神魔戦記 第百二十一章

                      「国崎という一族」

 

 

 

 

 

 佳乃や往人というエアの主戦力を他の仲間に任せ、王城に向かい走る祐一たち。

 往人の破軍による攻撃で兵も削ぎ取られ数も少なくなったが、それでもまだ勢いは残っている。

 そんな中、先頭を行く祐一にはある種の予感があった。

 裏葉、柳也、佳乃、往人。エアの主力という主力が現れ、そしてもう王城にも近いという状況。

 そろそろ来る頃だろう。

「祐くん」

 観鈴も同じ事を考えたのか小さく名前を呼んでくる。大丈夫だ、と。そう言い返そうとした――まさにそのときだった。

「!」

 祐一は感覚の赴くままに剣を振り抜いた。飛来する一条の光の矢がその一閃で切り払われる。

「やはり来たか……!」

 足を止め、空を仰ぎ見た。

 その先に、三つの人影。うち、中央には弓を構えこちらを睨む見知った少女がいた。

 純白の翼を広げ、エア王国近衛の衣装に身を包んだ憎しみに瞳を揺らす少女。

 その名は、

「……二葉」

 神尾二葉。

 見間違うはずがない。忘れるはずなんてもっとない。

 金色の髪を靡かせて二葉が祐一を見下ろす。

 漆黒の髪を靡かせて祐一が二葉を見上げる。

 二葉は憎悪を。祐一は哀愁を。共に思う気持ちに差異はあれど、この時を待ち望んでいたことに変わりはなく。

「相沢さん」

 隣に並んだ美凪が何か言いたそうに口を開き、しかし上手く言葉を纏められないのか閉口してしまう。

 美凪は祐一と二葉の関係を知っている。だから、だろう。

 そんな気遣いに微笑を浮かべ、祐一はしかし首を横に振った。

「心配はいらない。そして……二葉は俺が戦うべき相手だ。戦わなくてはいけない相手だ。……わかってくれるな?」

「……はい」

「すまない。だからお前たちは先に進んでくれ。俺も必ず後で追いかける」

「……答えは出たのですね?」

 確認の言葉。その言葉に、祐一はゆっくり頷いた。

「俺は諦めないことにした」

 美凪を救い出した後のあゆの言葉を思い出す。

『だから祐一くん。諦めないで。確かにエアは敵だけど、やれることだってあるはずだよ』

 終わったことだから、過ぎ去ってしまったことだからと。仕方ないと割り切ろうとした自分。

 だが……あゆの言うとおり、やれることがあるかもしれない。いや、あると信じたい。

 憎まれるのも当然。自分を殺すことでその悲しみや憎しみが消えるというのなら命を差し出しても構わない。

 けれど、いまそんなことはできない。自分には背負うものがあり、そして諦めもしないというのであれば、答えはただ一つだった。

「だから美凪。お前たちは先に行け」

「わかりました。……あなたの決着が、良い方向へ進むように。心から望みます」

「ああ。……お前も、な」

 その言葉に一瞬虚を突かれたように美凪は目を見開き、しかしすぐに表情を引き締め、

「――はい」

 頷いた。

「私たちは先へ進みます! ……ご武運を」

 美凪はミチル以下部下を引き連れて先へ進んでいく。

 それを二葉と、その両脇に控えている二名は追おうともしない。視線の先にあるのはただ一つ。祐一の姿のみ。

「追わないのか?」

「追うと思っているの? 復讐の相手がこうして目の前にいるっていうのに」

「なるほど。当然だな」

「ええ」

 周囲にエアの兵もいない。カノン・ワンの兵もいない。

 爆音、剣戟音。それら戦いの音を遠くに聞きながら、二人は語り合う。

「ずっと、ずっと待っていた時だもの。この時だけを……十年以上も」

 だから、と二葉は矢を作り出し弓につがえ、言う。

「私にとって何より大事なのは、相沢祐一。あなたを殺すこと」

「二葉ちゃん!」

 すかさず観鈴が身体を前に乗り出すが、二葉は一瞥するのみ。

「観鈴姉様は邪魔しないでください。これは私の問題です」

「邪魔するに決まってる! だっておかしいよ! だって、だって二人は――」

 観鈴は訴えかけるように叫んだ。

「だって二人は、血の繋がった兄妹なんだから!」

「――ッ!」

 その言葉に二葉の目が怒りに染まった。それを感じ取りすぐさま祐一は観鈴を背後に隠す。

 ギリッ! と祐一たちにまで聞こえるほどに歯を噛み締め、二葉は全てを否定するように髪を振り乱しながら、吼えた。

「私は……相沢祐一を兄だとは認めないッ!!」

「!」

 憎しみの矢が、放たれる。

 

 

 

