し負けちゃう。

 でも、

 ――だからこそ、勝つならいましかない。私を油断してる、いま、この瞬間だけが、私にある希望の光……!

 風子は強い。

 だが、絶対的強者だからこそ生まれる隙というものがある。

 そこを狙う。否、最初からそこにしか勝機などありえない。

 だから短期決戦。後の体力配分など気にしない。ここで全ての力を使い、

「自分の手で、希望を掴み取るんです……!!」

 突如、羽が一気にその数を増やした。

 それまでも数千はあっただろう羽の数が一気に膨れ上がり、数倍、更に更に数を増していく。

 それはもはや羽とも呼べない。視界一杯を覆うほどの漆黒は、まるで世界を塗り潰す影そのものだ。

「いっ……けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 殺到した。

 星型が風子を防御するよりも早く一気に殺到し、そのまま圧壊する。雪崩のように叩き落とされる羽は、それそのものが壁のように眼前のものを押しつぶす。

 単純な力押しだが、数というものはそれだけで暴力だ。そして純マナの羽は硬度もあり、生半可な魔術では突破は敵わない。

 いくら風子の星型と言えど、これだけ密集されていれば一撃で突破は不可能だ。

 故に、逃さない。

 床が爆砕し、壁が崩れ、そしてあらゆるものを呑み込んで……、

「あぁぁぁぁぁ!!」

 漆黒の羽が十字架のように突き立った。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 動きは、ない。

 マリーシアも力を使い果たし、膝から崩れ落ちる。あれだけ巨大な力を見せつけた翼も普段通りの……否、むしろ普段より小さくなっていた。

 半ば崩れかかっている床に両手をつき、頭を垂れる。

 終わった。マリーシアはそう思った。

 そう、終わったのだ。

 

 それは――敗北という形で。

 

 ズドン!! という爆砕音と同時、漆黒の十字架が根元から消し飛ばされた。

 漆黒の羽を数千枚以上集めて作った十字架が、容易く消し飛ぶという事実。そして何よりも、マリーシアの翼は先程から感知している。

 弱まってすらいない、風子の圧倒的な気配を。

「なるほど。その翼は風子の能力と似たもののようですね」

 無傷だった。

 服にさえ埃一つついていない。

「こ、のぉぉ!」

 それでもまだ悪あがきのように翼を展開する。縦横無尽に空間を奔る漆黒の羽の群れ。

 それはマリーシアの意思に従い、四方八方から風子を切り刻まんと襲い掛かる。

「良い攻撃です」

 全方位多角攻撃。マリーシア自身の防御にも使用できるあたり、なおさら風子の能力と瓜二つと言えるだろう。

「でも、残念ですね」

「え……?」

「だからこそ、風子には勝てませんよ」

 戦場の素人とも言えるマリーシアが風子を一時でも押しこむことが出来たのは、同じく多数を操る能力だったからだ。

 だが、同時に。

 似た能力だからこそ、差は明確だった。

「!」

 一瞬戦況を五分に戻したかに見えた羽の軍が……駆け巡る星型の群れに迎撃、撃ち落されていく。

 これが差だ。

 経験の差、数の差。力の差。

 そっくりな能力だからこそ、その違いは明確に、目に見える形で現れる。

「風子以外の相手であれば、通じたんでしょうけど」

「あ……!」

 それが風子の力。最強の鬼の力。

 勝っていたはずの数でさえ上回れ、それで何が出来ると言えるだろう?

「風子が相手だからこそ、あなたは負けるんですよ」

 食い破られる。

 必死の思いで作り出した“力”が、渾身の意思を込めて奮った“強さ”が、それ以上の力でもって犯されつくす。

 これが現実。精神論でどうこうできぬ、絶対的な力の差なのだと、マリーシアは愕然としたままに理解させられた。

「さて、終わりにしましょう。風子もこう見えて忙しいんです。あぁ、でも――」

 気付けば、マリーシアの周囲にいままでの中で最多の星型が浮かんでいた。

 十や百ではきくまい。各種の色を浮かべたカラフルな星型たちにマリーシアがありありとした恐怖の表情を浮かべ、

「すぐに死ななかった相手も珍しいので、風子はお礼を言ってあげましょう。楽しめました」

 告げた。

「ありがとう。さようなら」

 殺到する。そこに躊躇はない。

 加減なしの圧倒的な暴力が、マリーシアという少女を叩き潰した。

 

