神魔戦記 第百五十章
「作戦決行まで、残り一日」
いよいよシズク殲滅作戦の決行が明日に迫った今日。
城周辺は昨日までの騒がしさが嘘のように静まりきっていた。
そもそも作戦決行の前日でも慌しいようでは話にならない。準備は数日前までには完璧にしているのが普通である。
今回は複数国家による大規模作戦ということで準備が一日前まで掛かってしまったが、本来ならこれでも遅い。
「――そっちはどうだ?」
作戦に参加する兵士たちは既にトゥ・ハート王国への移動を順次開始し始めている。
数が数なので一気に移動ということは出来ないのだ。
各国の武将、武官などの主要メンバーも兵士たちの移動が終わり次第最後にトゥ・ハートに集まる手筈になっている。
『そうですね。芳野さんや智代さんが上手く兵を纏めています。信頼の成せる業ですね』
「そうじゃない。俺が聞いてるのはお前のことだ、有紀寧」
そういうわけで移動を待つメンバーたちは建前上は待機となっているものの、本質的には自由行動とされた。
訓練に励んでも良し、精神統一して覚悟を改めるも良し、誰かと共に過ごすも良し。
……明日の作戦は、それこそ結果がどう転ぶかわからない。祐一としても細かい事をとやかく言うつもりはなかった。
かく言う祐一も、こうしていま――連絡水晶越しとはいえ――有紀寧と話をしているわけで。
「お前のことだ、兄につきっきりなんだろう? 身体を壊したりはしてないか?」
『はい、大丈夫ですよ』
「まぁ疲れててもお前ならそう言うだろうな」
『信じてくれないんですか?』
「信頼はしているが信用はしてないな」
『まぁ、ひどいですね』
クスクスと笑い声が聞こえてくる。確信はないが、まぁ大丈夫なのは間違いなさそうだ。
『でもありがとうございます。心配してくれて。でも作戦は明日だと言うのに陛下こそ大丈夫なんですか? わたしなんかと話をしていて』
「戦にかまけて妻の心配も出来ないようじゃ、夫としては失格だな」
『あら、祐一さんからそんな言葉を聞くとは思いもしませんでした』
おどけたような台詞に、違いない、と苦笑する。
『……でもわたしのことは本当にご心配なく。ですからどうぞ、陛下は心置きなく戦に思考を向けてください』
優しげな口調の中にも、一国の王妃としての強さが滲んでいた。
戦いに赴く祐一のいらぬ重荷にならないようにとの心配りだろう。ならば……その気遣いに応えよう、と祐一は思う。
「わかった」
『何もお助け出来ないことが心苦しいですが……あなたの無事と勝利をここでお祈りしています』
「それだけでも心強いさ。それじゃあ、切るぞ」
『はい。どうかご無事で。……ご武運を』
「あぁ」
魔力の供給を停止し、光を消した連絡水晶を机の上に置く。そして一息吐いたところで、扉の方に視線を向けた。
「――で、そんなところで何をしているんだ、観鈴?」
『うっ』
こもった呻き声の後、そーっと扉が開いていく。その隙間から窺うようにしてこっちを見ているのは間違いなく相沢観鈴であった。
「やっぱり気付いてた?」
「気付かないわけないだろう。気配遮断の持ち主でもなし、そんなところでじっとしてれば気付かない方がおかしい」
「そ、そうだよね。にはは……」
バツが悪そうにポリポリ頬を掻きながら観鈴は部屋の中に入ってきた。
「で、なんでそんなところにずっと立ってたんだ?」
「いや、有紀寧ちゃんと話をしてたみたいだったから」
「? それでどうしてそういうことになる。お前だって一緒に話をすれば良かったじゃないか。変な気遣いをする必要はない」
「うん。でもわたしたちは気遣うくらいしか出来ることないから……」
観鈴は自分が何も出来ないことを苦に思っているらしい。それは神奈の元に赴いたことや、以後魔術の勉強を必死にしていることからもわかる。
だが祐一としてはいてくれるだけでも良い、と思っている。『守りたい』者がいるというだけで、人は強くなれるのだから。
でもそれを押し付けたりはしない。それは祐一の考えであって観鈴の考えではないからだ。
観鈴が自分で決めて自分で足を進める以上、祐一がとやかく言うことはない。
「……もっと、役に立てれば良いのに」
「お前の気持ちもわかるけどな。でも急いでも良い結果は得られないぞ?」
椅子から立ち上がった祐一は、観鈴の傍に近寄るとそっとその頭に手を置き髪を撫で上げた。
「自分の歩幅で進め、観鈴。……大丈夫、これで終わりじゃないんだからな」
「……うん」
言外に、ちゃんと帰って来るという意味も込めて言う。
観鈴はそれで納得は出来ないようだが、それでも渋々というように頷いた。
少し強情というか、この辺はやはり神奈と似ているな、と思う。
でもすぐに観鈴は顔を上げ、笑って言った。
「信じてる。だから、観鈴ちん頑張るよっ」
いま自分が何も出来ない歯痒さと。
だからこそ、次こんな思いをしなくてすむようにいま頑張るという決意。
その気持ちがわかって、祐一も微笑を浮かべた。
「あぁ、頑張れ」
「うん!」