 祐一に代わって今度は美凪が部隊を引き連れてエアの大通りを真っ直ぐ進軍していた。

 その中にはもちろんカノン・ワン混合軍もいるが、ミチルや美凪の部下、元・エア王国第四部隊の面々もいる。

 美凪含め、彼ら彼女らの心境は複雑なものだった。

 憎い、差別と侮蔑の世界だったとはいえ住んでいた国だ。思うこともままあるだろう。

 だが、止まることはない。ここで朽ちていった仲間たち。処遇。それらを思い、想い、美凪たちは進む。突き進む。

 祐一の目指す全種族共存に向けて。

「着く……!」

 そして王城付近にまで近付いたとき、

「!」

 いままで以上の攻撃の雨が美凪たちに降り注いだ。

「美凪! 待ち伏せされてる!」

 ミチルの言うとおり、この周囲はいままでの比ではないほどの数のエア兵がそこにはいた。

 なるほど。予想よりも反撃が少なかったのはこういうわけか、と美凪は納得する。

 長である神奈を狙うのは当然のこと。ならばその神奈を餌として誘き出し、待ち伏せして一気に殲滅する。悪い作戦ではない。

「各員、浮き足立たないように! 冷静に対処を!」

 激を飛ばし、美凪もまた紅赤朱となって『炎上』の力を空へと放つ。

 ここを越えなければならない。

『ああ。……お前も、な』

 二葉との決着を、と祐一に言ったときに返ってきた言葉。

 祐一は気付いている。美凪の思いを。

 ……これまでの想い、施し、そして恩。それらを持ちながら離反することになった神奈に対する、美凪の気持ちを。

 エアを抜けたことは後悔していない。しかし、神奈に対する恩を忘れたわけではない。

 しかし祐一の力になると美凪は決めた。自分のため、部下のため、そして何より祐一の目標に賛同したこの自らの意思のために。

 だから美凪はその全てをひっくるめて神奈と相対せねばならない。

 過去に受けた温情に報いるために、この道を選んだ遠野美凪として、真正面からこの意志をぶつけなければならないのだ。

「美凪!!」

 ミチルが永遠神剣『救い』を振り上げながら叫んだ。

「行って、美凪!」

「ミチル?!」

「ミチルも、そして第四部隊の皆もわかってる! 美凪は女王さまと決着着けたいんだよね?」

「!」

「だからここはミチルたちに任せて美凪は行って! よくわからないけど相沢祐一も決着を着けるって言ったんだ! だから美凪も!」

 ミチルの後ろにいる、第四部隊の面々も揃って頷いた。

 行け、と。信頼している仲間たちが背を押してくれる。だから、

「……お願いします」

 美凪は振り返ることなく王城へ突入した。

「城へ行かせるな! 裏切り者を殺せぇ!」

 それに気付いたエア兵たちが一斉に美凪へ殺到する。

「邪魔はさせないんだからぁ!」

 しかしミチルや元・第四部隊の部下たちがそれを遮る。

 美凪の決着の邪魔はさせない。その一心で。

『救い』のミチルが命じる! その姿を業火と変え敵に降り注げ!

 ミチルが自らの双剣を振り上げる。そして手を掲げ、

フレイムシャワー!

