神魔戦記 第百四十三章

                     「三十秒のボーダーライン

 

 

 

 

 

 絶体絶命の大ピンチ。現状を一言で表すなら、それ以上に適切な言葉はあるまい。

 周囲を完全に包囲されている。敵の数は少なめに見積もっても千は下るまい。しかも中には六戦将を倒した連中までいる始末。

 ――かったりぃ。

 口癖を心中で呟いた。首元を伝う冷や汗が不快感を増幅する。

 ――けど。

 何故だろう。どう転んでも突破しようのない最悪の状況であるにも関わらず、純一の頭にはある感情がまったく浮かんでこなかった。

 絶望。

 この状況に身を置けば誰しも抱くであろう当然の感情が、しかし純一の中に芽生えない。

 ズキン。眼球が痛む。

 どうやらまた理由のわからない『確信めいた直感』が働いているらしい。

 純一はどういうわけか……ここからちゃんと逃げ出せる(、、、、、)などと、考えている。

 おかげで思考はクリアだった。こうしているいまもなお、この場から逃げる算段を頭の中で組み立てている。

 敵の包囲網を崩すには? 崩せないのなら他の方法は? 材料は? 人員は? 戦力比は?

 自身の問いに自身の考えが答えを導き出す。自分でも驚くほどスムーズに思考が集約していく。

 そして全ての材料を繋ぎ合わせ最上の『答え』を見つけ出し――、

 

「ごめんなさい……!」

 

 不意の言葉と衝撃に、純一は一旦思考を停止した。

 後ろを振り向けば、小刻みに身を震わせたことりが泣きそうな顔で純一の腕にすがり付いていた。

「ことり……?」

「ごめん、ごめんね……。私の、私のせいで皆を巻き込んじゃって」

「おい、ことり……」

「私が足手纏いなばっかりに……私が無力なばっかりに……ただ皆に甘えて、巻き込んで、そのせいで……!」 

 純一が肩を揺するが、気付かないようにことりはただ首を振るだけ。

 危機的状況に精神が錯乱しかけているようだ。

 無理もないかもしれない。友達だった六戦将が殺され、最愛の姉であった暦を殺され、そして助けに来た友さえ自分共々殺されようとしている。

 王女とはいえまだ少女。精神的な重圧は、とっくに許容量をオーバーしている。

 ……だが、

「私だけが死んでれば――」

 その言葉だけは、どうしたって許せなかった。

「生きることを諦めるなッ!!」

「!?」

 その場にいる誰もが驚くほどの大声だった。

 目を見開くことりの顔をやや乱暴に左右から掴み、真正面から見据える。

「お前がここでめげたら! ここで諦めたら! お前を逃がすために戦ってくれた皆の命はどうなる!? 無意味になるのか!?」

「でも私がいなかったら……!」

「勝手に決めんなよ」

 静かながらに、しかし有無を言わさぬ迫力を秘めた言葉だった。

「敢えて汚い言葉を使わせてもらうぞ。……自意識過剰もいい加減にしろ」

「!」

「工藤も、アリスも、ななこも、暦さんも……そして俺も、自分の意思で戦場に立ってんだ。そして勝手にお前を守ってるんだ。

 お前のせいじゃない。この結果に、ことりのせいであるところなんて何一つない。だから勝手にふざけた重荷を背負うのはいますぐ止めろ」

 押し黙ることりに、純一は言う。

「もし背負うのなら……散っていったあいつらの意思を背負えよ。それがことり――王女のお前が生きて成すべきことだろう? ……違うか?」

「……わ……ない」

「声が小さいぞ、ことりッ!」

「違わないッ!!」

 目に力が戻った。

 よし、と頷き純一がその頬を、そして頭を撫でる。

「なら諦めるな。生きることだけを考えろ。お前は一人じゃない。俺がいる。俺たちがいる。

 ことりに出来ないことは俺たちがしてやる。ことりが助けを求めるんなら絶対助けてやるから。

 だからお前はお前のすべきことをするために……絶対に生きることを諦めるな。良いな?」

「――うん。わかったよ、朝倉くん」

 ことりがしっかりと頷いた。

 それを見届けて純一は前に向き直るが、その隣で明日美が探るような目で純一を見つめる。

「で、でも朝倉さん。実際、この場を切り抜ける方法なんて――」

「なくはない」

 あっさりと純一は言った。

 瞠目する皆をしかし純一は無視し、アイシアに視線を向ける。

「アイシア。お前空間跳躍系の魔術使えないか?」

「出来なくはないけど……十数分の時間が掛かる上に単体専用だよ。この人数なんでまず無理」

「そうか。出来なくはないんだな」

「純一……?」

 わけがわからず眉を顰めるアイシアに、純一は笑って、

「だったら出来るようにするだけだ」

 そう告げた。

 

 

 