こうやってすぐに表情や気持ちを変えられるのも観鈴の長所だな、と思いながら……祐一はもう一度扉の方に視線を向けた。
「さて、と。君たちも何か用かな?」
「え?」
「あー、悪いな。馬に蹴られたくはないが、ちょっと邪魔するぜ」
観鈴は気付いていなかったようだが、観鈴が入ってきた直後辺りからそこに二人分の気配を感じていた。
感じ慣れたものではないが、一度感じたことのある気配。
入ってきた二人の姿を確認して、やはりな、と頷く。
確かその二人の名は――霧雨魔理沙と鈴仙・優曇華院・イナバ。
「少し話があるんだが、いま良いか?」
ニカッと男らしい笑みを浮かべて、黒い魔法使いはそんなことを言った。
カノン領となったクラナド。
元王都クラナドは第二首都クラナドと名前が変更されはしたものの、それ以外に特に何の変化もない。
変わったものといえば民の税程度か。とはいえあくまでこれも暫定処置であり、しっかりと時間を掛けていずれ修正されていく手筈になっている。
現状はそんな暇もないというのが実情で、こちらでもまた元クラナド兵たちが随時トゥ・ハートへ送り出されている。
そんな中で、
「あー、どうにか完成したねぇ」
クラナド城の脇……以前は兵舎があった場所に、いまは大きな二つの装置が構えられていた。
エーテルジャンプ装置。それがこの装置の名称だ。
その横でボリボリと髪を掻きながらへばっているのは大賢者と名高いヨーティア=リカリオンである。
「完成、と言っても正確には組み立てて設置しただけだが」
隣、煙草を吹かしてエーテルジャンプ装置を見上げているのは、共同作業を行っていた蒼崎橙子だ。
橙子の言うとおり、今回の作業はほぼ『建築』というより『設置』に近い。
そもそもここにあるエーテルジャンプ装置は元々カノンの予備として作られたパーツをクラナドに持ってきて組み上げ、設置しただけ。
もちろんそこにはヨーティアにしかわからない接続方法があるし、細かい作業も多いことは事実だが、それでもカノンで一から作っていたときに比べて格段に完成が早いのも当然であろう。
以前のカノン・ワン混合軍とクラナドが激突した際の煽りで破壊された兵舎。
だがその戦いやシズクとの連戦、またカノンの領土となった折に出て行った兵士たちの数を考慮すれば、建て直す必要はないというのがシオンの判断だった。
よって完璧に兵舎を取り壊し、そのスペースにエーテルジャンプ装置を設置したわけである。
「うぁー、酒飲みてー。ヒミカー、酒持ってきてくれ酒〜」
「ヨーティア様、さっきも飲んだばっかりじゃないですか……」
ヨーティアの護衛として後ろに控えているヒミカ=レッドスピリットはげんなりした様子で寝っ転がるヨーティアを見下ろす。
ヨーティアはその眼鏡越しに眉を吊り上げ、大仰に指を差し、
「バカヤロウ。酒は心身共に充実させるための栄養剤だ。私にとっては頭の回転を上げるための潤滑油でもある。だから持って来い」
「どういう理屈ですか……ってもう頭使う仕事は終わりましたけど」
「なら仕事終わりの一杯ってことだ。ほら持って来い」
言っても無駄だと悟ったのか、これ見よがしに嘆息してヒミカは酒を取りに行った。
肩を下ろして歩き去るヒミカを橙子が一瞥し、
「アルコールも飲みすぎれば毒だぞ」
「煙草は少しでも毒だねぇ」
「煙草は私の栄養だ」
「なら私の酒も一緒だな」
「なら仕方ないな」
「仕方ないだろう?」
勝手に完結し合う二人。
橙子とヨーティアは性格や考え方から似通っているところが多い。ほんの少しの言葉だけでも通じる何かがあるのだろう。
……単に二人ともおざなりである、という可能性も否定は出来ないが。
そうして煙草を再び吹かしたところで、橙子は不意に視線をある方向へ向けた。
気配を隠そうともせず一人の少女がこっちに歩いてきていたからだ。どうやらクラナドの、それも軍部の人間のようだが。
目新しい技術への関心……ってわけでもなさそうだし、兵舎が取り壊されたいま、この場にやって来る理由は普通ならないはずだ。
とすれば……残る目的は一つ。
「こんにちは」
ぺこり、と少女は橙子たちに向けて頭を下げた。
――私たちに用、というわけか。
「君は?」
「カノン軍クラナド方面部隊所属、一ノ瀬ことみです」
クラナド方面部隊、とはその名の通り元クラナド領を担当する者たちの総称である。もちろんこれも暫定名称だが。
そしてその大半は元クラナドのメンバーで構成されている。これも祐一の配慮のようだが、反旗でも翻されたらどうするつもりなのかと橙子は考えてしまう。
まぁ頭だけはやたら良い祐一のことだ、その辺もちゃんと考慮したうえで事前策は講じているだろうが。
……と、変な方向に思考がずれたことを自覚し、橙子は話を続ける意味でことみの方に身体ごと向けた。
「それで? その一ノ瀬とやらが私たちに何の用かな?」
「少し……知恵を貸して欲しいんです。大賢者ヨーティア様と、蒼崎に名を連ねるあなたに」
「知恵?」
こくん、と頷いてことみは腕の袖をまくり始めた。
「――なるほど。魔力の発現を封印されている、と」
ことみが話した内容はそういうことだった。