 炎の雨でエア兵を撃ち落す。

 威力は低いが広範囲に攻撃できる神剣魔術だ。妨害にはもってこいだが……、

「数を減らすには、ちょっぴり威力が足りない、か……!」

 エア兵が疾走する。

 待ち伏せていたのはエア兵の中でもエリート部隊。王城を守る最終防衛ラインなのだから当然だが、その分これまでのエア兵より実力は高い。

 四方を取り囲まれた状態での彼我のこの実力差は大きい。このままでは全滅だってあり得る。

「っ……! 皆踏ん張って! 美凪や相沢祐一のためにも!」

「無駄だ!」

 一人の女兵士がミチルに対して杖を向けた。その先端には集う魔力があり、

「人間族やスピリット、獣人族やエルフの分際で! 我々神の血族に刃を向けるというその愚考! 死して償うと良い!」

「死ぬのはアンタですよゴミ女」

「!?」

 魔術が放たれようとするまさにその瞬間、その女兵士の背中を巨大な刃が貫いた。

 それをまさしくゴミを捨てるように振り払い、やって来たのは二人の少女。

「なかなか手間取っているようですね、ミチルさん?」

「え……? あ!」

 シャル。そしてリディアだ。

「やっと追いつきました。まったく、エア王国は数だけは多いから困りますね〜。

 本当に虫みたい。事前情報じゃ同じくらいってことだったのに。やれやれです」

 笑いながら言うシャルの横には、しかし無表情で佇むリディア。どうしたのだろう、と首を傾げるミチルを見ながらシャルは一層笑みを深くし、

「さて、リディア。どうしましょう?」

「……」

 リディアは無言で上――エア兵たちを見やる。

 その視線はどこか強い眼差しで、睨んでいると表現するのが妥当なほど。

「あんたたちは、そんなに他の種族が許せないのか?」

 唐突な問い。戦闘中に何を、ともミチルは思うがエア兵の一人が律儀にもそれに答えた。

「当然だ。世界は神の血族たる神族が統治する。魔族は根絶やしにし、人間族やその他の種族など従属すれば良い。これこそが理想の世界だ」

「……それが、本音なんだろうな」

 重い溜め息。

「だとしたらホント、救えねぇよあんたたち」

 そして再び顔を上げたリディアの様子は、それまでのものとはどこか違っていた。

 怒っている、というのは表情でわかる。だがそれ以上に根本的な……そう、雰囲気とでも言うべき何かが。

 それを横で見ていたシャルが、おどけた調子で笑う。

「あらら。リディアを怒らせちゃいましたねぇ。これであなたたち、命ありませんよぉ?」

「なんだと……?」

「リディアの本気は、わたしでさえ厄介ですから♪」

 シャルの実力を知る者であれば、その言葉に驚きを浮かべたものだろう。

 だが不幸なことに、この場にシャルの実力を知るものはほとんどいない。エア側からすればなおさらだ。

 シャルの相手をした者は残らず死んでいるのでシャルの情報が届いていないのだ。

 だからこそエア兵たちは嘲笑を浮かべ、槍を構えながらリディアに突っ込んでいく。

 死ぬのはお前たちだ、と言わんばかりに四人のエア兵が凄まじい速度でリディアに迫り、

「――――形状変化(デテリオレーション)

 瞬間、バキボキィ!! という断続的な音と共に四人が潰れた(、、、)

「な――」

 何が、という言葉すら出ない。そもそも何が起こったのかまるでわからない。

 何かの攻撃が四人を襲ったのだろうか。だが何も見えず、何も聞こえなかった。

 ならば……?

「――――形状変化(デテリオレーション)

 再びの怪音と同時に数人の兵士がやはり見ぬ何かに身体を潰された。

 見えぬ、という恐怖がエア兵たちの動きを縛り付ける。

 剣や槍や矢、魔術であろうと見えていればそれなりの対処はできるし心構えもできる。来る、とわかるからだ。

 だがそれがわからない。まったく未知の攻撃。その戦慄は小さいものではない。

「うふふふ、あはははは!」

 そうして恐怖に染まるエア兵を見てシャルは大笑い。心底おかしそうに腹を抱えながら、

「あれだけの大口叩いておきながらな〜にをビビッてんですか? 根性のない連中ですね〜本当に。野犬の方がまだ果敢ですよ」

「なんだと!?」

「これは戦争ですよ? 命のやり取りしてんですよ。なのにあなたたち、いったいいつまでそれが一方的(、、、、、、)なことだなんて(、、、、、、、)思い込んでんです?」

 笑みが面白い、というものから侮蔑するようなものへシフトする。

「神族が一方的に人間族を駆逐する。人間族は力がないから殺されるのを待つだけ? ふふ、馬鹿げてますねぇ?