 

 

 ――08:44――

 

 そしてこちらの戦場もまた、状況は最悪の寸前にまで押しこまれていた。

「うあぁぁぁ!?」

「魔理沙!? く、あああ!」

 魔理沙が吹っ飛ばされ、援護に入ろうとした鈴仙の後方からギメッシュナーの斬撃が襲いかかる。

「この! そう何度も好きには……!」

 ヒミカが水夏の背後から永遠神剣で攻めようとするが、その時には既に水夏の姿はなく、

「どこ!?」

「ここだ。しかと受けよ」

「!」

 真上から、水夏の胸に抱かれたアルキメデスの魔術弾が放たれる。ヒミカはディフェンススキルを咄嗟に発動するが、そのまま叩き潰された。

「なんてスピード……!」

 美汐が呻くのも無理はない。

 速い。速すぎる。先程戦っていた時に手を抜いていたとしか思えないスピードだった。

 事実、水夏はこれまでほぼ本気で戦ってはいなかった。それは彼女の信念によるものだが、宏の離脱が彼女を本気にさせてしまった。

 ギメッシュナーは既に第三形態まで解放された上に、これまで行動を制限していたアルキメデスさえも水夏の援護に余念がない。

 近接戦闘の攻撃力は神殺しで増され、その速度は空間跳躍を駆使する美汐でどうにか追いつくレベル。そして距離が離れればアルキメデスの一撃が来る。

 攻撃のことごとくは回避され、どうにか当てる範囲に追い込んでもアルキメデスの結界がそれを防ぐ。

 三位一体とはまさにこのことか。全力で行く、と告げた水夏の言葉に偽りはなく、既にこの場で生きているのは美汐たち四人だけだった。

 その四人も既に限界が近い。いや、あるいは既に限界を超えているか。どうにか生きている。そういう程度でしかない。

「このままでは!」

 焦りがある。先程から城の方で感じる、この水夏さえも上回る強大な気配。誰かが一瞬戦ったような気配の流れも感じたが、それもつい先程途絶えた。

 おそらく……戦った者が負けたのだろう。

 とすれば、急がなければならない。既に守らなければいけない領域に敵がいるという事実。せめて避難を終えるまでの時間稼ぎをしなければいけないのに……!