それを証明するように、ことみの腕には血の鎖のような紋様が刺青のように刻み込まれている。
なんでもこの封印魔術はカノンと敵対していたときに、カノンの者……つまり祐一の部下(あるいは仲間か。どうでも良いが)につけられたものであるという。
本来なら術者本人に解かせるのがセオリーだが、どうもその相手はシズクに連れ去られてしまっていて解きたくても解けないと、というのが現状らしい。
「特殊属性の封印術か。術式解体というのは私でさえなかなか難しいが……さてどうしたものか」
ふむ、と顎に手を添え考え込む。
ヨーティアは「魔術に関しちゃ橙子以上の知識を持っちゃいないよ」と丸投げで、ヒミカの持ってきた酒を横で呷っている。
確かにそうかもしれないがせめて考えるくらいはして欲しい。自分だってこんな面倒なことしたくないのだから。
「どうにもなりませんか?」
ことみの言葉に我に返る。橙子はずれた眼鏡を正しながら
「一つ、力技でこれを打開する方法には心当たりがある。だがあいつは今頃ダ・カーポだろうし……」
「――それって誰のことだよ橙子」
突然聞こえてきた声に、橙子は振り返りもせず苦笑してしまった。
まったく。相変わらずのタイミングで現れるやつらだ、と。
「どうやら君は運が良いらしい」
「え……?」
スッと、遠くからやって来る三人の人影、その先頭にいる女性を親指で指差し、
「どんなモノでも“殺せる”物騒な女がやって来たからね」
白河ことりは一人カノン王城の庭で佇んでいた。
いつもは賑やかだというこの城も、いまや明日に近付く戦のために多くの者たちが発っているので、やけに静かだ。
この感覚は、ことりも慣れている。
元とはいえ彼女も一国の王女である。戦に赴く者たちを見送ることも数えられないほどあった。
だが、ことりは出来ればそうして戦地へ赴く者たちの背中を見たくはない、と思っていた。
戦いは……嫌いだ。
勝つにしろ負けるにしろ多くの命が散っていく。
精神感応能力ということもあるだろうが、身近な者を失った人間の絶望や憎悪は、それだけでとても痛いし苦しい。
だから出来ることなら戦地になど向かわないで欲しいと。そんな夢想を思う。……現実的ではないとわかってはいるが。
例えこちらから攻め込まずとも襲われることはあるし、どうしても戦わなくてはいけない場面というのはあるだろう。
わかっている。わかってはいるが……やはりそれが本音なのだ。
カノンの人間など、ほとんど知りはしない。ただそれでも、そうした者たちを見送るのは忍びなかった。
それはあのときの――ダ・カーポが落ちた日の、あのときのことを思い出してしまうから。
「……っ」
思わず身体が震えた。
あのとき、あの場所での光景が目に焼きついて離れない。大丈夫だ、と安心させるように言ってくれた母や友はもう、この世に――いない。
強くなる身体の震えにギュッと自らの身体を抱いて――、
「こんなところにそのようなドレス一枚では、身体が冷えてしまいますよ? カノンは寒いですから」
「え?」
ふわりと毛布をかけられた。
突然の声に振り返ると、そこにいたのは侍女服に身を包んだことりと同い年くらいの少女だった。
「あ、ありがとう……ございます」
「一国の王女様が一介の魔術師に敬語など使わなくて良いですよ」
魔術師、という言葉にやや驚く。でも確かによくよく見れば侍女服に似ているものの、所々の作りが違う。
魔術師衣装に似せた侍女服ではなく、侍女服に似せた魔術師衣装といった感じか。
「魔術師……ということは、あなたも明日?」
「はい。あそこには多くの友や仲間がいます。だからそれを助けたい。そしてそう願うご主人様のためにも……戦います」
さっきの優しい笑顔とは違う、決意の滲んだ強い笑みだった。
きっとどんなことでも揺るがぬ信念と、絶対の忠誠の上で成り立った言葉なのだろう。
「凄いですね。怖くはないんですか……?」
少女は答えず、ただニコリと微笑むだけだった。
ただことりにはわかる。精神感応としての力が……この少女が恐怖を感じていないことをハッキリと伝えてくる。
それはこれまでの壮絶な戦いによる慣れであり、また仲間たちへの信頼であり、そしてもしもを常に考え動く覚悟によるものだった。
歩んできた道がそもそもことりとは違うのだ。
ことりが王城で民と兵に守られながら平和に生きてきたときには、彼女は主と共に闇の中を生き抜いてきた。
だがそれでも少女は清らかな心を失ってはおらず、
「白河王女。いろいろと大変でしょうが……目指すものがあるのなら、どうぞ挫けず怯まず進んでください。
あなたが再び立ち国を再建することを願い、待っているであろうダ・カーポの民のためにも……絶対に」
こうして人を励ますことさえ出来るのだから……本当に凄いと思う。
「……強いんですね」
「どうでしょう? ……でも強く在りたいとは思います」
明確な回答だった。自分のなりたい姿、望む未来をさらりと言ってのけ、そしてそうなれるように努力しているのが心でわかる。
こんな人に、自分もなれるだろうか?