 種族なんて大した違いなんてないんですよ。なんせ殺せば死ぬんですから。死はね、種族など関係なく平等に存在するんです。

 それをあなたたちときたら、未だに理解もできず……いいえ、変なプライドが邪魔をして理解しようとさえしない。

 その傲慢さが仇となってワン国境線で敗退しかけたんじゃないんですか? 学習能力ゼロですか? それはそれは救えませんねぇ〜?」

「貴様、我ら神族を侮辱するのか!?」

「他種族を侮辱してんのはてめぇらだろうがぁ!」

 リディアの叫びと共にそのエア兵が叩き潰された。

 リディアは本来強い。

 純粋な戦闘能力で言えば、自分と大差はないとさえシャルは思っている。

 戦闘経験、多様性からシャルの方が若干強いだろうが、限定条件下であればリディアに勝つことは極めて困難だろう。

 だがリディアは本気を出すことを好まない。リディアの本気は間違いなく相手を殺してしまうほどの力だから。

 優しいリディアは、だからこそいつも力を抑えている。百花杖はいわばそのリミッターとも呼べる役割の武器だった。

 しかし、一度こうして相手を殺すことに躊躇がなくなればリディアはリミッターを解除する。

 リディア=ノイリッシュが、何故盗賊団『猫の手』のリーダーであったのか。

 頭脳はルミエに劣り、戦闘能力はシャルを下回る。ならば何故? 誰もが考える共通の疑問。

 だがシャルと、そしてルミエは知っている。

 リディアは本当はとても強いこと。

 そしてその優しさから、どれだけ劣勢になっても『不殺』の信念で百花杖を握っていることを。

 それは盗賊として、自らの意思で勝手に他者の物を奪うことに対するリディアなりの信念なんだろう。それがたとえ憎い相手であろうとも。

 しかし相手が本当に救えない相手だと、自分の道を妨げる敵だと認識したときに、リディアは自分の全力を使うことを恐れない。

 優しさと甘さの違い。それをリディアはわかっている。

 その能力と人間味の在り方から――リディア=ノイリッシュは三人のリーダーであれたのだ。

 そしていまリディアが本気を出しているということは、

 ――リディアも、心の底から祐一さんの目標に共感している、ってことなんでしょうね。

 そんなシャルの視線に気付かぬほど激昂し、リディアは次々とエア兵たちを屠っていく。それを見ていた他のエア兵が愕然とし、

「ば、かな……!? 下等な人間族などに神の血族たる我々が……!?」

「いちいちやかましいんですよ、あなた方は」

 言葉と同時、爆発が空を薙いだ。

「まだ言いますか。神の血族? 下等な人間族? ハッ、笑わせますね〜? じゃあその下等な人間に成す術なく葬られてるのはなんなんです?」

 両袖から怒濤王の砲身を覗かせながらシャルはクスクス笑い、空を埋め尽くすエア兵たちを見上げ、

「良いですか? 見下すのは強者の特権なんです。……だから言ってあげましょう」

 目を開き、無邪気な、そして同時に凍えるような声で――言った。

「死になさい、カス」

 

 

 