「焦りが見え見え。それじゃあ狙ってください、って言っているようなものじゃないかな?」

「!?」

 声はすぐ近くから。

 空間跳躍を、という思考をしかし途中で破棄した美汐は、本能の赴くままに槍の柄を横に構えた。

 ギメッシュナーの一撃が、槍と、そしてそれを構えた美汐の腕を断った。

「――!!」

 切断された腕の痛みに全身が硬直しそうになるのを堪え、衝撃の反動を利用し、空間跳躍で大きく距離を取る。

 おそらく強引に空間跳躍に持って行こうとしていたら、間に合わずに身体を上下に二分されていただろう。

 腕と槍を引き換えにして命を守った。しかし、回復力が魔族の中では並である美汐にとって腕の切断は大きい。挙句、槍という攻撃力さえも失った。

 しかも敵はそれを見過ごしてくれるほどもはや甘くない。

 ダン! と大地を蹴った水夏が一瞬で間合いを詰めて来る。空間跳躍での離脱にも関わらず瞬時に詰め寄られたということは、

「動きを読まれた……!?」

「焦りは動きを単調にさせる。いまの君なら、ボクは何度だって殺せるよ」

 連続跳躍にも限界がある。一度現出してしまえば、再度空間跳躍に入るまでに秒近いラグが出る。そしてその僅かな隙間を突くことなど水夏なら容易であり、

「舐めるな!」

 同様の速度の世界に生きる魔女が、魔力を纏った体当たりで水夏に激突した。

 美汐から水夏を離すことこそ成功したが、水夏にダメージはない。魔理沙の突撃は水夏の身に届いていないからだ。

「我輩を忘れてもらっては困るな」

 アルキメデスの光の壁が、魔理沙の侵入を許していない。

「ならば狂気を操って……!」

「二度目はない。もうその手は通用しないよ」

 立ちあがり、狂気の瞳を向ける鈴仙に、水夏は目を合わせない。というよりも、背後を見せて鈴仙の視線から完全に視界を外す。

 しかしそれが無防備とイコールにならないのがいまの水夏だ。肩に持ち上げられたアルキメデスが、その人形の目で鈴仙を射抜く。

 爆発した。鈴仙が爆風に煽られ、大きく吹っ飛ばされる。そして結界に遮られた魔理沙には水夏のギメッシュナーが振るわれ、弾かれたボールのように地面に叩きつけられた。

 隙がない。目立つ破壊力や特殊能力があるわけではないが、総じて高レベルに纏められたバランスの良さが水夏たちを圧倒的強者として君臨させている。

 破壊力という点を除けば、そのバランスの良さは覚醒祐一にも匹敵し、こと身体能力面で言うならそれさえも凌ぐだろう。

「……こうなっては、覚悟を決めるしかありませんね」

 もはや猶予はない。躊躇があったら全てを失う。

 まだ城には王都民がいるし、何より有紀寧王妃がいる。ここで突破されるわけにはいかず、また後方の敵にもやらせるわけにはいかない。

 だがこうして四人で戦っていては、水夏の足止めが出来たところで城は後ろの敵に蹂躙されるだろう。

 ならば……もはや取り得る選択肢は一つしかなかった。

「魔理沙さん、鈴仙さん、ヒミカさん。ここは私が引き受けます。お三方は城へ。残っている方々をどうか頼みます」

「「「!?」」」 

 傷だらけの身体を震わせ、どうにか立ちあがった三人は、瞬時に美汐のやろうとしていることを悟った。故に、

「駄目よ! それじゃああなたが……!」

「このままではどの道同じことです。ならばより多くの者が生きる道を……。ええ、すいません。こんなことをカノンに属さぬあなた方に託すのは筋違いだということもわかっています。ですがどうか……」

 どうか、

「国の民を、そして王妃を……守ってください」

 それは託す言葉だった。

 もう自分には出来ないことだと、そう込められた覚悟と悲しみの言葉。

 それを受け、

「ったく。突然わけわからん世界に飛ばされたと思ったら、まさかこんな展開になるなんてな……」

 帽子のつばをで目元を隠しながら魔理沙は呟き、

「……だけど、こうなったら自棄だ。その言葉、確かに受け取ったぜ」

 鈴仙も静かに頷く。この二人なら一安心だ。一緒に戦った時間は短かったが、信頼出来る相手であることはわかっている。だから、

「……ありがとう。あなたたちがカノンにいてくれて、良かったです」

 礼を言うと、二人は速やかに戦場を離脱していった。その速度は、見ているこっちに安堵感さえ与えてくれるものだ。

 しかし、一人残った者がいる。

「ヒミカさん。あなたは……」

「悪いけど、あんた一人を置いて行けるほど私は判断力のあるやつじゃなくてね。付き合わせてもらいましょう」

「……エターナル・アセリアに顔向け出来ませんね、すいません」

「謝んないでよ。まだわからないじゃない」

 美汐の隣にヒミカが立つ。そして二人は、城を守るように立ちはだかった。

 そしてそんな彼女らのやり取りをただ見過ごしていた水夏は一度頷くと、

「お別れの言葉はすんだ?」

「……余裕ですね。私たち二人など、待っている時間を差し引いても余裕だと、そう言いたいのですか?」

「ううん。違う。むしろ逆だよ」

 水夏がギメッシュナーをゆっくりと構える。腰を落とし、目に力を宿し、

「死を覚悟してなお立ちはだかる相手ほど厄介なものはない。だから待たせてもらったんだよ。変に燃えられても、困るからね」

 告げる。

「でもこれで二対一。あんな言葉を託されたんだ。もう彼女たちも戻ってこないでしょ? ならボクの勝ちは揺るがないし、時間だって短縮出来る」

「……」

「ごめんね? ボクは君たちの友情とか忠義に敬意を表して待ってたんじゃない。もちろん余裕でもない。確実性を選らんだだけのことなんだ」

「それがあなたの戦い方ですか」

「うん。ボクの命は宏くんのもの。宏くんのためならどんな敵にだって挑むし、どんなことだって厭わない。例え残酷でも、卑怯でも、ボクは……宏くんのためなら、どこまでだって落ちていける」