自分の弱さを抱えながらも、誰かのために、そして何より自分のために、前へ、明日へ、目標に向かって進んでいけるだろうか?
……いや、進めなければいけない。そうカノン王とも約束をしたのだから。
「では、私はこれで。明日の準備もありますから。白河王女もあまりこんなところに長居していては風邪を引かれますよ?」
会釈をし、立ち去ろうとする少女。その背中にことりは慌てて声を投げかける。
「あ、あの! あなたの名前を教えてもらえませんか?」
「……」
少女はどういうわけか一瞬躊躇するように顔を伏せた。
そして数秒後、振り返りはせず少しばかり首だけを向け、どこか儚い笑みを浮かべながら口を開いた。
「――鷺澤」
「え?」
「鷺澤美咲です」
「鷺、澤……?」
その姓を、聞いたことがある。
そう、それは確か……ダ・カーポでも名の知れていた、そして没落した貴族の……。
「私は過去を捨て、新たな未来へ進むことを決めました。でも白河王女、あなたは消えた過去を良しとせず、やり直しを望んだ」
一息、
「――私には出来なかった道です。ですからどうぞ、頑張ってください。私も微力ながら、応援させてもらいますから」
最後に心からの笑みを見せ、美咲は去っていった。
……ある意味、似た境遇ではある。
不条理によって生家を潰され、突然未来は閉ざされ闇の中に蹴落とされた。
どうやら、自分は悲劇のヒロインにでもなった気でいたらしい。
このような不幸、おそらく世界に目を向ければ数え切れないほどあるのだろう。それでも人は必死に未来を模索する。
なら……自分もそんな人たちのように頑張ろう。美咲の言うとおり、待ってくれる人がいて、応援してくれる人がいるのなら。
そして、その明日を勝ち取るために戦いに出るカノンの者たちにもまた、笑われぬように。
「頑張ろう!」
「うん。頑張れ〜」
「わっ!?」
気合を入れるつもりで呟いた独り言に答えが返ってきて、思わず転びそうになった。
「っとと、大丈夫〜? ごめんね、驚かせちゃったかな?」
それを後ろから支えたのは、
「さ、さやかさん……?」
「もー。『さん』はいらないってば。さ・や・か! オーケィ?」
相変わらずのテンションをかもし出しているのは白河さやかだった。彼女はことりにとって遠い親戚でもある。
「さ、さやか」
「ん、よろしい!」
ほい、と体勢を直すのを手伝ってもらい、手が離される。ことりはありがとう、と言いながらも首を傾げ、
「えっと……さやかはどうしてここに? さやかも明日の作戦に参加するんだよね? 準備は……?」
「まぁ準備と言ってもわたしはすることほとんどないからねぇ〜。武器扱うわけでもないから手入れとかも必要ないし」
「そうなんだ?」
「そうなの。って、そうそう忘れるところだった。あっちの方で朝倉くんたちがことりのこと探してたよ? 」
「え、朝倉くんたちが?」
「うん。だから早く行ってあげて」
「わかった。ありがとうさやか」
軽く手を振って小走りに駆けていくことりを見送って、さやかは腰に手を当てながら微笑んだ。
「何があったか知らないけど、なんか吹っ切れたような顔をしてたねぇ。何より何より♪」
うんうん、と満足そうに二度頷いて、さやかもまたその場を立ち去った。
……その光景を、ある者が眺めていた。
いや、その表現にも語弊があるだろう。なんせ彼女は眼が見えていないのだから。
「……こんなところで何をしているのですか川名さん?」
不意に自分の名を呼ばれ、少女――川名みさきはゆっくり振り返る。
目には見えないが、気配でわかる。そこにいるのは共にカノンにやって来た里村茜だ。
「どこにもいないと思ったらこんなところにいたのですか。我々もワンに戻らなくてはいけないのですから、あまり勝手に動かないでください」
「勝手に……かぁ」
「……何か?」
「んーん、別になんでもないよ?」
ニコッと笑ってみさきは言うが、茜は怪訝に眉を顰める。
そんな茜の反応を知ってか知らずか、みさきはいつもの笑顔を顔に貼り付けたまま横に並んだ。
ともあれ、急ぎ戻らなくてはいけないので足を進めることにする。
と、数歩もしないうちにみさきが声を掛けてきた。
「ねぇ茜ちゃん。ダ・カーポの白河ことりさんとウォーターサマーの白河さやかさん、仲良さそうだよね?」