「ちっ!」

 往人は舌打ちする。遠ざかっていく祐一の背中を見送ることしかできない現状に対して、だ。

 いま自分の正面には二人の少女がいる。

 ワン自治領軍の里村茜、そして折原みさお。

 報告では精霊憑きと蜘蛛なのだという。実際茜の周囲には大量の水が踊っているし、みさおからは蜘蛛の禍々しい気配を感じ取れる。

 この二人を撒いて祐一を追うというのも難しい。かと言ってこの二人を相手に手を抜いたまま勝つというのも困難だろう。

 とすれば、

「仕方ないか。魔力は食うが、全力で行かせてもらう!」

 往人の外套が翻る。その内側に刻まれた魔法陣が七つ。

来たれ。姓に連なる契約の下に、汝の名を呼ぶ我が手の中へ

 うち六つがその言葉に反応し、輝きを浮かべる。 

 人形遣い、国崎。その二つ名からその行動の意味を悟った茜とみさおがすぐさま動く。

 中でもみさおは天空縮地ですぐに往人に接近し、腕から糸を奔らせる。

「あんたの全力に付き合うつもりはないわ! 力を出し切る前に叩ければそれにこしたことはないものね!」

 みさおたちも情報で往人自信の能力がさほど高くないことは聞いていた。故に厄介な人形を出されるよりも早く、本体さえ倒してしまえば良い。

 人形遣い、あるいは使い魔を多用する相手には定石とも呼べる戦法だ。が、

「無駄」

「っ!?」

 簡素な言葉と同時、みさおのいた空間を大きな爆発が埋め尽くした。

「みさおさん!?」

「大丈夫……!」

 空中に咲いた爆煙からみさおが腕を交差した形で飛び出してきた。

 防御のために組んだのであろう腕の表面は肉が剥がれ炎症を起こしている。だがみさおは傷みを感じさせない顔で上を見た。

「あいつか……!」

 往人の頭上。その身を守るかのようにふわふわと浮いている漆黒の球体。

 大きな目を一つだけ表面に貼り付けたような『破軍』と呼ばれるその人形の攻撃だとみさおは瞬時に理解した。

「見えないし、早い。厄介な攻撃ね」

「対処など無謀」

 ただ一つの眼がみさおを見る。

「我が攻撃、防御も回避も適わず」

 言葉と同時、その眼球が光った。

「!」

 瞬間、またも爆発。みさおが爆発に飲み込まれた。

 それを見た茜はすぐにその破軍という人形の能力を理解した。

「まさか……指定空間の爆破?」

「ご名答」

 正解した褒美だ、と言わんばかりに今度は茜を爆発が襲い掛かった。 

「なるほど、規模も大きい。『破軍』という名は伊達ではないようです。が――」

 だが煙の中からは淀みない声。晴れた先には、

「来るとわかっていれば防御も可能のようですね」

 水で完璧に防御し無傷の茜の姿があった。

「わたしもまだまだ余裕よ!」

 みさおの方も既に傷が修復し始めている。さすがは蜘蛛というところか。

「わかってねぇな」

 だが往人も焦ってなどいなかった。

 もとより破軍一体で勝てる相手だとは思ってない。だから、

「本番はこれからだ」

 その名を、告げる。

北斗七星 ッ!」

 六つの魔法陣が一際強く発光し、そしてそこから六つの影が出現する。

 光が収まれば、往人の周囲に新たに六体の人形。

 鎧を着込み大剣を両手それぞれに持った、武曲。

 長髪を靡かせ刀を腰に差した、貪狼。

 フリルのあしらわれたドレスを着込んだ金髪の、禄存。

 他の人形より一回り大きく左右に大きな盾を構えし、巨門。

 天女のような羽衣をした銀の髪の女人形、文曲

 骸骨そのもののようなフォルムをし鎌を抱える、廉貞。

 そして往人の頭上に北斗七星の総である、破軍。

 総勢七体。国崎往人の最大戦力、北斗七星。

 それがいま、ここに結集した。

「……!」

 人形だからか、それほど強力な気配は感じない。ワンで言えばせいぜい四大部隊の兵士くらいか、あるいはそれすら下回っているかもしれない。

 ……だが、茜もみさおも一瞬気圧された。

 往人を中心に据え、周囲に展開する北斗七星。

 その、あまりに強烈な存在感に。

「これは……」

 茜とみさおはこのとき、状況の悪さ(、、、、、)を本能で察した。

 二人が互いを見やる。同じ思いを感じたはずだ。だが……いまはどうしようもない。

 頷き合う。そして往人たちに視線を向けた。

「俺は他の馬鹿な連中と違って、もうお前たちを過小評価はしない」

 その視線の中央で、往人は淡々と告げる。

「俺も最初は侮っていた。だがそれでミスをした。だからもう同じ過ちは犯さない」

 自らの武器である長棒を構え、茜とみさおを交互に見やり、

「加減はしない。……観鈴との邪魔をする者は、全力で叩き潰す! それだけだッ!」

 北斗七星が散った。

 破軍と文曲がその場に残り、武曲と廉貞がみさおに、貪狼と禄存が茜に向かう。

 巨門と往人はそのどちらにもすぐ向かえるようにということか、その中間地点で動きを止めた。

「はははは! 蜘蛛相手とあっちゃー油断も加減もできんなぁ!」

「ったくよぅ。おみゃーは能天気で良いなぁ」

「お前は相変わらず根暗だな廉貞よ!」

「そういう性分だもんよぅ。諦めろぃ」

「ならば俺もそういう性分じゃー!」

 武曲と廉貞が会話しながら一気にみさおに迫る。みさおはそんな二体の人形に若干の怒りを滾らせ、鉄をも切り裂く糸を放った。

「人形のくせにうるさいわねあんたたちは!」

 四方八方、逃げ場のないように糸を放つ。だが、

「なっ!?」

 接近するよりも早く、糸が広間隔に広がっている間に二体の人形はそれぞれ左右に散って糸を潜り抜けた。

「案外すばしっこい……!」

 みさおは蜘蛛の脚を背から剥き出しにし、両手に糸による剣を構築する。

 もう見た目なんか構っていられない。全力を出さねば負けるのは自分だ。

「おらぁ! 行くぞ蜘蛛の女ぁ!」

 そこへ武曲が突っ込む。それを脚の爪で迎撃しようとするが、その視界を塞ぐように一面を黒が覆った。

「これは、影!?」

 廉貞の能力だ。廉貞はカクカクと首を小刻みに揺らしながら鎌を構え、

「注意力が散漫だぜぃ〜?」

 武曲と廉貞、二つの攻撃がみさおに襲い掛かる。しかし、

「舐め……るなぁ!」

 全方位に糸が放たれる。

「おぉ!?」

 これには堪らず武曲と廉貞二体とも下がるが、

「二言。注意力不足」

 今度は破軍の空間爆破がみさおの身体を直撃した。

「あぐっ……!?」

 一瞬の光で視界を遮っていた影は消えたが、その身体の崩れがこのレベルの戦いでは致命的な隙となる。

「貰ったぁ!」

 武曲の一対剣が奔る。そのうち右側はみさおは強引に脚の爪で受け流したが、左の攻撃はかわしきれず腹を割いた。

 だが、浅い。蜘蛛たる自分であればこの程度の攻撃すぐに回復する。それよりも、

 ――体勢を、立て直さないと……!

 右手の剣で武曲の剣と打ち合い、脚の爪と連携させ左の一撃をかわさせる。相手が一旦引いたこの隙に姿勢を戻そうとして、

「残念だけどよぅ、遅いぜぃ」

「!?」

 背中の翼を模っていた脚が廉貞の鎌によって切断された。

 姿勢が、維持できない。

光よ、降れ

 そこへ計ったように――いや、実際計ったのだろう。ここぞというタイミングで文曲による光の雨がみさおに降り注ぐ。

「っ……!」

 みさおは糸を密集させその攻撃を耐えようとするが、翼がなくなり落下中では糸の制御も難しい。いくつかの光が身体に深々と突き刺さる。

「まず一人目だ!」

 そこへ、往人が突っ込んできた。

 みさおは瞬間的にこれが好機だと考えた。本体さえ倒してしまえば劣勢は消える。だから迫る往人にタイミングを合わせ剣を繰り出そうとしたが、

「甘いなぁ、甘すぎる!」

「我らが連携、見下すことなかれ」

 その右手を武曲に切り落とされ、再び破軍の爆発が身を焼いた。

 往人とという餌を見せびらかすことで意識を一方向に向けさせられた。策に嵌まったのだ。

「ぐっ……!」

 激痛に顔を顰めるみさお。そこへ、しかし止らずに往人がやって来る。

 迎撃に糸を出す。だがそれを往人は翼の動きだけで回避した。

「!?」

 馬鹿な、とみさおは思う。聞いていた往人の身体能力では蜘蛛の糸を回避する反射能力などないはず。なのに、どうして……?

