神魔戦記 番外章

               「聖杯戦争」

 

 

 

 

 

 夜の帳が落ちた頃。

 フェイト王国。

 その王都であるフユキで、漆黒の闇を駆け抜ける二つの人影がある。

 屋根と屋根を飛び移るようにして奔るその人影を月光が照らし、雨が打ちつける。

 それは、ただ赤かった。

「急ぐわよ。いままで好き勝手やられた分を一気に返してやるんだから」

 少女の声が言う。

 すると併走している大柄な影――おそらく男――は小さく嘆息し、

「君とはまだそれほどの付き合いではないが……君の性格が如実に現れている言葉だな」

「あら、それって褒め言葉? それとも別の意味かしら?」

 笑いながら問う少女に対し、男もまた小さく苦笑を浮かべながら、前者だと答えた。

「さて……近いわね。いくわよアーチャー。あなたの力、見せてもらうわ」

「了解だ。リン」

 二人はただ駆ける。雨を切り裂くようなその軌跡は、ただ赤かった。

 

 

 

 時間は二時間ほど遡る。

 フユキの東方、少し外れにある住宅街。

 やや現在の建築様式からはずれた、古い家がある。

 衛宮邸。

 そう呼ばれる家の敷地内にある剣道場でいま、スパーン、と。小気味良い音が響き渡った。

「ぬあぁ!」

 ズダンバタンとやかましい音をたてながら転がっていく男。

 そしてやっと動きが止まったところで男は頭を押さえ呻きつつ立ち上がった。

 やや色の抜けた髪。そしてどこまでも真っ直ぐそうな瞳のその青年は、名を衛宮士郎という。

 その苗字からわかるように、この家の人間であると同時に家主であった。

 父、衛宮切継は数年前に死んでしまい、現在はこの広い家に士郎が一人で住んでいる。

「ふふーん。まだまだ甘いわねぇ、士郎?」

 そんな士郎の正面には、虎柄の服を着込み竹刀で自らの肩を叩きながら余裕の表情を浮かべている女性。

 どう贔屓目に見ても少女とは言えないものの、どこか子供のような無邪気な雰囲気を醸し出しているその女性は藤村大河。

 士郎の保護者兼教師であり、さらには……衛宮家の食生活に多大なダメージを与えている人間でもある。

「痛っつー……。藤ねえ手加減無さすぎだ」

「なにおー? 手加減をして何が特訓ですかでしょうかございましょうか? ほらほらー、寝言は寝て言うのよ?」

「いま実際倒れてるって言ったら?」

「屁理屈禁止ー!」

 やれやれ、と苦笑しつつ放り出された竹刀を再び手に取る士郎。

 ……そう。現在二人は大河の言うとおり剣術の特訓中であったのだ。

「ほら、いつでもかかってきなさい士郎!」

「あんまり余裕かましてると足元すくわれるぞ、藤ねえ!」

 士郎が一息で床を蹴る。

 なかなか速い。そして士郎は竹刀を振り被り、

「大振りよ、士郎! そんなんじゃ打ってくださいって言ってるようなものよ!」

 がら空きになった腹に大河の素早い竹刀が繰り出される。が、

「そんなことは……百も承知さ!」

「む!」

 士郎が屈みこみ、身体のバネを利用して斜め前方――大河の横にまで跳ぶ。

 フェイント。いや、誘い込まれた一撃。

 ――いける!

 いまの大河には一撃を放った隙がある。そこを突くため士郎は身体を捻り――、

「甘いわぁぁ!」

「うおぉ?!」

 スパーン! と。

 脳天から足まで伝わるような衝撃が突き奔った。

「い……っつ〜」

 思わず竹刀を落とし頭を抱え込む士郎。そんな士郎を余裕満々の笑みで大河は見下ろし、

「いまの動きはなかなか良かったけど、まだまだね士郎。そんなんじゃお姉ちゃんに勝てる日はまだ遠いわよ〜?」

「あのタイミングで攻撃が間に合うなんて反則だろ……」

「なに言ってるの士郎。剣術っていうのはね、敵がどう行動するかを先読みすることも技術の一つなのよ?