「? それがどうかしたんですか?」
わけがわからない、という顔をする茜を一瞥し、みさきは苦笑。
「ううん、それなら良いや。行こっか」
そう言い締めて、みさきはとっとと先へ進んでいった。
みさきの言わんとしていることがよくわからない。
茜はやはりみさきに違和感を覚えながら、その後ろ姿を追った。
「行こうよ純一!」
「私は絶対に反対ですからね兄さん!」
目の前で二人の少女が真正面から口論している。……否、正確に言えば自分に意見をぶつけていると言うべきか。
かったるい、と考えながら朝倉純一は壁に背を預けた。
カノン王城のとある一角。ダ・カーポから逃げてきた面々が集まり(ことりが見つからなかったのでことりだけいないが)、今後のことについて話し合っているところだ。
今後、と言っても遠い先の話ではなく目先の問題だ。
内容は単純。カノンがこれから戦いへ赴くというシズクへ、自分たちもついていくべきかいかないべきか。そういう話だ。
純一たちはダ・カーポの人間。シズクとは直接的な関係はなく、戦う理由は普通ならない。
だが、自分たちはカノンに助けてもらい、かくまってもらっている身だ。どこかで借りを返すのが礼儀だろう。そういう意味では参戦する意味はある。
それに聞き知ったシズクの戦い方は、純一でさえ苛立ちが募るほど醜悪なものだった。一人の人間として許せるものではない。
だから個人的にはカノンに力を貸しても良いと思った。純一のサーヴァントであるアイシアもまた、英雄としての考え方からか、この戦いに参加することを強く希望していた。
しかし逆に音夢が強くこれに反対した。また音夢ほとではないが、明日美も乗り気ではないのか目を伏せている。
「他者の心を操って、モノみたいに扱う人たち……そんな人たちを放ってはおけないよ!」
「六ヶ国もの軍が同時に動くんです! 私たちが出ようと出まいと結果なんて変わりません!」
アイシアの言うことも、音夢の言うことも一理ある。だから純一はどうしたものかと自分たちの身の振り方を決めあぐねていた。
「美春はどう思う?」
「美春はマスターの決定に従いますよ?」
「……個人的な意見では?」
「美春の意見はマスターの意見です」
隣に立つ美春は最初からこの調子で中立を貫いている。ニコニコ微笑んでいるが、おそらく純一がどっち寄りの考えを持っているかはわかっているのだろう。
いや、美春だけではない。音夢も感付いているからこそ、純一に向かって反対の言葉をぶつけているに違いない。
本当にどうしたもんかなぁ〜、と頭を抱えたところで、
「朝倉くんっ」
廊下の向こう、庭の方から小走りにやってくることりが見えた。
「おぉ、ことり。探したんだぞ」
「うん、さやかさ――こほん、さやかから聞いたよ。それで、何か用?」
「あぁ。ことりの意見も聞きたくて」
「私の……意見?」
純一はことりにこれまでのことをかいつまんで説明する。その間ことりはただ静かにうんうんと頷いていた。
「なるほど……」
「で、ことりはどう思う?」
ことりはダ・カーポの代表とも言える。祐一と約束を取り交わしたのもことりなのだから、最終的な決定権はことりにあると言っても良い。
考え込むことり。だが、純一はことりの答えにおおよそ見当がついていた。
おそらく彼女は首を横に振るだろう。
ことりが家族や仲間を失ったのはごく最近のこと。その傷が癒えぬうちに、純一たちを大きな戦場に見送るようなことは出来ないだろう。
誰よりも優しいからこそ……ことりは再び身近な人間を失うかもしれないという恐怖に抗えないはずだ。
アイシアと音夢が少し怖いくらいの表情でことりを凝視する。純一もプレッシャーにならない程度にことりを見つめる。
考えが纏まったのか、ことりがゆっくりと顔を上げた。でもその表情を見て、純一はわずかに驚いた。
何故だろう。その表情に一片の曇りもなく――、
「行ってきて、朝倉くん」
「「「「!?」」」」
それは誰もが予想もしなかった台詞だった。
皆の驚きの視線に晒されたことりは苦笑しながらやや俯いて、
「……正直ね、朝倉くんたちが戦場に行くのは怖いの。またあのときみたいなことになったらどうしよう、って……身体が震えそうになる」
「だったら――!」
「でもね」