「北斗七星はただの人形じゃない。それぞれが国崎の姓の下に密接にリンクしている、いわば意識集合体」

 その疑問に答えるように往人が言葉を紡ぎ、

「即ち北斗七星も俺も、揃うことで能力が上がっていくんだよ!」

 召喚される北斗七星の数が多ければ多いほど、往人と、そして北斗七星自身の基本能力が上がっていく。

 これが国崎往人の北斗七星。四大人形使いで“『技』の国崎”と呼ばれる所以!

蛇捉打突!」

 往人の棒が蛇のようにうねり、みさおの爪や剣を掻い潜ってその身を打ち込んだ。

「っ!?」

「ぉぉぉぉぉおおおおッ!」

 棒の先端に凝縮されていた魔力が爆発し、みさおの身体が墜落する。轟音。地面を抉り砂塵を空高くまで巻き上げるほどに、叩きつけられた。

「みさおさん!?」

「余所見なんかしちゃ〜駄目駄目ですよ〜」

「!」

 禄存の槌が大気を穿ちながら舞い落ちる。

 水による壁にその一撃は遮られるが、その衝撃波だけで岩盤が砕かれ空気が振動する。

 肌を打つ衝撃に茜が膝を崩しそうになるが、そんな余裕もない。

「某も参る」

 貪狼の刀の軌跡が一本の線を生む。

 そうとしか視認できないほどの居合いが、茜の水の壁を切り裂いていた。

「……!」

 茜には届かなかったが、一閃が鋭すぎて通常の水の壁じゃ防御しきれない。もっと魔力を込め更に厚く展開しなければ。

 そのためには水を増やさないと。

「――水は集……」

「させませんよ?」

 言葉と共に、

光よ、吼えろ

 文曲の光の波濤が振り落ちる。

「っ!」

 やむなく(まじな)いを遮り水で防御する。その間も禄存と貪狼の攻撃は続いている。

 水が足りない。補充が出来ない。

 防御が間に合わない……!

「このままでは……!」

「必滅」

「くっ!?」

 破軍の瞳が輝く。

 轟く爆音。茜は瞬間後ろにステップを刻み、前面に水を集中させることでその一撃を防ぎきったが、

「良いのか? 一方向にその力を集中させてしまって」

「!」

 弾かれるように振り向けば、そこには貪狼。

「むん!」

 奔る居合い。茜はどうにか強引に身体を捻るも脇腹に灼熱の痛みを感じ、

「隙発見」

 そのせいで水の支配が一瞬離れた隙を見逃さず、破軍の爆撃が茜を直撃した。

「……ッ!」

 声にならない悲鳴をあげ、茜の身体が地面に崩れ落ちた。

 

 

 

「ふん」

 往人が長棒を振り払い見下ろす。

 あのワンが誇る里村茜と折原みさおが、ボロボロになって倒れている。

 これが国崎往人。その実力。

 茜もみさおも、単体の能力で言えば北斗七星のどれよりも勝っている。

 だが、往人は人形遣い。そして北斗七星は人形だ。

 最大の力はその寸分の隙もない連携にこそある。

 往人という一つの意思に制御されているが故の高速連携に波状攻撃。多少能力が秀でていても、この連携の前に意味はない。

 茜とみさおがあの時感じた状況の悪さ。それが、

『二人だけでは勝てない』

 という直感だった。

「で、往人。どうする〜? 生きてるかどうかわからないけどとりあえず叩き潰しておく〜?」

 倒れ伏せた茜の横で巨大な槌を振りかぶった禄存が聞いてくる。だが往人は首を横に振った。

「生死の確認なんかどうでも良い! そんな状態じゃもう妨害もできないだろう。相沢祐一を追うぞ!」

「りょ〜かい」

 往人にとって敵の生死などなんでも良い。祐一から観鈴さえ取り返せればそれで良いのだ。

 だから北斗七星を引き連れて祐一を追おうと踵を返し、

「!」

 突如立ち上った大波にその行く手を遮られた。

「往人!」

「なっ!?」

 巨門が往人の背後で何かを防御した。その正体は、

「糸!? ……ってことは」

 往人は見る。

「させないと……言いました、が?」

「そうそう。……こっちが死んでもいない、のに……余所見は失礼でしょ?」

 眼下、満身創痍でありながら立ち上がる茜とみさおの姿を。

「貴様ら……。せっかく助かった命を無駄に散らせたいようだな……?」

 だが茜は笑う。まるで蔑むように。

「そういうあなたは、既に観鈴王妃の気持ちがあなたにないことをわかっていながら、何故まだ拘るのです?」

 その言葉に、往人の中で何かが切れた。

「うるさい! お前たちに俺たちの何がわかるッ!!」

 そう、わかってたまるか。

 誰にもこの気持ちはわかるはずがない。わかるわけがない。

 この想い。この切望。この願い。この祈り。何故ならば、

「三百年だ! 三百年も待ったんだぞ!?」

「三百年……?」

 どういうことだ、という訝しげな表情が茜に浮かぶ。

 どう見ても往人は二十歳前後だ。神族は人間族に比べれば若干長寿だが、魔族ほどではない。人間族と同じ見積もりで問題はない。

 ならば三百年というのは……?