 その場だけを考えて剣を振っているようじゃまだまだなのよ? まだまだ〜」

 ほっほっほっ、と意味不明な笑いを洩らす大河。

 悔しいが負けたことに変わりはない。あー、と呻きながら士郎は道場に大の字で寝っ転がった。

「はぁ、まだ駄目か……」

「まぁそう落ち込まないの士郎。十分強くなってるよ?」

「……うん。だけど俺は全部中途半端だ」

 ふぅ、と大河の溜め息が聞こえる。また言うのか、という意味の溜め息だろう。

 だが、言いたくもなる。

 衛宮士郎は正義の味方になりたかった。

 十年前……あの事故からただ一人救われたとき。

 その救ってくれた人物――衛宮切嗣を、見て、知って、理解したとき。

 思ったのだ。

 自分もいつか、誰かを救えるような存在になりたいと。

 その魔術師のようになりたいと。だが……、

「俺の魔術は、強化だけ……」

 しかも、通常の強化とは根本的に違う強化。

 通常の強化は物体、ないし己の肉体の周囲を魔力で覆うものだ。

 だが士郎の強化は、内部構造を解析、理解し内側から魔力を通して補強、強化するというものなのだ。

 確かに内側から強化されるので全面的な強化は士郎の方が強くなる。

 だが士郎はその魔術しかできない。

 いや、正確に言えばもう一つあるのだが、それはあまり意味のない魔術だ。

 だから士郎は魔術師としては半人前以下。いくら通常の強化より強いとはいえ、強化しかできないのならお話にならない。

 その強化を生かせるようになるならこの際剣士でも良かった。

 魔術師じゃなくても良い。誰かを救えるようになるのなら、それでも構わないと思った。

 けれど、それもこの結果だ。剣士としても、士郎はまた半人前だった。

「……」

 力が全て、だとは思わない。

 力なんかなくっても守れるものはあるだろう。救えるものだってあるだろう。

 だが、逆を言えば力がなければ守れないものも、救えないものもあるのだ。

 いまは戦乱の時代。こうしている間にも戦線ではフェイト王国と王国ムーンプリンセスは激突を繰り返しているかもしれない。

 知らず知らず、血が出るまで手を握り締めていた。

 滑稽だとわかる。綺麗事だともわかっている。

 でも衛宮士郎は誰にも死んでほしくなかった。

 と、

「こーら、士郎」

 こつん、と。額に軽い衝撃が走った。

「また難しいこと考えてるでしょ」

「ふ、藤ねえ?」

 竹刀の先端で軽く小突かれ、大河を見る。

 大河は苦笑のようなものを浮かべながら、ある方向を指差した。

「お腹減ったからさ、ご飯食べよう? ほら、桜ちゃんのお夕飯が待ってるわよ?」

 振り向けば、道場の入り口に一人の少女が立っていた。視線が合うと、その少女は僅かに頭を垂らして、そして笑顔を向けた。

 彼女の名前は間桐桜。日頃から何かと世話してくれる一つ年下の少女だ。

 士郎の通う魔術学校――穂群原学園の後輩である。士郎と違い魔術師としては極めて優秀でもある。

「桜、来てたのか」

「はい。先輩、忙しそうでしたのでお声かけなかったんですけど……」

「あぁ、そんなこと気にするな。っていうか、悪いな。飯まで作らせちゃって」

 すると桜は微笑み、

「いいえ。好きでやってることですから。それに新しいメニューも考えたので是非先輩にも試食して欲しくて」

「へぇ、それは楽し――」

「楽しみ――!! もぉこんなことしてる場合じゃないわ! ほら士郎! 行くわよ! ご飯が待っている〜♪」

 るんたーるんたーとわけのわからん鼻歌を交えつつ独特のスキップで颯爽と駆けていく藤ねえこと大河。

 あれだけ動いたにも関わらずあれだけの体力があるのはさすがというべきか。もう苦笑しか浮かばない。

 見れば桜も苦笑気味だ。

 だが、もしかしたらあれもわざとなのかもしれない。こっちの気持ちを解きほぐすための……。

「よし」

 立ち上がる。まぁ、今度飯を作るときには少し奮発してやろう。そんなことを考えつつ、

「行こうか、桜」

「はい」

 桜を伴って美味しいご飯の待つ食卓へと向かうのだった。

 

 

 