 光が散った。

 ギメッシュナーを構えたこと、そしてこれまでの水夏の戦闘スタイルから瞬速での接近から始まると二人は思っていた。

 だがその心理的隙を突く、初手アルキメデスの極光がたちまち二人を焼き払った。

「くっ……! レッドスピリットを舐めないでよね!」

 比較的火属性の耐性があるヒミカが、ダメージを気にせず突っ込んだ。

 ヒミカはレッドスピリットでありながら接近戦を好む。アルキメデスの破壊力に勝てるはずもないのだから、自分の戦えるステージはインファイトにしかない。

 迫るヒミカに水夏もまたギメッシュナーで応じようとし、

「!?」

 しかし真上からの強襲をガードするためにギメッシュナーを振り上げた。

 金属同士の激突音。その正体は空間跳躍をした美汐だ。

 彼女の手にあるのは、半ばから断たれた槍の穂先部分。ヒミカ突撃の隙を利用して空間跳躍で拾ってきたのだろう。

 そして、そのために正面はフリーとなった。そこへヒミカが肉薄し、

「はあああああ!!」

 気合いと共に永遠神剣『赤光』を突き出す。必殺の間合いとタイミング。

 だが、

「ごめんね」

 地面から湧き出るように現れた数多の漆黒の刃が、『赤光』を断ち、そしてそのままヒミカの身体を串刺しにした。

「が、は……!」

「ギメッシュナーは神殺し。神さえ殺す理を断つ武具。普通の考えで立ち向かっても、意味なんてないよ」

 その光、溢れるマナ、間違いなくギメッシュナーから溢れる闇の刃と同質のものだった。

 だがギメッシュナーは美汐の一撃を受け止めるように上に掲げられている。だとすればこれは、

「神殺しの上位形態は所有者との同化に近い。つまり、ボクの身体を経由して刃を再出現させる、なんてことも……慣れれば出来るんだよ」

 地面から現れた刃は水夏の足を経由して。そして更には、

「こんな風に、ね」

 ズァァ! と水夏の両腕から曲線を描いて闇の刃が生まれる。矛先は美汐だ。槍を手放し、慌てて空間跳躍で退いたものの、完全に回避は出来なかった。

 肩と、そして脇腹。更にダメージは増え、体力は削れられる。だがそれよりも、

「ヒミカさん!」

「……ごめん、あんま役に立てなく、て……」

 崩れ落ちる。力ない笑みを浮かべたヒミカの身体が地面に落ちて、そしてマナの光となって空へと舞った。

 スピリットは人などとは違い、命を失うとマナの粒子となって消えていく。即ち世界からの消滅。スピリットの死だ。

「……まず一人」

 ゆっくりと水夏が向き直る。

「くっ……」

 ここに残ること、即ち決死の戦いであることなどわかりきったことだった。

 それでなお残ったのはヒミカ本人の意思。……だが、彼女の死を当然のものとして受け入れられようはずもない。

 もっと自分が上手くやっていれば。自分がもっと強ければ。そんな慙愧の念が浮かんでは消えていく。

 しかしそんなものは何の解決にもならない。何の足しにもなりはしない。だからこ、現実のいま、この時における最善を果たす。

「すいません。ヒミカさん……。でも、ありがとう。あなたのおかげで得られたこの時間、決して無駄には致しません」

「何か出来る? いまのあなたに」

「ええ。やれることはあります。……次で終わりにしましょう」

 息を吐き、手放した槍の穂先と、足元に転がっていた短剣を拾う。

 これまで共に戦ってきた法具たる槍。そして名も知らぬ兵が使っていた短剣。どちらも水夏とギメッシュナーに勝るような武具ではない。しかし、

「最後の最後に、目に物を見せてあげましょう」

 告げて、駆けだした。

 空間跳躍ではなく、自らの足による突撃。傍から見ればただの蛮行そのものだろう。

 これが良和であれば、舐めきった上で真正面から叩き潰そうとしたに違いない。

 しかし水夏は冷静だ。これを最後と告げた美汐に、何かしらの策があると思いこみ、ただの疾走を止めずに防御態勢でこちらを見据えている。

 思わず口元が釣り上がった。