 純一たちを包囲したウォーターサマーの軍勢。

 だが彼らはすぐに純一たちに襲い掛かりはしなかった。いや、出来ないと言うべきか。

 何故なら――城の真上、そこにいまにも能力を発動せんとする伊吹風子が佇んでいるからだ。

 ……彼女に『仲間』という概念はない。

 家族だろうが同軍だろうが邪魔ならまとめて消し飛ばす。そういう思考の持ち主であることを、良和や公子は重々知っている。

 だからまずは風子に釘を刺しておかなくてはいけない。

「風子!」

 全軍を止めた良和が風子を見上げ、大きな声で言う。

「お前の役目はもう終わった! ここからは僕たちの仕事だ! 風子は手を出さないでいてくれ」

「――」

 風子一人でもあの面々を殺すことは容易いだろう。だがあそこにいるのは王族のただ一人の生き残り。これだけは良和の手でくびり殺したい。

 風子の無言を了解と認識し、良和は視線を元に戻した。

「……何かをしようとしているようですが」

「気にするな」

 公子の囁きに良和は鼻を鳴らす。

 確かに何か相談しているようだが、なんのことはない。この包囲網を掻い潜って逃げる方法なんて皆無だ。

「所詮最後の悪あがきだ。……行くぞ」

 良和が歩を進める。

 走るわけではなく、普通に。あたかもじわじわと相手の恐怖を誘うように。

 ウォーターサマーの軍勢が良和に同調するように包囲網を狭めていく。

 ――さぁ泣き叫んで後悔するが良い。自分たちの行いを。

 手を禍々しい鬼の魔手に変貌させ、良和は口元を歪める。

 ……だが次の瞬間、

 

 天を貫かんとするほどの強大な魔力の放流が迸った。

 

「――ッ!?」

 突如湧き上がった魔力は思わず手で顔を守るほどの圧力と魔力量。

「何が起きている……!?」

 瞠目する良和の視線の先、圧倒的な魔力を纏っているのは一人の少女。

 アイシアだった。

 

 

 

「どうだアイシア!」

「うん、凄い……! これならやれるよ、純一!」

 天に昇るほどの強烈な魔力を放つアイシアが、歓喜の声をあげる。

「所用時間は!?」

「これなら……三十秒もあれば術式構築できるよ! 皆まとめて空間跳躍が出来るっ!」

「よし!」

 思わずガッツポーズする純一。まさに彼の予想通りだった。

 純一が行ったことはとても単純なことだ。

 現段階の魔力量で足りないのなら、魔力量を増やせば良い。だが魔力量なんてそう簡単に増えるものではない。

 しかし純一はそれが出来る三つの方法を知っていた。

 まず一つが、

「〜♪」

 白河ことりの『歌』による能力上昇。

 歌姫と呼ばれる彼女の歌には、一時的に魔力量を底上げするものさえある。

 そして二つ目。

「彼の者に成長の加護を、『リューイ』!」

 朝倉音夢が従えるニ柱の大精霊の一、『成長』を司る『リューイ』。

 その能力は『任意の対象一人の全能力を一段階上昇させる』こと。この効果は音夢だけではなく音夢の指定するいかなる対象にでも効果を示す。

 無論、全能力の中には魔力量も該当する。

 そして三つ目。最後の一手が、

「――令呪の下に告げる。キャスターよ、俺たちを絶対安全圏まで空間跳躍で逃がせ!!」

 サーヴァントを律する三つの令呪。その絶対命令権を使用しての、限定魔力ブースト。

 令呪は何もサーヴァントに反抗不可な命令を下すためのものではない。限定的な命令であれば、サーヴァント自身の能力を底上げする強化の側面も併せ持っている。

 三段階の魔力強化。それぞれの強化が倍々となって膨れ上がり、その結果がこのアイシアの尋常ならざる魔力量を生み出した。

「これなら……!」

 音夢や美春、明日美の表情に希望という名の火が灯る。

 三十秒。

 その三十秒を耐え切れば――自分たちはこの包囲網から逃げ切ることが出来る……!

「そこの二人! えーと……魔理沙と鈴仙だったか」

 そんな中、純一はその二人へと近付いていく。

「あんたたち二人の能力を教えてくれ! こうなったらあんたたちの力も頼りにさせてもらう!」

「それは構わないけど……」

「良いのか? お喋りしている間に敵さんやって来るぜ?」

 魔理沙の言うとおりだ。突然の巨大な魔力の発露により危機感を覚えたウォーターサマーの軍勢が一気に距離を詰めてきている。

 おそらく五秒もあれば前曲の敵とぶつかることになるだろう。話をしている余裕などないはずだ。

 だが純一は首を横に振った。

「大丈夫だ。俺の読みが正しければ、何もしなくても十秒は稼げる」

「え?」

「だから早く教えてくれ!」

 魔理沙と鈴仙はどうしたものかと顔を見合わせる。

 だが実際ここまでは純一の言うとおりに事が進んでいる。彼の頭の回転が凄まじいことは二人にももうわかっていた。

 ここから逃げ出すには純一を信じることが一番の得策。そう判断した二人は頷き合い、

「わかった。十秒で伝えきるぜ」

「質問はなし。聞き逃したりしないでよ」

 頷く純一に、二人は自分の能力を語り出した。

 