「俺には! 神尾の傍に仕えた国崎の歴史三百年分の記憶があるんだよ!」

「!」

「その悲願が、ようやく叶うはずだったのに……あの男がそれを邪魔したぁ!」

 その嘆きに、叫びに、周囲の北斗七星までもが悲痛な表情を浮かべた。

 どういうことだ、と考える茜の頭の中で、一つの可能性が思い浮かんだ。

 三百年。北斗七星――人形が七体。先程往人が言った『意識集合体』という本当の意味。

 そして……確か資料で見た先代の国崎の使役する最高位の人形は六体(、、)

 その符合。まさか、という思いが一種の確信となって茜の口を突いて出た。

「まさか……その人形には歴代の国崎(、、、、、)の記憶と魂(、、、、、)が宿っているのですか……?」

 目を見張るみさおの頭上で、往人は事も無げに言う。

「そうだ」

「そうだ……って! じゃあ何?! あんたは魔法使いだとでも言いたいわけ!?」

「違う。これは魔術なんかじゃない。魔法でもない。……ただの呪い。国崎の呪いの結果だ」

「呪い……?」

 そう、呪い。これは国崎家に掛かった呪縛の結果だ。

 ……人形遣いとしての初代国崎が誕生したのは三百年前。その国崎は、誰もが羨むほどの才能に恵まれていた。

 当時のエア王国の王女であった神尾の側近にまで一代で成り上がり、しかもその神尾と恋に落ち、両思いにさえなれた。

 順風満帆だった。幸せだった。全てが。

 しかし、無論それは許される恋ではなかった。

 王家の者と近衛とはいえ貴族でもない者が結ばれることなどできるはずもなく。

 両者の想いを引きちぎるように、神尾分家の男とその王女は結婚することになってしまった。

 国崎は悲しかった。そして嘆いた。身分が違うというだけで結ばれなかった事実を。

 ……だが、それでも神尾の傍にいたかった。

 見ているだけでもいい。愛されなくても構わない。せめて、せめて全ての害悪からその御身だけは守り通したい、と。

 それほどに国崎は……愚直なまでに神尾を愛していたのだ。

 そのときだった。

「ねぇ? その想い本物なの?」

 嘲笑を貼り付けた、道化のような青年の声が彼の耳を打ったのは。

「その想いが本当ならさ、君に力を上げるよ」

 青年は言う。

「君に永劫の意思を与えよう。あぁ、器は自分で用意してね? 君ならそれくらいできるだろうし。そうすれば君はずーっと彼女を見ていける。

 いや、彼女だけじゃない。彼女の子孫、神尾家をずっとずっと見ていることができる。見守ることができるんだ、助けることだってできるよ」

 ただし、と青年は笑う。

「見ているだけだ。君と、そして君の子孫は神尾を愛し続けるだろう。でも決して愛されることはない。これがその代償だ。

 そして守るべき神尾が滅んだとき、一緒に君たちも滅びることになる。これも代償。それらを全て踏まえた上でも、君はそれを望むのかい?」

 しかしそれを聞いても国崎の想いは変わらなかった。

 永遠に神尾を守っていけるのなら、それでも構わない、と。

 彼は頷いて(、、、)しまった(、、、、)

 青年は激しく笑い、

「そうかそうか! なら君の空白を僕が埋めてあげよう! その愚かにも一途な想い、叶えてあげるよ!

 あぁ、別に感謝はいらないよ? 僕は君たちのこれからが楽しみなんだ。言わば先行投資ってやつかな? だから――」

 手を掲げた。

「この呪いを、国崎という姓に刻もう」

 それが、国崎の呪い。

 国崎は生涯で最高の人形を作り、子を産むとその人形に自らの魂を植え付け死んでいく。

 そしてその人形はその子の物となり、そしてその人形を用いて神尾を守り続けていく。

 青年の言うとおり、人形に魂だけという存在になっても意思も記憶も残った。否、それだけではなくその子にさえ意思と記憶がリンクする。

 そしてやはり、その子も当代の神尾を愛してしまった。

 ……それが、延々繰り返されていく。

 ご丁寧なことに、神尾の当代に男が生まれた場合、国崎には女が生まれた。愛し、愛されぬことを突きつけるためのように。

 意思を継ぎ、魂を生涯最高の人形に宿し、長い時を神尾のために費やし、戦い、愛し、しかし愛されず満たされない。

 地獄と呼ぶべきだろうか。

 だが、これが国崎の望んだその結果だった。意思が継がれていくために、国崎が何代変わろうとその想いも変わらない。

 しかしそれが三百年経ち、国崎の代が往人となったとき、それが起きた。

 神尾観鈴との婚約だ。

 三百年もの間神尾を守ってくれた、という実績と感謝の意を込めて、婚約が結ばれたのだ。

 国崎八代の全ての者がこの事実に歓喜した。

 あぁ、無駄ではなかった。この三百年の想いと行動は、決して無駄なんかではなかったのだ、と。

 だからこそ、神尾との婚姻は国崎の悲願だった。

 それがようやく。三百年の時を経て、ようやく叶うのだと。

 受け継がれてきた国崎家の意思が喜びに打ち震えて、

 