「頭が回るからこそ、引っかかることもあります。昔の私のように……そしていまのあなたのように」

 ブラフ。

 口から出まかせを言って相手の行動を制限した。水夏はその場から動いておらず、あと三歩もすれば射程圏内だ。

「そっか、何もないんだ」

 だがその三歩は遠く、

「それじゃあ終わりだね」

 ギメッシュナーの破壊の刃が迫った。

 だが当たらない。ここで空間跳躍を発動し、その攻撃を回避する。

 だがそんなことは水夏もわかっていたことであり、行動予測から背後を振り向きざまに斬撃し、

「!」

 切断したのは美汐の外套だけだった。囮だ。とすれば、

「上!」

 そこに、美汐がいた。

 槍の穂先を両手で構え、突き下ろす格好だ。

 フェイントが機能しており、水夏自身の防御は間に合わない状況。だが、

「我輩がいることを忘れてはおらぬかな」

 光の壁が展開する。魔理沙の突撃さえ防いだ防御結界が、何の変哲のない槍の一撃を通すはずもない。

「迎撃ではなく防御しましたね」

 しかし、それを美汐は読み切った。

「自分で言ったのに、疎かですね。私たちの戦いで、そんな常識が通用すると思っているのですか!」

 瞬間、

「うぁ!?」

 水夏の身体から血が舞った。

「お嬢!?」

 水夏の肩。そこに短剣が突き刺さっていたのだ。

 そういえば、と水夏は思う。美汐は二つの武器を持っていたはずなのに、いま、彼女は真上で槍を両手で構えている。

 では短剣をいつ手放した? そしてどうして肩に突き刺さっている?

 その問いに、水夏はすぐさま答えを見出した。

「空間跳躍する前に投げておいたんだね……! 自分の足で走ったのはブラフじゃなくて、投げるための助走をつける目的で!」

 ブラフ、というブラフだった。

 更に、天野美汐といえば空間跳躍。そう思い込む相手に対して空間跳躍そのものを囮として相手の視界をロックした。

 魔力もないただの武器は気配探知も出来ず、更にアルキメデスの防御は一面型。美汐への防御として上にむけられれば、横はガラ空きだ。

 だからこそ、走って投げた短剣はいかなるものにも妨げられず、水夏の肩に突き刺さった。

 二重三重の心理的な罠。それは認めよう。しかし、

「魔族のボクに、こんな一撃がどうにかなると思ってるの!」

「思ってないですよ。これも所詮は布石。……これで終わりです!」

 更に空間跳躍。

 一度罠に嵌められた水夏は、この時判断を迷った。決めつけて、またあらぬ攻撃を受けるかも、という疑念。

 それこそが美汐の付けいる隙になる!

「!?」

 出現したのは、水夏の真後ろだった。

「今度はセオリー通りに……!」

「私は天野美汐! カノン王国軍所属、遊撃部隊長にして現カノンの暫定指揮官!」

 故に、

「その責務を、全うさせていただきます!!」

 美汐の最後の一手が、放たれた。

 

 

 

 あとがき

 なんか今回微妙に長くね?

 というわけでこんばんは神無月でございます。

 社会人になって約半年。SSに動画にゲームにと二足どことか四足の草鞋とかどんな怪物だよって感じですが、何とかやってます。はい。

 一個一個が遅くなっちゃってるけど、頑張ってますんでよろしくお願いします。

 さて、今回は……なんつーかまぁ、うん。悲惨な展開ですね。

 三大陸編で最も過酷かもしれないというカノンVSウォーターサマーです。なんせ敵がウォーターサマーのトップツーですからねぇ……。

 まぁとりあえず作中の事に関してはあんまり語ることないかもしれません今回は。見ての通りです、としかw

 とりあえず時間軸を見てもらえばわかると思いますが、カノンVSウォーターサマーがもう終盤であることはおわかりになるかと思います。

 多分次で終わるかな? どうなってしまうのか、楽しみにしてもらえるならば幸いです。

 ではでは〜ノシ

 

 

 

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