 

 

 あの魔力に当てられて、ウォーターサマーの軍勢は誰もが焦りを覚えた。

 時間を与えてはいけない。与えれば、必ず何かが起こるはずだ、と。

 彼らはアイシアが空間跳躍を行うなどとは知らない。だがもしあの魔力を全て攻撃に向けられたら……全滅、とまでは行かないが確実に大打撃を受けるだろう。

 だから何かをされる前に殺さなければいけない。

「殺せッ!」

 良和の声に、全員が攻撃態勢を取る。

 ……だが、

 

「風子の邪魔をしないでください」

 

 それらを遮るように、上空から破滅の雨が降り注いだ。

「!?」

 視認したのであればもう遅い。事前に直感で気付けたとしても防げる者などごくわずか。

「ぐああああ!?」

 消し飛ぶ。飛来した何かが鎧を容易く撃ち破り、凍結させ、爆発させ、切断し、溶かし、数多の軍勢を沈めていく。

 その攻撃の前では、

「なっ――きゃあ!?」

 水瀬の『不通』の結界も、

「うぉ……!?」

 稲葉の結界師としての防壁も、なんの役にも立ちはしない。

「宏くん!」

 これらを完璧に迎撃出来たのは神殺しで切り払った水夏と、

「ちぃ!」

「く……!」

 飛来物を握り潰した良和、そして『斥力』の力で軌道を逸らせた公子の三人だけだった。

 破壊の雨が、止む。

 いままさに純一たちに襲い掛かろうとしていたウォーターサマーの軍勢、その前曲部分がわずか数秒で壊滅していた。

 宏は水夏に守られ、小夜と秋子もなんとか直撃こそ免れたものの、そういった面々以外は全員死んでいるか重傷だった。

「……風子ぉぉぉッ!」

 歯を噛み締めた良和が、怒りに吼える。

「どういうつもりだ!? 手を出すなと言ったはずだぞ!?」

「風子、頷いていません」

 それは良和とは裏腹に、どこまでも冷めた台詞だった。

「そして風子は柾木さんの部下でもありません。命令なんて受ける必要もないです。ぷち最悪です」

「お前……!」

「あそこの変な人は風子が殺します。そう決めたんです。誰にも邪魔はさせません」

 風子の眼が……そこで初めて良和に向けられた。

「邪魔するのなら――殺します」

「……ッ!?」

 殺気などは微塵もない。が、良和は間違いなくその視線に射竦められた。

 見ていない。

 風子は良和などまるで見ちゃいないのだ。

 ……そう、気にするほどの相手ではないと暗に告げているように。

「……下がれ」

「え? しかし――」

「良いから下がれッ!!」

 良和が怒鳴りながら反転していく。それを見て慌てて他の部隊も後退していった。

 単体戦力であれば最強は良和か水夏。そのうちの良和が下がったということは……この場で風子を止められる者がいないことを意味する。

「――」

 風子はその後退を一瞥して、純一たちを見下ろす。

 視線が、合った。

 こちらを見上げる……朝倉純一と。

「……最悪です」

 あの眼。あの視線が妙に苛立つ。

 

 

 

「凄い。本当に十秒稼いだ……」

 音夢が感嘆の声をあげる。

 純一の言ったとおり、本当に何もしないでも十秒という時間を稼いでしまった。

 頭が回るなんてレベルじゃない。いま純一は、それこそ未来が見えているかのように全ての事柄を掌握している……!

「あいつの性格を考えれば、こうなるだろうことはわかるさ」

 純一はあっけらかんとそんなことを言うがそういう問題だろうか? 少なくとも音夢にはそうは思えない。

 だが音夢は知らない。純一は一度風子の夢を見ている。

 そこで純一は彼女の性格や生い立ちを知り、それを元にこの確証を得た。

 どういうわけかわからないが風子は間違いなく自分を狙っている。ならばそれを誰かに譲るわけがない、と純一は考えたのだ。

 そのいざこざにざっと十秒。読みも外れてない。それにもう一つ。

「――やっぱりそうか」

「どうした?」

「わかったんだよ。あの星型の飛来物の特性が」

 皆が驚き純一を見るが、純一の意識は既に思考の中にいた。

 彼にとって、最大の問題はこの十秒の後、残り二十秒からだった。

 たとえ十秒を稼げたにしても残り二十秒。その間あのあまりに規格外な星型の飛来物を防ぐ必要性がある。

 だが論理的に無理がある。最大の守り手である音夢の『ハビリオン』を容易くぶち抜き、強度に定評のある水瀬の結界さえ砕くほどの攻撃力。

 それを二十秒とはいえ防ぎきるなんて、実質不可能だ。

 ……が、純一はこの星型の飛来物に一つの法則を見出していた。

 そしてここにいる面々の能力を使えば、その法則を利用し防ぐことも可能だということも考え至っている。問題はただ一つ。

 ――あとは時間との勝負だ。

 こっちが読み勝つか。あっちが押し勝つか。

 答え(アンサー)は二つに一つ。賭け金(ベット)は皆の命。分の悪い賭け。しかし、

「負ける気は、微塵もないッ!」

 視線の先、風子の周囲に数多の色が出現する。遠く、光点にしか見えないそれはまさしく星型の飛来物だ。

「来るぜ!」

「鈴仙! 風子を見ろ(、、)!」

「わかった!」

 純一の指示通り、鈴仙が風子を見た(、、)