 で、やはりというかなんというか桜の料理は美味かった。

「むぅ」

 と思わず呻いてしまうほどですらある。

 そんな士郎を見て桜は「えへん」とでも言いたげに胸を張っている。

 ここに来始めた頃からは想像も出来ない上達っぷりだ。

 いや、料理を教えた先生としては生徒の上達は嬉しいのだが、なんかこのままでは抜かされてしまいそうな勢いである。

 体面というか面子というか、なんとなくそういったもののために今度新しい料理にでもチャレンジしてみよう、なんて思った。

 と、なんとなく視線を感じるので視線をずらすと、どこかボーっとした表情で桜がこちらを見ていた。

「桜?」

「先輩、その左手……」

「ん? ……あれ?」

 言われて初めて気が付いた。

 左手の甲。そこにいつの間にか大きな痣が出来ていた。

 ぶつけたりした記憶は一切無いのだが……。

「寝てる間にでもぶつけたのかな……?」

「そういえば士郎、また土蔵で寝たんでしょー? あんなところで寝てれば手くらいぶつけるとお姉ちゃんは思うなー」

 藤ねえじゃないんだから、と突っ込もうかと思ったがやめた。確かにありえない話じゃないし、実際そんな理由くらいしか思いつかなかった。

「ま、大丈夫だろ。痛みもないし。あんまり気にしなくても――桜?」

「……え、あ、はい。なんでしょう先輩」

「いや、それはこっちの台詞だと思うんだが」

 急に挙動不審になる桜。何か困らせるようなことでも言っただろうか――と思っているとおもむろに桜が立ち上がった。

「……あ、えと、それじゃあ先輩。わたしはそろそろお暇しますね」

「ん? 早いな」

「はい。今日はその……家でちょっと用事がありまして」

 なるほど。だから桜の分だけ料理が少なかったのか。納得。

 どうやらいまの一件が絡んでいたわけではないとわかり、士郎は安堵の息を洩らす。

「そういうことなら、仕方ないか。じゃあ玄関まで送るよ」

 立ち上がろうとする士郎に桜は両手を振り、

「あ、気にしないで大丈夫ですよ。先輩はそのままお食事を続けててください」

「いや、でもな……」

「やっぱり温かいうちに食べてもらいたいですし」

 料理を作る人間からすれば、それを言われてしまうと身動き取れない。

 仕方ない、というように腰を下ろし、桜を見上げた。

「気をつけて帰れよ。ここら辺はまだ平気だとはいえ、いまは戦時中だからな」

「はい。それじゃあ先輩。また明日」

 にこりと、桜らしい微笑を残して去っていった。

「むー。桜ちゃんももう少しいられれば良かったのにね。やっぱりご飯は大勢の方が美味しいし」

 むぐむぐと箸を口に突っ込みながら、大河。食べながら喋るなと注意しつつも、士郎もまた頷いた。

「まぁ、でも家のことなら仕方ないだろ」

「むぅ。まぁそうなんだけどね」

 といって食事に戻る大河。いや、というか手も口も止まってはいなかったが。

 士郎はなんとなく元気の無くなった桜の背中を心配げに見送った。

 

 

 

 で、数分が経ち夕食も終わった頃。

「士郎ー」

 食器を片付けていた士郎の耳に大河の声が届いた。

「あれ、藤ねえまだいたのか」

 この時間帯でまだ家にいるのは珍しい。と、

「あ、うん。雨が降ってきたのよ〜。だから傘貸してもらっちゃって良いかな?」

「雨?」

 キッチン脇にある小窓を開けてみれば、確かにさめざめと雨が降っていた。

 強くはないが、かといってそれほど弱くもない。

 それを見て、士郎は片付けを中断してエプロンを外した。

「そか。わかった。適当に持ってってくれ」

「あれ? 士郎はどこに行くの?」

「桜に傘届けてくる。うちから間桐の家まで結構時間掛かるし、走れば間に合うだろうから」

 なるほど士郎らしい、と大河は頷き笑顔で、

「そっか。ん、いってらっしゃい〜」

「あぁ。じゃあ鍵頼んで良いか?」

「任せなさ〜い」

 じゃ頼んだ、と士郎は傘を二本持って家を出た。

「嫌な感じの雨だな……」

 空を見上げ呟き、士郎は足を踏み出した。

 

 

 