 あっという間に、瓦解した。

 

 ――憎い。

 国崎往人にとって相沢祐一はまさしく悪魔だった。

 神尾しか愛せず、しかし神尾のために生きることしかできない国崎。

 だがそれでも一度たりとも神尾と結ばれることのなかった国崎が、ようやくの念願を得ようとしたとき、相沢祐一という半魔半神がそれを妨害した。

 まるで、国崎と神尾が交わらないのは運命だとせせら笑うかのように。

 差し出された光明を、横から暗黒に塗り替えられた。

 三百年の悲願が、再び潰えた。

「貴様らにはわからない。……俺たちの苦悩、俺たちの切望、俺たちの地獄は……!」

 観鈴と共に在るというのが当然という顔をする祐一。

 祐一と共に在るというのが当然という顔をする観鈴。

「貴様らに、わかるものかぁッ!!!」

 その光景の、なんと残酷なこと。

 長い長い呪いの先で、ようやく手に入れかけたもの。三百年という時を越え、一度光を差し出されただけにその怨嗟はより深く。強く。

 往人だけではない。

 北斗七星に込められた先代の国崎たちもこの想いは同じ。

 故にこそ、

「俺は……相沢祐一を許さない!」

 その憎悪は――八倍、八乗と増加する!

「北斗七星!!」

 往人の裂帛に応えるように北斗七星が動き出す。

「殺せ! もう邪魔をさせないために! 全てを!」

 茜とみさお。両者に向かって北斗七星が殺到する。

 これで終わりだ。ここを早く片付けて、観鈴を救い出す。

 だが、

「『天罰の神雷道(ジャッジメント・ゼロ)』!」

 それをまたも妨害するように、強烈な雷が迸った。

 巨門の盾でその一撃は消失する。だがその頃には、

「っ!?」

 周囲を取り囲まれていた。

「大丈夫ですか、里村さん!」

「倉田さん……それに水菜さんも。正直、助かりました……」

 倉田佐祐理の率いる魔術部隊。そして水菜の率いる玄王を初めとした魔物の群れが往人と北斗七星を包囲していた。

 どうやら門の辺りは既に掌握されたらしい。そっちの部隊がこっちに回ってきたのだろう。

 それの意味するところは、即ち柳也と裏葉がやられたということ。

 ……だが往人はそんなことより、眼前の光景に怒りを滾らせていた。

 柳也や裏葉のことがどうでも良いわけではない。だがいま往人の頭は『邪魔をされた』という事実のみで凝り固まっていた。

 なんで、邪魔をするのか。どうして邪魔をされなければならないのか。

 運命を変えようとすることが、そんなに悪いことなのだろうか?

 あの青年の笑みが頭に浮かぶ。全てを見越していたような、あの笑みが。

「……だからどうした」

 強く拳を握る。

 運命なんて自分で見つけ、手に入れるものだ。誰かに用意されるものなんかじゃ決してないはず。

 だから負けられない。勝って、勝って、そして観鈴を連れ戻す。

「この程度の数で、俺たちの三百年を遮れると思うなよ……!」

 そう、たとえどれだけの相手がいようとも。どれだけ相手が強くても。

 国崎の姓に賭けて、その悲願を成就するために。

「俺たちの邪魔をする奴は……全員消えろぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 吼える。

 怒りを込めた裂帛の意思が、涙と共に空を打ち鳴らす。

 

 

 

 あとがき

 はい、どうも神無月です。

 さて、今回は長かった……。予想以上に前半で量が増えてしまいました。

 リディアの力は今回ちょっくら謎のまま終わらせました。また追々。

 で、本題。往人VS茜&みさお、いかがだったでしょうか?

 往人の想い。国崎の悲願。どう受け取られたでしょうね? 一途と取るかストーカーと取るか(ぇ

 でもまぁ悲恋の結果であることに変わりはなく。往人が観鈴に執着する本来の意味がわかっていただければ幸い。

 そして往人&北斗七星の強さ。茜もみさおも十分強いです。が、北斗七星全体集結した往人はとんでもないんですよ〜。

 前拍手かどこかで言いましたが、キー主人公勢は全開ならたいして差はないんですよね。皆が皆。

 さて、往人戦は決着着かぬまま終わり、残るは祐一VS二葉、あゆVS佳乃、そして美凪VS神奈です。

 祐一と二葉の関係も今回でようやく明らかになりました。……とはいえ、もう大半の人はお気づきになっていましたけどねw

 そして次回はあゆVS佳乃……ではなく、祐一VS二葉が先ですw

 ではまた次回に。

 ……しかし今回、弱いと見られていたキャラの汚名返上話だった気がするw

 

 

 

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