 次の瞬間、風子から破壊を司る星たちが発射される。各色の光の尾を引き飛来する様は、さながら鮮やかに輝く流星群。

 だが見た目の彩りとは裏腹に凶悪な破壊をもたらす星が純一たちをつるべ打ちにする。

 着弾。地面が抉り飛び、破壊の惨禍を撒き散らす。耳がおかしくなりそうな連打。どう考えてもあの中にいて助かる見込みなどない。

 

 ……はずだった(、、、、、)

 

「……」

 風子が目を見開いていた。

 否、彼女だけではない。その様を見ていたウォーターサマーの軍勢、皆が同じ表情をしていただろう。

 巻き上がった土煙。それが晴れた先に――純一たちは誰一人欠けることなくその場に佇んでいた。

 何故?

 どうやってあの攻撃を防いだのか? かわしたのか?

 ――残り十七秒。

「――」

 風子が再度、同じ攻撃をする。

 無論発射された星型の飛来物は全て純一たち目掛け発射され、地面へ突き刺さり同じ惨状を作り出す。

 だが、やはり変わらない。

 純一たちは、無傷のままにそこに立っていた。

「兄さん、これは……?」

 だが驚いているのはウォーターサマー側だけではない。この状況がどういった経緯で作られているのか、音夢たちにも理解出来なかった。

 何故なら、

「どうしてあの攻撃が……私たちを(、、、、)避けている(、、、、、)んですか?」

 そう。

 純一たちは風子の攻撃を防いでいるわけでもかわしているわけでもない。

 風子の攻撃が勝手に純一たちを避けた(、、、)のだ。

「これは鈴仙の力さ」

 鈴仙・優曇華院・イナバ。

 純一が彼女から聞いた能力。それは……『波』だった。

 鈴仙は『波』を自在に操ることが出来る。

 元来彼女は『狂気を操る』と言われているらしい。そしてその実体は、『波』の支配にある。

 人に限らず生き物は多種多様な『波』を五感で受けることで生きている。もしそれを操作されれば、気が触れておかしくなる者も出るだろう。

 それが彼女の能力。媒体は眼。人を狂わす真紅の眼。この世界で言う魔眼にそれは近い。

 いま鈴仙が行ったことも同じこと。彼女が操作したのは二つ。

 一つは『光波』。視覚情報にとって最も重要な光の波を操作し、遠近感、場所、位置をずらし鈍らせる。

 もう一つは『位相』。これは概念的な波であるが、波であれば彼女の支配下におくことは容易。逆位相を取れば存在が希薄になり気配探知さえままならなくなる。

 よって現在風子は純一たちが『見えているのに見えてない』あるいは『見えているのにそこにいない』という風に認識しているはずだ。

 故に当たらない。認識がずれている風子の攻撃は、本来彼らがいる場所とは見当違いの方向に放たれるのである。

 ――残り十ニ秒。

 しかし、

「純一のやったことはわかった。でもおかしいだろ? あいつの攻撃は視覚に頼らず動いてたはずだぜ?」

 魔理沙の言うとおりだ。

 純一たちが魔理沙と飛んで逃げているとき。あれは完璧に風子の視覚とは無関係に追跡していた。

 鈴仙の能力は眼で見た対象のみに左様するもの。風子が視覚を利用していないのなら、本来効果はないはずなのである。

 だが純一は事も無げに言う。

「見た目が同じ攻撃でも、全てが同じとは限らない」

「どういうことだ?」

「次が来る!」

 魔理沙の問いを遮り、純一は告げる。

 見れば確かに風子の周囲に再び光点が出現する。三度目の攻撃、これもまた外れるかと思ったが、

「今度は当たるぞ! 音夢、ことりとアイシアの真上に『ハビリオン』を! 鈴仙は弾幕! 美春はサポート!」

「「!」」

 まさしく純一の言うとおりになった。

 星型の飛来物は空中で軌道を変え、今度は確実に純一たち目掛け襲い掛かってきた。

「く、守護せよ『ハビリオン』!」

 十枚の花弁が咲き、音夢たちの頭上を覆う。その後ろ、鈴仙から数多放たれる魔力弾(に純一は見える)が迎撃に飛ぶ。

 接触、着弾。鈴仙の放った弾幕と激突し、星型の飛来物は空中で爆発(、、)した。

「おぉ?」

 魔理沙の驚愕の声と同時、弾幕で迎撃し切れなかった星型が殺到するが、そのどれもが美春の攻撃に撃墜され、また『ハビリオン』に阻まれ防がれる。