「雨、降ってきちゃった……」

 衛宮邸からの帰り。

 突如降ってきた夜空を見上げ、桜は困ったように息を吐いた。

 早く帰らなければずぶ濡れになってしまうだろう。だが――これから家で行うことを考えると『早く帰りたい』とはどうしても思えなかった。

「……」

 ギュッと自らの身体を抱きしめる。

 雨に濡れて寒いのか。それとも別の要因で内側から何かが湧き上がっているのか……。

「……帰ろう」

 ここにいたところでどうしようもない。結局自分の帰る場所は間桐の家だ。それは変わるものではない。

 深呼吸し、再び歩を進めようとして――、

「ふむ。貴様、面白い気配をしているな」

 ゾクリと。

 無意識に死を自覚するほどの強烈な気配が周囲一帯を包み込んだ。

「な……はっ……!?」

 あまりにも唐突なことに思わず尻餅を着いてしまう。

 間桐桜はれっきとした魔術師だ。だからこそ、理解できる。

 この圧力……ただの人間が到達するにはあまりに異常。相手はただものじゃない。

 喉が焼け付くように乾く。身体が勝手に震えだす。もはや焦点すら合わなくなった瞳が、ある一点を凝視していた。

 その先。

 雨すらも避けて通るように、闇夜の中からしかしなお黒き男が姿を現した。

 否、格好は灰色のロングコートを羽織っただけの、長身の男だ。

 ならばなぜ黒いと思ったのだろうか。いや、しかし魔術師としての本能がその男が底無しの黒に見えると告げている。

「あ、あなたは……?」

 震える声で、しかし紡がれたのはそんな言葉だった。

 すると男はつまらなそうにふむ、と頷き、

「自己紹介が必要か? ……まぁ、良い。すぐに我と同じ存在となるのだ。知っておくのもまた一興だろう」

 そうして一拍を置き、男はとんでもない名前を口にした。

「我が名はネロ。ネロ・カオスだ」

「ネロ……カオス!?」

 その名前は、魔術師に限らずとも人間族の誰しもが畏怖として知るものだろう。

 ネロ・カオス。

 ……死徒二十七祖の第十番。混沌とも呼ばれる、不死の吸血鬼。

「はっ……」

 なるほど、という思いと何故、という思いが同時に来た。

 どうしてこんなところに死徒二十七祖が、しかも自分なんかの前にいるのか。

 理解できない。いや、したくなかった。

「聖杯戦争」

 不意に口に出された単語に、桜の眉が跳ねる。

「そろそろ始まる頃合だろう? であるならばその願望機、今度こそは手に入れねばならぬ」

 ゆらりと、ネロの腕が動く。

「故に、貴様には我が血肉の一部となってもらおう」

「!?」

 ネロの足元が水面のように揺らいで見えた――次の瞬間、

『ガァァァァァァァッ!』

 桜の足元から、漆黒の狼がその牙を涎に濡らし襲い掛かってきた。

「きゃああああああああああ!?」

 

 

 

「桜!?」

 傘を持って走っていた士郎は、確かにその悲鳴を聞いた。

 間違えるはずがない。あの声は……いつもご飯を作りに来てくれている桜のものだ。

「――っ!」

 考える間もなく、士郎は大きく地を蹴っていた。

 何かが起きている。しかもかなりやばい方向で。

 ……桜が、危ない!

「――同調(トレース)開始(オン)……!」

 自らができるのは強化のみ。

 どうしてか属性を持たない自分は、その程度のことしかできない。

 だが、できることがあるならするべきだ。

 できることがあるならば――!

「――構成材質、解明」

 沸き立つ焦りを抑えつけ、意識を研ぎ澄ます。

 緊急時だからこそ冷静に。それは魔術師の基本だ。

 そしてこの数年、ずっと精神鍛錬だけは行ってきた。その程度のことができず、何が魔術師か。

「――構成材質、補強」

 持っていた傘に魔力を通す。

 構成、構造を解明しその内部から魔力を通し染み込ませていく。

 ……隅々まで行き渡る。

「……よし!」

 これが衛宮士郎の強化。

 魔力で覆うなどという単純作業ではなく、繊細な上に面倒なものだ。

 だが、だからこそその強化は他の強化の上を行く。

 元が傘であろうとも、いまでは並の剣以上の強度を誇るだろう。

 だが成功の余韻に浸っている状況ではない。

 魔術を行使しながらも、士郎は足を止めることはなかった。

 急がなければ取り返しのつかないことになる。勘がそう告げていた。

「……!」

 何かに近付いた、という確信があった。

 どす黒い、気を抜けばそれだけで飲み込まれてしまいそうな貪欲な気配。

 だがそれが何であるかを考えることはなく、ただ士郎は足を進めた。そして、

「っ!」

 視界に見えた。

 影のように真っ黒な獣が、桜を追いかけているところを。

 桜は必死に逃げていた。こちらに気付く素振りもない。

 だがそんなことはどうでも良い。いまは、桜を助けることを優先しなければ……!