音夢の言葉を遮って、ことりは純一を見た。
「ただ怯えてるだけじゃ……下を向いているだけじゃ、何も始まらないから。怖いからって踏み出すのを躊躇ってたら、どこにも進めないから。
……だからね、私は朝倉くんたちを止めない。だって朝倉くんも、アイシアちゃんも、天枷さんも……皆、行きたい、助けたいって考えてるもの」
「!」
精神感応能力。よく忘れがちだが、ことりはその能力を持っている。だから純一たちがどう思っているのか読み取ったのだろう。
ことりは皆をゆっくりと見回しながら、自分の胸の上で手を重ね、
「自分たちに出来ることをしていこう、って思った。……怖くても目を逸らさないで頑張ろう、って思った。
だから朝倉くんたちも、私のことだけを考える必要はないよ? 自分たちがしたいと思ったことをしてください」
ね? とことりは優しく微笑む。
そんなことりに、純一が力を抜くように息を吐き、微笑してぽむぽむとその頭を叩いた。
「わ、わっ、あ、朝倉くん?」
「何かあったんだな」
ことりは一瞬びっくりしたように目を見開き、でもすぐに嬉しそうな微笑みを浮かべて頷いた。
「……うん。ちょっと」
「そうか」
あれだけのことがあったにも関わらず、こんなことを言えるとは思いもしなかった。
ことりはもっと繊細である(と、勝手に考え込んでいた。
誰に何を言われたかは知らない。でもことりはあの惨状から目を背けるでもなく逃げ出すでもなく抱え込んで、敢えて純一たちの背を押した。
――そうだよな。ことりは……ダ・カーポの王女なんだもんな。
今更ながらに、思う。暦のような王家としての力は、きちんとことりにも受け継がれているのだと。
なら……もう迷う必要もない。
言葉は告げられた。覚悟も聞いた。これで渋る理由なんてありはしない。
ことりの頭から手を離した純一は、美春、そしてアイシアを見る。二人が笑って頷き返すのを見て、純一もまた頷いた。
「――よし、行くか。シズクに」
「うん!」
「はい」
そうと決まれば善は急げだ。早速カノン王――確か相沢祐一だったか――にこのことを言いに行かなければ。
「待って兄さん!」
歩き出そうとして、しかしその腕を音夢に掴まれた。
「どうしても行くというのなら私も――」
「いや、音夢と明日美ちゃんはここに残ってくれ。ことりを一人にしておくわけにいかないし」
「兄さんッ!!」
「これだけの大軍行動じゃ新参の明日美が指揮官を任せられることはないだろう。それに、防御力の高い音夢にこそことりを守って欲しい」
純一の言うことは正論だ。
明日美は完全な指揮官タイプ。だが指揮官とはそれ相応の信頼と実績が必要になる。見も知らぬ相手の命令を一体誰が素直に聞けるだろうか。
そして音夢は防御重視の能力者。『守る』ということに特化している以上は、侵攻より防衛に従事した方が良いのは言うまでもない。
それは音夢とてわかっているだろうに、しかし彼女は首を横に振った。
純一には何故音夢がこうも意固地になるのかがわからない。音夢は頭も良いし、適材適所ということも理解しているだろうに何故、と。
音夢は一瞬逡巡したものの、何かを言おうと切実そうな表情で口を開け、
「お兄ちゃん、はっけーん!!」
「うぉあ!?」
その場にそぐわぬ明るすぎる声と共に純一は何かに背後から押し倒された。
「な、なんだ……!?」
前のめりになった純一は慌てて背後を流し見るが、背中に抱きついているのかよく見えない。でも、
「うにゃー、本当にお兄ちゃんの匂いだよ〜」
その声と、この気配には記憶があった。
それは立ち位置的にハッキリとその相手が見えたであろう音夢からの言葉によって証明される。
「――さ、さくら!?」
「お、音夢ちゃんもやっほー! お久しぶり〜♪」
芳野さくら。
数年前に突然芳野家から失踪した天才魔術師にして純一や音夢の幼馴染。また純一にとって『いとこ』に当たる相手でもある。
「祐一から聞いたときはまさかって思ったけど……やっぱりお兄ちゃんたちだったんだねぇ〜」
「とりあえず離れろさくらっ!」
「んにゃ? あぁ、ごめんごめん」
パッと離れるさくら。そこでようやく振り返りさくらの姿を視界におさめた純一だが……間違いない。彼女は紛れもなく芳野さくらだった。