「そんな、どうして? さっきはあんなに簡単に破られたのに……」

「壁だよ」

 音夢の困惑に、純一がさらっと答えた。

「壁?」

「あの飛来物、音夢の『ハビリオン』や水瀬の『不通』の結界を貫通しているところから見て尋常じゃない威力があるのはわかる。

 でもあれ、魔理沙と一緒に逃げてるとき壁にぶつかって爆発したんだぞ? 強固な結界はぶち破るのに、壁程度貫けないっていうのはおかしい」

「あー」

 言われ、初めて魔理沙はその不自然さに気が付いた。

 確かにそうだ。強固な結界を貫ける攻撃が、壁程度貫けないわけがない。にも関わらず爆発していたというのは、

「威力を落とした、とか?」

「落とす意味がまるでない。あいつは間違いなく俺を殺そうとしてるしな」

「それじゃあ?」

「答えは簡単だ。威力を落としたんじゃない。威力が落ちたんだ」

 おそらくこうだ。風子の放つ星型の飛来物。あれは、風子の視界の中にある対象の場合は自身の意思によってコントロールしているのだろう。

 その状態であれば飛来物の威力は完璧で、音夢や水瀬の結界を貫くほどの威力を誇る。

 ……だが、自分の視界外の対象の場合は自動追尾――あの飛来物のオートに任せてるのだろう。追尾に力を割いてるから威力が落ちる。

 それに風子の視界の中にある対象を狙った攻撃は高速で基本的に直線移動だったが、魔理沙と共に逃げてるとき、あの星型の飛来物はかなり細かく動き回っていた。それが考えの裏づけになった。

 ――残り七秒。

 ここまでは完璧に純一の読み通りである。

 風子が一撃目を外し、確認の意味で二撃目。三撃目を命中優先で放ってくることも全て読みきった。

 だが、純一の中での本当の難関はここからだった。

 自分の力が通用しないとわかった風子がどのような行動に出るか。それが勝負の分かれ目だ。

 その風子は先程となんら変わらない表情だったが……しかし確実に苛立ちは募っているだろう。

 そこで雰囲気が……一変する。

「風子、もう加減はやめます」

「待て、言ったはずだぞ風子! 一割(、、)以上の力を使うなと……!」

「さっき風子は言いました。命令なんて受けません、と」

「風子……!」

 次の瞬間、信じられないことが起こった。

 風子の身から溢れる圧力と魔力が、更に膨れ上がったのだ。

「……おいおい、嘘だろ」

 これはさすがの純一も計算外だった。

 さっき良和はなんと言った?

 一割? これまでが、一割?

 ふざけてる。じゃあ、何か? 先程の規模と比べれば、この卒倒してしまいそうな魔力の高ぶりは精々三割と言ったところなのだろうか?

 令呪で底上げしたキャスターのサーヴァント、アイシアを越えている(、、、、、)この魔力が、たかが三割?

 純一は、ことここに至り確信した。

 伊吹風子は間違いなくこの世界における最強に位地する存在だ、と。

 ――残り五秒。

 風子の周囲に光点が出現する。これまで何度も見た光景。

 だが――その規模は別格だった。

 出現した星型の数は千以上。しかもその一つ一つがこれまでの比ではない魔力を秘めている。

 あんなもの、一発でも受けたら消し炭さえ残らない。下手すればあの星型一つが古代魔術と同等の威力を持っているだろう。 

 ――残り四秒。

 数が数だ。鈴仙の力で『波』を操作したところで意味はないだろう。出鱈目に撃たれたところで数十発は確実に飛んでくるはずだ。

 はなから防御も回避も不可能なもの。ここで鈴仙の力まで通用しないとなれば、防ぐ手立ては純一たちにはない。

「全員、退けぇぇぇ!!」

 良和の叫びが響き渡る。

 ウォーターサマーの軍勢が脇目も振らず後退していった。それだけ冗談じゃない威力ということなのだろう。

「今度こそ終わりです」

 風子が告げた瞬間、浮かんでいた色取り取りの星型が発射された。

 ――残り三秒。

 迫る流星雨。それらは秒もあれば純一たちを百回は殺すことが出来るだろう。

 防ぐ手段はない。お手上げだ。

 ……が、防ぐだけが手(、、、、、、)立てじゃない(、、、、、、)