 踏み出し、疾駆する。

 逃げる桜と、それを襲おうとする狼の間に自らの身体を割り込ませ、

「おおお……!」

 力任せに傘を振り下ろした。

 ドッ、という打撃音と共に狼が大きく吹っ飛ばされる。

 こちらに気付いていなかった上の脇腹への一撃だ。ろくな受身も取れずその狼は遠くに転がっていった。

「大丈夫か桜!?」

「せ、せん……ぱい……?」

 青褪めた表情で桜がこちらを見る。だが見た限りでは傷らしい傷はなさそうだ。

 良かった。そう安堵の息を洩らして――、

「先輩、後ろッ……!」

「っ!?」

 振り返れば、先程の狼が既に目前まで肉薄していた。

 咄嗟に大きく開くその口に水平に構えた傘を突っ込ませ、狼の直進を止める。そして、

「――同調(トレース)開始(オン)……!」

 桜のために持ってきていたもう一本の傘を強化し、振り上げるようにして脇から突き刺した。

『ギャン!?』

 強化された傘はそれこそ槍のように狼の身体を貫く。苦痛により傘を離した狼に、その傘で持って一撃を叩き込んだ。

 吹っ飛び、その狼はもう動かなかった。完璧に身体を貫いたのだ。これでもう動かないだろう。……そう思い、目前の光景に唖然とした。

「なっ……!?」

 その狼が、まるで溶けるようにして液状になると地面に黒い池を作って沈み込んだ。

「いったい、どういう……」

「ふむ。邪魔が入ったか」

「!?」

 声にハッとして前を見る。

「なんだ……あれ……!?」

 桜の事を気にしていたせいで、いまのいままで気付かなかった。

 ほんの少し先。そこからこちらを見ている男の、その異様さを。

「っ……」

 目が合っただけで心臓を鷲掴みにされたような悪寒が走る。

 確信する。あれは自分の敵うような相手ではない、と。

 だが、だからと言って逃げるわけにはいかない。自分の後ろには桜がいる。守るべき人がいる。

 なら敵わないとわかっていても、立ち去るわけにはいかなかった。

「……邪魔立てするか、人間」

 ネロの視線が突き刺さる。恐怖で震えそうになる身体を気力と根性で押さえ込み、傘を構えて、

「先輩、駄目、逃げて! あれは死徒二十七祖のネロ・カオスなんです!」

「なっ……!?」

 その驚きが、隙となる。

 その瞬間に士郎の両脇から漆黒の狼が疾駆してくる。

「っ!? くそ……!」

 両サイドからの攻撃に傘を振り回すが、狼たちは俊敏な動きでその一撃を回避、士郎に噛みかかる。

 一匹はどうにかかわしたものの、二匹目のが間に合わない。その牙が手首に喰い込む。

「がっ!?」

「先輩!」

「くそっ!」

 どうにか振り払うが、力が出ずに傘を取り落としてしまった。

 残った傘を両手で構え、前方でこちらを伺う二匹の狼に集中するが、

「先輩、後ろ!」

「な――がぁ!?」

 腰に衝撃が走った。

 吹き飛ばされながら何事かと背後を見やれば、

「鹿……!?」

 くそ、と毒吐きすぐさま起き上がるが、目の前には狼。

 その爪が肉を切り裂いてく。

「づ……!?」

 だがそれで終わらない。突如前方に出現した牛の突撃をもろに受け、士郎は地面に投げ出された。

「先輩ぃ……!」

「がっ、く……!」

 悲鳴をあげる身体を、意地と気合でどうにか奮い立たせる。

 だが、周囲にはそんな士郎を嘲笑うかのように見下ろす無数の獣がいる。

 滑稽な者でも見下すように動かず、余裕だとでも言いたげにこちらの動きを観察していた。

 数匹相手であんな状況だったのに、これだけの数。相手にできるわけがない。

 衛宮士郎はただなされるがままに、こいつらの餌食になるだろう。

「先輩、先輩……!」

 桜がこっちを向いて叫んでいる。

 自分だっていまにも捕食されてしまおうかという状況で、しかしその目はただ士郎のことだけを心配していた。

「……くそ」

 情けない。

 後輩の少女一人救うことが出来ずに、何が正義の味方か。

 誰かを救うために力を欲し、そのための努力をしておいて。ここが限界とでも言うつもりか。

「ふざ、けんな……!」

 そんな自分に反吐が出る。

 誰かを救いたいと決めたのなら、意地でもそれを成し遂げろ。

 力があるないではない。それが衛宮士郎の望むものならば、命を賭してでもそれを守らなければいけないはずだ。

「くだらん。……貴様は消えろ、小僧」

 ネロの号令で、静かに佇んでいた獣たちが一斉に士郎に群がってくる。

 それで終わりだ。士郎はただ何も出来ず、この獣たちに食われる運命。

「――」

 だが、そんなものお断りだ。

 こんなところで、桜が殺されるという状況で何も出来ずに殺されてなんかやらない。

 この命は、誰かを救うためにある。

 こんなわけもわからない獣たちにくれてやるものではない。

 だから怯えではなく怒りが湧き上がり、

「ふざけるな、俺は――おまえらみたいなものに、殺されてやるものか――――――!!!」

 瞬間、全てを断ち切るような風が巻き上がった。

「え――?」

「むっ……」

 いままさに衛宮士郎を食い散らかそうとしていた獣たちがその風によって斬り伏せられる。

 雨すらも断ち切るが如く、その一閃は完膚なきまでに獣たちを一掃せしめた。

 ガチャン、と鉄の音がする。

 背中だった。

 鎧を着込んだ、少女。

 その少女がまるでこちらを守るかのように立ち塞がっていた。

「な……んだ……?」

 わけもわからず呻く士郎。その声に反応するかのように、その少女がゆっくりと振り返った。

「――」

 その姿を見て、息が止まった。

 突然の事態に混乱していたはずの思考も、止まる。

 それほどまでに、その目前の少女はただ美しかった。

「――」

 その少女は透き通る宝石のような瞳で士郎を見下ろし、

「――問おう。貴方が、私のマスターか」

 凛とした声で、そう言った。

「マス……ター……?」

 停止した思考ではそう呟くことくらいしかできなかった。

 その正体不明の少女は何も言わず、ただ静かにこちらを見据えている。

「っ……!」

 次の瞬間、左手の甲に鋭い痛みが走った。

 まるで焼き鏝でも押されたような痛みに自らの手を見下ろせば、そこにはいつの間にか妙な紋様が熱を持つように浮かんでいた。

 その紋様を見て少女は頷き、

「サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上しました。マスター、指示を」

「サー……ヴァント……、って、まさか!?」

 それはまさか、このフェイト王国で代々行われてきたという、あの聖杯戦争の……!?

「これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。――ここに契約は完了した」

 言い終わるや否や、その少女――セイバーは顔を背けた。

 その視線の先には……あの男、ネロ・カオスがいる。

「サーヴァント、ではなさそうだな。この気配……吸血鬼か」

「いかにも。だが、よもやこうしてサーヴァントと対峙することになるとは思わなんだ。

 過去数度において聖杯を手にしようとこの地に踏み入れたが、こうしてサーヴァントを見るのは初めてだ」

 ククッ、とネロはさも面白いものでも見たという風に口元を歪める。

 桜の方に向けていた身体をセイバーに向け直し、ネロはその黒い眼でセイバーを見据えた。

「サーヴァント……英霊をこの身に宿すのもまた面白い。その身体どの程度のものか――試させて頂こうか!」

 吼えると同時、ネロの身体と足元から無数の獣が姿を現し一斉にセイバーへと踊りかかった。

 だがセイバーはそれに怯むこともなく地を蹴りその獣の群れへと自らを突っ込ませる。

「ちょ、待て――!?」

 いくらサーヴァントと言えど女の子。しかも相手は吸血鬼の死徒二十七祖といえば敵うはずなど――、

「ふっ!」

 気合一閃。セイバーの持つ“何か”が振るわれた瞬間獣の群れが勢い良く断ち切れた。

 散開する獣たち。真正面からでは太刀打ちできないとでも踏んだのか、獣は周囲に散らばって、そして再びセイバーへと襲い掛かる。

 だがそれもセイバーの“何か”が斬り崩していく。やって来る獣たちを逐一その一閃は阻んでいく。

 まるで結界でも張っているかのようにセイバーは獣たちを近づけない。いや、それどころか着実にその歩はネロへと進んでいく。

「――」

 強い。

 セイバー、と言ったその少女は間違いなく獣たちを圧倒していた。

 これがサーヴァント。

 聖杯に呼び出される、英雄の力。

「むっ」

 初めてネロの顔に焦りのような色が浮かぶ。

 それに呼応するようにネロの足元から数多の獣が溢れ出すが、

「はああ!」

 そんなものは盾にもならないとでも言うように、セイバーの持つ不可視の“何か”がもろともネロの身体を切り裂いた。

「がぁ!?」

 見ただけでわかる。桁違いの魔力が込められた一撃。

 ネロの身体はまるで紙切れであったかのように両断され、物言わぬ屍となった。

「な……」

 圧倒的すぎる。

 あの死徒二十七祖をこうも容易く倒すなんて……。

「……」

 セイバーは二つに分かたれたネロの死骸をしばし見下ろすと、それがもう生きていないと踏んだのかこちらへと戻ってくる。

 だが、士郎は見た。

 死んだはずのネロの口元が、確かに釣り上がった(、、、、、、)のを。

「危ないッ!」

「!?」

 それは反射的な叫びだった。

 セイバーも人並外れた反射神経で振り返るが、その頃には何者をも飲み込まんとする黒き波が襲い掛かっていた。

「くっ……!?」

 セイバーの一閃がその黒い波を叩き割る。だが、二つに分かたれたその波はセイバーの周りに落ちると、獣へと姿を変え群れとなりセイバーを取り囲んだ。

「これは……!?」

「驚いているな、サーヴァント」

 驚愕に目を見開くセイバーの前で、息絶えたはずのネロがゆらりと立ち上がる。

 セイバーは次の瞬間獣の群れを跳び越えて再びネロの身体を一刀の元に斬り捨てた。だが、

「無駄だ、剣のサーヴァント。いかに貴様の剣がどれだけの神秘に満ち溢れていようとも、私を滅ぼすには至らない」

 ゴポ、と水面が弾けるようにネロの身体が先程と同じ黒い波となってセイバーを覆わんとする。

 やはりそれを切り払うが、出来た黒い水溜りから無傷のネロが沸きあがってきた。

「不死……!? いえ、それにしてもこれは……!?」

「我が身体は混沌。この身には六百六十六素のケモノ達が内包されている」

「馬鹿な!? それだけの存在概念を内に溜め入れれば、自己を保てるはずが……!」

「私は一にして六六六。我々はもはや個ではなく群体に等しい。確かに貴様の言うとおりいずれこの身も知性を失いただの塊と化すだろうが――」

 ネロは口元を歪め、言った。

「それも聖杯さえあればいらぬ心配となる」

「!?」

「だからこそ、私には聖杯が必要なのだ」

 言って、何故かネロは桜を見た。

 瞬間、嫌な予感がして士郎は走り出した。

「桜!」

 そしてその予感を肯定するように、先程のネロの死骸から巨大な鰐が出現し、桜を飲み下そうとその大きな口を開く。

「あ……」

 桜は自らに迫る命の危機に対して呆然としていて動かない。

「くそ、桜ぁ!」

 そんな桜を、足を止めずに強引に肩で押しやった。

「先輩……!?」

「マスター!?」