数年前となんら変わらない容姿で、にこやかな笑みと共に目の前に立っていた。
「さくら……。どうしてお前がカノンなんかにいるんだ?」
「んー? 芳野の家を出てから各国をぶらぶらしてたんだけど、ひょんなことから祐一の仲間になって、それ以来ここで暮らしてるんだよ」
要点を述べるにしてもはしょりすぎていて過程に何があったかまるでわからないのだが……まぁ一から十まで聞く必要もないか、と考え直す。
驚きはしたものの、さくらはいつだって唐突に何かをしでかす女の子だったし、失踪したとはいえ特に心配はしていなかった。
さくらならどこかで平気な顔で暮らしていけるだろ、という確信があったからだ。
「その外套のエンブレム……。そうか、れっきとしたカノン軍の人間なんだな」
「うん。まぁ部隊には所属してないけど。学校の先生もやってたりするよ。まぁいまは戦時下だから休学してるけどね」
「そうか。ま、俺としてはお前が無事だっただけで良いよ」
「うにゃ、ボクもお兄ちゃんに久しぶりに会えて嬉しいよ」
にっこり笑うさくら。その太陽のような笑顔を久しぶりに見て、純一もまた思わず笑みが浮かんだ。
だがさくらは不意に笑みの種類を変えた。明るい、心からの喜びではなく……淡い、物悲しそうな笑みに。
「でも……いろいろとあったみたいだね?」
「……あぁ。いろいろとな」
祐一からおおよそのことは聞いているのだろう。六戦将の壊滅。仲間と女王の死。王都の陥落。……だが、
「でも――いまはそのことは良い」
「え?」
「辛いこと、確かにたくさんあった。でも……だからこそ(、俺たちは前に進もうとしてるんだ。だろ、ことり?」
首だけで流し見れば、力強くことりが見て取れた。
察しが良いさくらのことだ。それだけでおおよそのことを悟ったのだろう。それ以上聞くのも野暮というようにそれ以上は何も言いはしなかった。
そんなさくらの気遣いに心の中で感謝しつつ、表面上はふざけたような態度でさくらの肩を軽く叩いた。
「というわけで、さくら。俺たちをカノン王のところに連れてってくれないか?」
「うにゃ? どうして?」
「俺たちもシズクへ向かうからさ」
「へぇ〜」
そこに対しては『何故』という質問が返ってこなかった。その辺りすら、もうさくらには大体わかっているに違いない。
昔馴染み故の以心伝心……という側面もあるにはあるが、これは純粋にさくらの理解力が高いという点が大きい。
さくら曰く、優秀な魔術師になるためには『あらゆるものを事象として、結果として理解する』柔軟性が必要だと言う。
そういう意味ではさくらは第一関門を優々突破しているのだろう。
ただ以前さくらは、そういう才幹だけならば純一の方が上だと言っていたが……それはあまり信用していない。
――ま、そんなことこそいまはどうでも良いんだけどな。
心中で苦笑し、純一は改めてさくらを見た。対し、さくらは頷いて、
「わかった。それじゃあ案内するよ」
「兄さん!」
やはりそれを音夢が止めようとする。だがその言葉の裏に見え隠れする感情に純一は眉を顰めた。
「音夢。何をそんなに怒ってるんだ? 合理的なお前らしくない」
「そ、それは……!」
言葉に詰まる音夢。瞳を右往左往させ、挙動不審な動きをしばらく見せた後、キッと純一を睨みつけて、
「兄さんのわからずやぁ!」
まるで捨て台詞のように言い吐いて音夢は走り去ってしまった。明日美やことりはともかく、付き合いの長い美春でさえその態度に唖然としていた。
「相変わらずの喧嘩……って感じじゃなさそうだね?」
「さくらもそう思うか?」
「うん。なんかちょっと違う感じ」
さくらもそう感じるのなら、きっと勘違いではないだろう。
純一が音夢から感じた感情は、怒りというよりむしろ……。
音夢は走っていた。
何で逃げるようにして走っているのかわからない。……いや、わかりたくないだけなのか。
……苛立ちが、止まらない。
ことりに笑う純一を見て。ことりの言葉で指針を決めた純一を見て。純一の言動で頬を赤く染めることりを見て。
ずっと会ってなかったのにいきなり純一に抱きつくさくらを見て。それに対して笑う純一を見て。
ズキズキと胸が痛み、ジクジクと頭が疼く。
全てはあのとき、ウォーターサマーがダ・カーポに侵攻してきてから狂い始めたのだろうか?