 確かに純一にこれらを防ぐ手立てはない。いや防ぐ必要なんてどこにもない。

 空間跳躍の術式が完成するまでわずか三秒。あれらが到達する頃まで一秒強。

 なら話は簡単だ。どうにかしてその一秒を埋めれば良い。

 防ぎきる必要はない。かわしきる必要もない。必要なのは時間稼ぎ。あれを足止め出来る、巨大な一撃。

 そしてその最後の一手を――純一はある人物に託す。

「頼むぞ――魔理沙!」

「ようやく私の出番か」

 霧雨魔理沙。

 純一の指示を受け、先程の迎撃にも力を使わず温存し続けた一人。

 純一は確かに計算を違えた。風子の実力がまさかあそこまでとは夢にも思わなかった。

 が、『計算』を間違ってはいても『展開』は見誤らなかった。

 風子は間違いなく本気ではない。必ずいままで以上の力で自分たちを殺しに来るはずだ。……純一はそう確信していた。

 性格、生い立ち。それら含めて彼女が誰かの力を借りるわけがないと踏んだ。ならその可能性が一番高い。

 だから純一は魔理沙の力を聞いてから、これまで一切の迎撃に力を使わせず最後の一手まで時間を与えた。

 使えなかったというスペルカード。魔理沙の奥の手とも言える切り札。

 それを使えるようにし、この窮地を脱することが出来るように、と。

 ――残りニ秒。

「さーて」

 魔理沙が足を踏み出した。

 魔理沙もまた純一に与えられたこの短時間で、何故スペルカードが使えないのかを突き止めた。

 理由は至って単純だった。

 大気中の魔力(この世界で言えばマナ)の違いである。

 魔理沙たちがいた幻想郷とこの世界では、大気中にあるそれが異なるのだ。当然そうなればこれまで行使していた力は制限されてしまう。

 通常弾幕なら体内に蓄積された魔力でなんとでもなるが、スペルカード……彼女たちの使用する『技』を使うには至らない。そういうことだ。

 とはいえ、それはあくまで慣れの問題である。感じ取ってみてわかったが、マナにそれほど大きな差はない。しばらくこの世界にいれば、身体が勝手に順応し再び魔力を形成できるようになるだろう。

 ……が、もちろんそんな悠長な時間はない。純一は最後に間違いなく大きな、防ぎようのない攻撃が来るであろうことを予測していた。

 そしてそれの迎撃を魔理沙が任された。口頭で説明しただけなのになんとも大きな役目を押し付けてくれるものだ、と魔理沙は思う。

 まだ身体が馴染んでいないため大気のマナが利用できない。その状態で大技を使用するということは、自らの体内にある魔力のみで行使することになる。つまり――生命力を削ることと同義とも言えよう。

 だが躊躇ったりはしない。むしろ、だからこそ面白いとさえ思う。

 危機的状況においてもなお、笑みを絶やさず自信を滲ませるのが彼女――霧雨魔理沙という少女である!

 ――残り、一秒!

「派手に行くぜッ!!」

 掲げられた手には一枚の符、そしてもう片方には八角形の箱のような物体。

 使用するものは、それらに加え体内の魔力の計三つ。他はいらない。強いて言えば根性か。

 なら問題ない。そんなもの――とっくの昔に得ているのだから。

 

恋符――

 

 腕を交差させれば、符が輝きを放ち足元に魔法陣が出現する。そして八角形の箱――『八卦炉』の中央に魔力が集束し、

 

――『マスタースパァァァァァァァァク』 !!

 

 雷鳴もかくやという凄まじい衝撃と轟音を轟かせ、金色の魔砲が撃ち放たれた。

「な――」

 任せた本人である純一さえ唖然とする程の魔力を秘めた砲撃。まさかここまでとは純一も思わなかったのだろう。

 雄々しくも気高く舞い昇る黄金の光が、降り注ぐ色彩溢れる星々と激突する。

 尋常ではない威力同士の激突が衝撃となって大気を割き地面を打ち砕いた。

 一発一発が古代魔術クラスの星型の群れに拮抗など出来るはずもないが、瞬時に霧散もせず確実にその進撃を妨害していた。

 その威力、明らかに規格外。

 だが、おそらくそれでも五秒もすれば蜂の巣にされ消し飛ぶだろうが、純一たちが必要なのは――わずかに一秒。

 そして、

「純一!」

 アイシアが、

「術式完成したよ!」

 待ちに待った言葉を告げた。

「全員集まれ! 飛ぶぞ!」

 大精霊ニ柱の力を同時に使用している音夢、歌い続けることり、マスタースパークを放っている魔理沙は動けない。

 だが音夢を美春が、ことりを純一が、魔理沙を鈴仙が抱えてすぐさまアイシアに密着しようとした――その瞬間、

 

「何もなしでお客を帰すわけにはいかないなぁ」

 

 風子とも異なる、別人の声が響いた。

「朝倉さん!」

 既にアイシアの傍にいた明日美だけが見えていた。彼の背後。そこに音もなく詰め寄った一人の男の姿を。

「!?」

 その男の名は、氷上シュン。

 ――なぜ!? 気配はしなかった!