 入れ替わるようにして士郎がその獣の前に立つことになる。

 獣の直進は止まらない。桜を飲み込もうとしていた鰐の口はただその対象を士郎へと変えて……、

「くっ!?」

 士郎を救おうと反転するセイバーだが、既にそこは獣の山。どうあっても間に合わない。

「マスター!!」

 セイバーの声が届く。だがどうしようもない。得物のない状況では、唯一の魔術である強化すら使用できない。

 ならばどうあっても無理だ。この状況を打破すべき手段は、衛宮士郎には残されていない。

「……っ!」

 桜を助けられたことが唯一の救いか、と思いながらも逃げてたまるかとその獣の口を睨みつけ、

「駄目ッ……! ライダァァァァァァァァァァッ!!」

 次の瞬間、突如飛来した短剣がその口を地面に縫い付けた。

「なっ……!?」

 驚愕の声は士郎ではなくセイバーから。

 だがその状況を士郎が理解するより早く、紫の影が士郎を弾き飛ばし、その鰐を撃退した。

 慌てて駆け寄ってくる桜に抱き上げられながら、士郎は見た。

 そこに、闇が結晶化したような女性の姿があった。

 足元にまで届きそうな紫の髪はまるで蛇を髣髴とさせ、目には何故かそれを覆う眼帯がある。

 一瞬で理解する。これは、あのセイバーと同種の存在だ。だとすれば、これもサーヴァントということになるのだが……、

「マスター、その少女から離れてください! その少女もまたマスターだ!」

「セイバー!?」

 セイバーの声にハッとする。

 そうだ。確かにいま桜は呼んだのだ。『ライダー』と。

 振り向けば、悲しそうに目を伏せる桜が見えた。

 どうしてそんな顔をするのだろうか……と、考えて理解した。

 当然だ。聖杯戦争というものは、つまるところマスターとサーヴァントの殺し合い。

 自分がセイバーのマスターであり、桜がこのライダーのマスターであるということなら、いずれ戦いあう存在になる、ということだ。

 が、

「セイバー。貴女のマスターは私のマスターを信頼しているようです」

 驚きにも、無口そうに見えたライダーがセイバーに向けて声を投げかけた。

「そしていま私は貴女のマスターを守れということで令呪を使ったのです。私のマスターも貴女のマスターを大事に思っている。

 ならセイバー、それは貴女が口を突っ込むべきことではないと思いますが?」

「むっ……。いや、しかし……!」

「落ち着きなさい、セイバー。先のことはともかく、いまはこの状況を打破することが先決です。

 いまは私のマスターも貴女のマスターも危険なのは同じこと。それくらいはわかるでしょう?」

「っ……! 言われなくてもわかっています!」

 これも驚きだった。冷静そうに見えるセイバーが、ライダーに言いくるめられている。

 こんな状況でなんなんだが、なんとなくこの二人は相性が合わなそうだと思った。

 そんな士郎の思考など知る由もないライダーはまるで助走をつけるように腰を落とすとセイバーを一瞥し、

「とりあえずは互いのマスターのため、ここは共闘といきましょう。確実性のためにもその方が良い」

「仕方ありません。現状を考えれば確かにそれが最も効率的でしょう」

「では――」

 言い切り、ライダーが文字通り飛んだ。

 それは跳んだ、と表現するには生ぬるいほどのスピード。目視できないほどの強烈な一足飛びで刹那の間にネロへ肉薄する。

「むっ……!」

 先程鰐を串刺しにした短剣が弾丸のような鋭さで繰り出される。

 それはネロの肩からせり上がるようにして出現した鹿の角によって遮られるが、短剣についている鎖がその角に絡まった。

 ライダーはそのままネロを追い越し着地すると鎖を巻き取るように回転させ、その身体を鎖で拘束する。

 その隙にセイバーは獣の群れを突破し、

「身体が駄目でも……頭ならどうです!」

 横薙ぎに不可視の剣を振り抜いた。

 拘束されたネロにかわす術はなく、その一撃は間違いなくネロの頭部を刈り取った。だが、

「言ったであろう。無駄だと」

「「!?」」

 セイバー、ライダーの足元から黒いうねりが出現する。

 二人はそれを跳躍してかわし、距離を取った。その先で、何事もなかったかのように頭部が生えるように再生したネロが立つ。

「頭を斬っても駄目とは……」

「なかなかくせもののようですね」

「ふっ。この身を滅ぼしたければ六百六十六全ての命を一瞬で滅ぼすつもりでなくてはな」

 その言葉を聞いてセイバーとライダーがわずかに互いを見やった。

 それは互いを警戒するような動作だ。

 この二人、ネロを打倒できるような技を持っているのではないだろうか。あれは互いに奥の手を見せたくない、という表現に見える。

 やはりああいう言い方をしつつも、本来敵であることを二人とも忘れていない。