いや違う。正確にはもっと前……純一がサーヴァントであるアイシアと、魔導人形となった美春を連れ帰って来たときからのような気がする。
平穏な二人だけの生活が……あの日に終わりを告げた。
どうしてこんなことになったのだろうか? 状況と争いに流され、故郷たるダ・カーポからカノンという国に亡命紛いに逃げ込んで。
その上自分たちとは関係のない戦いに大事な兄が身を投じると言う。
ガン! と音夢は無意識のうちに真横の壁を叩いていた。
怒りが抑えられない。暗い感情が止まらない。苛立ちが怒りとなり、怒りが憎しみとなって渦を巻き、増加し、昇華される。
「こんなことなら、いっそ――」
アノトキ、コトリナンテシンデシマエバ……、
「ッ!?」
ハッとなって壁から離れる。
「い、いま、私……何を考えて……?」
自分が考えたこと……その異常性に自分で恐怖した。
自分の感情がコントロール出来ない。思ったこと、感じた感情がそのまま口から吐き出され爆発してしまいそうになる。
感情を押さえつける術は得意だったはずなのに、どうして急に。
ことりとさくら……二人のジャマモノが集まったからそんなことを考えてしまったんだろうか?
……ジャマモノ?
「駄目! 私、本当におかしいよ……」
思わず額に手を当てる。熱などありはしないが、自分の頭と正気を疑った。
まるで、理性というものが削ぎ落ちてしまったかのようだ。
自分の感情を自分でコントロール出来ない恐怖。足元が浮き足立つような妙な浮遊感。そして募るばかりで消えようとしない怒り。
それらに苛まれたまま、音夢はずるずると崩れ落ちた。
「助けてよ……兄さん」
夜。
六ヶ国合同軍がシズクへの侵攻を数時間後に控えた、月夜の綺麗な夜空の下で。
その『青年』は小さな笑みを浮かべた。
「さて……結果はどうなるかな? これだけお膳立てしたんだ、全部水の泡になるようなことだけは避けて欲しいけど……」
ここまでの下準備は、それはもう苦労したものだ。
実際自分たちが出向いたほうが早いだろう、ということでさえなるべく表舞台に出ることはせず遠回しな手段で策を講じてきた。
まぁ元々肉体労働向きではないし、そういった厄介ごとというか面倒ごとは自分たちの上司(が行っているから良いとしても。
だから今回の企図にしても、成功してもらわなくては困る。……いや、実際はほぼ間違いなく成功するだろう。それはもはや確信に近い。
にも関わらずわずかにでも不安が残るのは……そう、この世界にいるいくつかの『イレギュラー』のため。
「エターナルたちも本格的に動き始めてきた。魔界孔の主なんかも活発になってきてし、水面下での小競り合いもそろそろ潮時だろう。
……それに星の鬼子や月の吸血姫はともかく、大蛇の女帝や蜘蛛の女王がいつ動き出すとも限らない。
他にも『翠の月帝(』や『蚕食の黒百合姫(』、『堕天せし禁句(』の行動にも注意が必要、と。……あの方じゃないけど、動き回る身にもなってほしいね」
肩を落とし、空を仰ぎ見た。
夜空に点在する星々が煌き輝いている。その壮大さ、雄大さが……いま、この身となってはどこまでも狭く窮屈だ。
存在概念が根本から変質したあの日、あの夜から世界は変わっていないというのに……こうも視界が変わってしまうのは、やはり在り方が異なるためだろう。
あのときは気にもしなかったのに……こうなったいま、ありありと理解する。
「……この世界は、歪に過ぎる。余剰空間があるのにそれを有効利用出来てない。まるで大きな器の中に、小さな箱庭を入れているようだ」
エターナルたちはこれを『世界が完成していない』と表現しているようだが、あながち間違ってはいないだろう。
世界と同一と言っても過言ではないあるモノ(が封印されたこの世界。その封印が解かれない以上、この世界はいつまでも歪んだままだ。
ある者は気付いて、素知らぬ顔を決め込んでいる。
ある者は気付いて、封印を解こうと躍起になっている。
ある者は気付いて、封印が解かれぬ前に革変をしようと暗躍する。
ある者は気付かず、自らの力の限界を決め付けている。
ある者は気付かず、世界の理を誤解したままでいる。
ある者は気付かず、いま見ているこれが全てであると勝手に解釈する。
あぁ、と。青年は微小混じりに考える。
――早く、一刻も早く本物の世界(を見てみたい。
「……そのためにもいまは行動あるのみ、かな」
そう笑った青年は、いつの間にかその場から姿を消していた。
まるで青年など最初からそこにいなかったかのように……忽然と。
あとがき
はい、どうも神無月です。
また長くなりました。最近この一言が定型句になっている気さえします(ぁ
ま、んなことはともかく中身の話。
いよいよ前準備も今回で終了です。まぁ若干次回もそれっぽい話が続くことになりますが。魔理沙たちの話も次回でわかります。
全体的に見ると今回はダ・カーポ関連が多かったような気もしますね。書くまで気付きませんでしたが(ぁ
さて。ようやく皆さんお待ちかね……なのかどうなのか知りませんが、次回よりシズク戦の開幕となります。
過去の神魔にはない超大規模戦闘になりますので、結構な話数を使うと思います。
気長にお付き合いくださいw
ではまた。