 純一の当惑も、当然。何せシュンは気配完全遮断の持ち主だ。

 が、それにしても、だ。風子の星がいまにも飛来せんとするこの状況で一体誰が突っ込んで来るなどと考えよう。

 剣先を繰り出さんとしているのが横目に見えたが、純一は完璧に出遅れた。気付いてからではもうかわせない。

 刺される。そう思ったが、

「兄さん!」

 美春を振り払った音夢が純一を突き飛ばした。剣先は純一から外れ、音夢の二の腕を浅く割くだけにとどまった。

「このー!」

 美春の蹴りがシュンの横腹に突き刺さる。重力付与の一撃にシュンの身体は吹き飛び、なんとか事なきを得た。

「早く!」

 アイシアが叫ぶ。術式が完成して既に二秒。予想以上に時間を食ってしまっている。マスタースパークももう持たない。

 純一は体勢を立て直す時間もないと判断し『トゥルーメアー』でアイシアの身体に巻きついた。これで接触していることにはなるはずだ。

 音夢もまた美春に抱えられアイシアへ合流する。その顔は大丈夫だ、と告げていた。

「行くよっ!」

 アイシアの手が不規則な軌跡を描き、それが巨大な魔法陣へと変貌していく。

 身から溢れた魔力が一気に集束し、まるで吸収されていくかのように魔法陣自体が巨大な扉と化す。

 風子がその動きに気付くが、もう遅い。

 その扉に飛び込む直前、純一と風子の視線が交錯した。

 初見の相手。だが互いに思うところがあるのか、一瞬とはいえ両者は互いを見つめ合う。まるで相手の顔を目に焼き付けるように。

 一瞬後、巨大な魔力の放流と消失が同時に起こり、マスタースパークを打ち破った風子の攻撃が誰もいない空間に突き刺さった。

 連続の爆発が巻き起こり、眼下はそれこそ地獄絵図のような惨状になっているが……風子はそ知らぬ顔だ。

「……逃げられましたか」

 クレーター状に陥没した大地を見下ろし、呟く。

 あの青年。最後の最後まで勘に触った。ここまで感情が揺れたのは初めてかもしれない。

 そしておそらく……生まれて初めて、伊吹風子は他者を認識(、、)した。

 自己以外は全て同じもののように見てきた風子にとって、他者を他者として認識したことはこれまでない。

「――」

 そしてこれも、初めての感覚だろう。

 ……誰かの名前を知りたい、と思ったのは。

 

 

 

 そんな激闘を、観察している者がいた。

「桜の様子を見に来ただけだったけど、面白いものが見れちゃったかも〜?」

 遥か上空。黒き炎を椅子にするかのように虚空に座る、目の下に逆向きの五芒星の刺青を刻んだ少女。

 ペンタグラム五使徒の一人、慧花である。

 彼女がサーカス大陸に来たのは、先に言ったとおり魔法使いたちが植えた邪魔な桜の観察のためだ。

 あれの破壊なくしてペンタグラムの成就はない。が、さしものペンタグラムと言えどあれは容易に手が出せない。故の観察。

 しかしそうしてここ、ダ・カーポに来てみれば思わぬ戦闘に遭遇した。

「各国間での抗争激化、か。これは彼女の手並みかなん? まぁそれはともかく……」

 慧花にとって各国の戦争などはさほど気にならない。

 もちろん聖杯戦争のこともあるし多くの人間が死ぬに越したことはないのだが、その程度はいつでもどうとでも(、、、、、)出来る。

 それよりも慧花が気になったのは、

「朝倉純一。魔法使いの孫にして『夢現の魔眼』の保持者、か」

 そう。最後の局面、絶体絶命の状況を塗り替えた最大の立役者たる純一であった。

「リーチェの魔本にも載ってないからノーマークだったけど……あれが成長するとちょっと厄介なことになるかもねぇ〜」

 何が、ではない。言うなれば全て。

 他の『直死の魔眼』や『鏡界の魔眼』も邪魔だが、慧花の個人的感覚で言えば魔眼の中では『夢現の魔眼』が一番面倒だと思っている。

 なんせあれが一番能力が低い(、、、、、)

 あの極限の状況で発揮した天才的な先読みと的確な指示。あの手のタイプがあの魔眼を持ちコントロール出来るようになれば、これほど厄介な相手もいない。

「これはしばらく様子見してた方が良いかな〜?」

 とりあえず要注意。ベアトリーチェにも後で言っておこう。

「さーて。そろそろ退散しようかな〜ん」

 他にやらなければいけないことは多くある。寄り道もほどほどにして本来の仕事に戻ろうと慧花が踵を返そうとした瞬間、

 

 ゴゥ!! と何かが飛来し頬を浅く切り裂いた。

 