 その間にもネロは近付き、再び口元を歪めた。

「来ないのか。ならばこちらからゆくぞ!」

 ネロが手をあげると同時、ネロの身体とその足元、そして先の戦闘で散った黒い水溜りから湧き出るようにして数多の獣が出現する。

 それに対しセイバーとライダーが共に構えを取り……、

 しかし、そんな両者の間を断ち切るような光の雨が大地に突き刺さった。

「むっ」

「悪いけど、そうそう好き勝手はさせないわ。ネロ・カオス」

 声は斜め上方から。慌てて振り仰ぐ。

 いつの間にか止んだ雨雲の間から月光が零れ落ちている。その光に照らし出されるようにして二つの赤がそこにあった。

「死徒二十七祖とはいえ、サーヴァント三人を同時に相手にするのは苦しいんじゃないの?」

 クス、と。余裕の笑みを浮かべ立つその少女は、

「あれは……遠坂!?」

 間違いない、その少女はまさしく遠坂凛。

 士郎の通う学校において最強の存在にしてマドンナとまで呼ばれる少女。そして――この国の統治者でもある遠坂の人間。

「どうして、遠坂がここに……? いや、それより……」

 その凛の隣にもう一人男がいる。

 赤い外套を身につけ、弓を構えた男だ。その気配は、やはりというかなんというかセイバーやライダーと同じもの。

 それにさっき凛はこう言ったではないか。三体のサーヴァント、と。

 つまり……あれもサーヴァントということ。

 ということは、遠坂凛もまた聖杯戦争に選ばれたマスターということになる。

「いまなら見逃してあげるわよ、ネロ・カオス。死徒二十七祖はとっととムーンプリンセスに帰りなさい」

「ふっ……。確かにサーヴァントを三体相手にするのは骨が折れそうだ。止むを得まい」

 獣が消える。そしてネロはサーヴァントたち、そして凛、桜と一瞥し、

「いずれ聖杯は頂く。それまで存分に争いその魂、聖杯に献上するが良い」

「残念ね。あなたたちの思う通りにはならないわよ」

 凛の言葉が聞こえたかどうかわからないが、ネロ・カオスはその灰色のコートを翻しがら空きの背中を見せつつ立ち去っていく。

 しかしそれを誰も追い討ちしようとはしない。そこにいる誰もがそんなことは無意味だと悟っていた。

 そうして数分。ネロ・カオスの気配が完璧に消えたことを悟り士郎は大きく息を吐こうとして、

「……マスター、その少女から離れてください」

 セイバーの鋭い眼光が士郎を射抜いていた。

「な、何言ってんだよ」

「ですから離れてください、と。あの吸血鬼がいなくなったいまそのマスターとこのサーヴァントは敵です。無論、あそこの二人も同じことですが」

 と言って凛と正体不明のサーヴァントを睨むセイバー。

 隙さえあれば斬り掛かる、という雰囲気がありありと伝わってくる。

「ちょ、ちょっと待――」

 なので慌てて止めようと腰を上げたのだが、

「悪いけど、わたしたちはいま戦う気は無いわよ」

 屋根から着地した凛がそんなことを言った。

「それはどういう――」

「言った通りの意味だけど。……さて」

 セイバーにそれだけ言って、凛の視線が士郎と桜に向けられる。

 呆れ半分、悲しみ半分という表情を浮かべ肩をすくめると、

「衛宮くん。それに桜……。まさか二人が聖杯戦争のマスターだったとはね」

「と、遠坂先輩! わ、わたしは……!」

「慌てなくても大丈夫よ、桜。……当面の間聖杯戦争は始まらないわ」

 何かを言いかけた桜を凛が制止する。

 士郎はよく知らなかったが、どうやらこの二人は知り合いであるようだ。

 だがそれよりも気にするべきは、

「聖杯戦争がしばらく始まらないとは……どういうことです?」

 ライダーが静かな声で問う。

 それをただ一瞥し、再びこちらに視線を送りながら、

「そんなことを悠長にやっている余裕は無い、ってこと。……だから二人にお願いがあるの」

「お願い……?」

 頷き、

「あなたたちの力を貸して」

 遠坂凛は、そう言った。

 

 

 

 あとがき

 はい、ども神無月です。

 Fateです。Fateですよ奥さん!(マテ

 えー、こほん。はい、ともかくFate勢です。一気にマスター三人とサーヴァント三体登場。

 あのわかめな兄貴はどうした、と思われる人もいるでしょうが大丈夫。抜かりはありません、はい。

 ネロ・カオスも登場。サーヴァントといえど彼を消滅させるのは至難の業でしょうね。

 で、話はなんか続きあるような感じに終わっていますが、そんなことないです。このまま「三大陸編」までまたノータッチ!(ぇ

 タイプムーンのメンバーが主軸に関わるのはまだ遠いのでありました……(まぁイリヤが出ているけども)。

 というわけで、次回のご登場にご期待ください。

 

 

 

 戻る