「……あらん?」

 ツー、と血が伝う。

 その血を指で拭い口に含んで、慧花は眼を細めた。

 現在彼女は超高度な術式によって姿を初め気配さえ遮断している。これを感知するのは通常では不可能なはずなのだが。

 流れ弾、ということはない。慧花の周囲に展開する結界もまた超魔術クラス以上の強度がある。その程度で貫通出来るわけはない。

 そう。これは完璧にこちらの場所を把握し、故意に攻撃をしなければ出来ない芸当。

「そこにいるのは誰ですか?」

 そしてそんなことをしでかした者とは、

「姿も見えませんし気配もしませんが……風子を見ていますね?」

 ……伊吹風子。

「あらら。さすがは最強の鬼って言われるだけあるわね〜。まさかアタシに気付くなんて……って、完璧ってわけじゃなさそうだけど」

 風子はこちらを見ているようで、見ていない。

 どうやら完全にはこっちの居場所を把握出来ていないようだ。まぁそうだろう。それが出来ていればさっきも敵を串刺しに出来ていただろうから。

 とすると……純粋に勘が良いのか、あるいは受身の感覚だけ妙に鋭いか。

 後者かな、と慧花は思う。どうやら『夢現の魔眼』の一部能力にも気付いていたようだったし、自らに向けられた事に関しては敏感なのだろう。

 ニィ、と口元が歪む。

「こりゃあ比良坂初音なんかと同等っていうのも過大表現じゃなさそうねん。でーも〜、だとすればなおさらここは撤退しましょうかー」

 まだペンタグラムは表舞台に立てない。立つには時期が早すぎる。

 あまり大事に首を突っ込むわけには行かないし、ましてや大物と激突するなんてもってのほかだ。

「それじゃ、いつか舞台の上で会いましょう? 鬼の王女さま♪」

 にこりと微笑んだ慧花を黒い炎が包み込む。次の瞬間、その姿はその場から消えていた。

 

 

 

 空間が歪む。そして穴が開いた次の瞬間、そこから純一たちが落っこちた。

「いたっ!」

 どこに出現するかもわかってない者が突然空中に放り出されて受身など取れるはずもない。全員揃って尻餅をついた。

「はぁ。なんかさっきも似たようなことがあった気がするぜ」

「確かにそうね」

 若干息切れしている魔理沙と、痛そうに尻をさする鈴仙が呟く。皆も同様にぶつけた部分をさすっている。

「私たち、助かったの……?」

「……多分」

 頭をぶつけたらしい音夢が問い、美春がまだ自信なさそうに呟いた。

 危機から脱したことで緊張の糸が切れたのだろう。ふらつくことりを横に座らせ、立ち上がった純一は周囲を見渡した。

「それよりもここはどこだ……?」

 まず一番最初に目に付いたのは海。そして揺れる大地。……いや違う。木製の大地なんてありえない。これは、

「船の上……か?」

 間違いない。風に靡くマスト、波を割る音。どう考えてもここは船の上だ。

「なるほど。確かに安全圏だな。何の船の上でどこに向かってるかは知らんけど、海の上なら追われる心配もないだろ」

「でも問題はこの船がどこに向かっているか、じゃありませんか? もしサーカス大陸に向かってるものなら……」

 確かに明日美の懸念は残る。もしこれがどこかの大陸から出港したサーカス行きの船であれば最悪の事態になる。だが、

「ん? そこにいるのはまさか朝倉か? それに朝倉妹や……む、王女まで?」

 不意の声に皆が振り向いた先、そこにいたのは、

「お前たち、キー大陸行きの船で何をしているんだ?」

「す……杉並!?」

 純一や音夢と旧知の仲である相手、杉並拓也だった。

 

 

 

 あとがき

 はい、どうも神無月です。

 お約束のように長くなりまして、つくづくまとめ方が下手だなぁ、と思っていますはい。

 っていうかこれと前回の話を一回で済ませようとしたのが変でしたね。頭の中ではこんなに長くなるとは思ってなかったんだけどなぁ……w

 ま、それはともかく。どうでしたでしょうか今回のお話。

 限られた時間生き抜けば勝ち、という変則的な勝負でした。まぁ風子を前にして直接勝てってのがなかなか難しいんですけどね。

 今回は純一を筆頭に魔理沙やうどんげなど東方組の見せ場もあったと思います。やっぱ魔理沙はマスタースパークだねw

 最強クラスの力を持つ風子。最弱クラスながら才覚を見せ付けた純一。ある種対極のこの二人のこれからの因縁もお楽しみに。

 そういえば『今回で純一の魔眼が覚醒するんだ』と予想してた方たくさんいましたが、残念。まだそこには至ってません。

 必ずしも強者が弱者に勝つとも限らない。一定条件下で勝利条件が変われば逆もありえる、というのもまた戦いの面白いところでしょう。

 あぁあと、これは以前拍手であった「風子VS純一&アイシア&美春」にカウントされません。

 このバトルを今回だと思っていた方は多いようですが、違います。これはもう少し先のバトルになります、はい。

 さて、そんなわけでサーカス編とりあえず終了。三大陸編で一時的に純一が主人公になる前半がこれで終わりました。前半が、ね(ニヤリ

 次回は再び祐一視点に戻り、クラナドのお話です。久々にシオンとか古河夫婦とかも出てきます。

 ではまた〜。

 

 

 

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