「こりゃきついな」
ベンチに戻った祐一は開口一番そんなことを言った。
「こっちの行動が一から全部読まれてる。あれを出し抜くのは骨が折れるぞ」
バットを戻しグローブを手にはめる。次はキー学の守備だ。
救いは攻撃力がキー学ほどではない、というところか。これまでの点数を見ても一回にそれほど大きな点数は取っていない。
こっちが点数を取れない以上、勝つためには失点は許されない。そういう状況なわけだが、
「駄目だ駄目だ! そんな考え方じゃ勝てるもんも勝てねーぞ!」
叫んだのは折原浩平である。彼はミットに拳を「バシッ!」と叩き付け、
「勝負事ってのは弱気になったらそこで負けだ。どれだけ劣勢になっても勝つことだけを考えれば道は開ける!」
言っていることは別に間違ってない。だが実際に月臣学園の驚異的な采配を体感した朋也はそう簡単に頷けない。
「浩平……そんな精神論で勝てれば苦労は――」
だがその台詞は祐一が肩を掴んだことで止められる。
「祐一?」
「好きにやらせといてください。浩平はあれくらいでちょうど良いんですよ」
祐一は腕を回しながら意気揚々とマウンドへ駆けていく浩平を見送りながら、
「あいつは理論や理屈より精神論で能力が上下するタイプだから。ある意味物事を考えすぎる俺や朋也さんよりあいつらには向いてるかもしれない」
「あー……なるほど」
本能というか反射的な行動の多い浩平だからこそ、動きが読みにくい。
そういう意味では鳴海歩の天敵となりえるかもしれない。そんな浩平がピッチャーというのも上手く働けば良いのだが……。
「まずは点を取られないようにしないとな」
なんだかんだで、負けず嫌いなのが相沢祐一という男であった。
集まれ!キー学園
五十九間目
「野球の星(X)」
一回の裏。月臣学園の攻撃。そしてキー学の守り。
今回は前回と違いキャッチャーが春原陽平ではなく風上将深に変わっている。これは祐一の作戦の一つである。
球をどこに投げるかを決めるのはキャッチャーの仕事だ。月臣学園はデータ採集は完璧のようだから、代えずにいればすぐに打たれるだろう。
……とは言うものの、キー学の場合どこに投げるかを決めているのはピッチャーの浩平であったりするので、キャッチャーが変わったところで多く投げてしまう場所などは変わらない。
だがキャッチャーを変えていればとりあえずしばらくは騙せるかもしれない、というのが祐一の案だった。
まぁ浩平はそういう駆け引きのような部分は苦手なのでそういった采配は全て祐一に丸投げなので口出しはしない。
すべきことはただ一つ。
――捻じ伏せる。
ピッチャーマウンドに立った浩平は守備についたキー学ナインに向けて一言。
「しまって行くぞー!!」
頷く全員を見渡し、浩平は一人目のバッターを迎えた。
佐祐理の情報にあった注目選手というのが三番以降、いわゆるクリーンアップに集中している。
なら少なくとも一番、二番は抑えなくてはなるまい。
審判からプレイボールがコールされる。浩平はグッと白球を握り締め、
「らっ!」
第一球を投げた。
「……」
歩はベンチで手元の紙と浩平を見比べていた。
持っている紙はひよのが収集したこれまでの二試合で浩平の投げたデータだった。投げた場所、球種、平均速度などなど綿密に記されている。
毎度のことながらどうやってこれだけの情報を仕入れているかは謎だが、そんなのは今回に始まったことではないので気にしない。
一人目が三振で終わった。小さくガッツポーズをする浩平を、歩は目を細めて見つめる。
「鳴海さん、次ですよ?」
「わかってる」
歩の打順は三番。ネクストバッターズサークルに入らなくてはいけない。
歩は資料を横に置き立ち上がる。その紙をひよのが見つけ、首を傾げた。
「鳴海さん、これ以前のキャッチャーの配球ですよ? 見ても仕方ないんじゃ……」
「どうかな」
「え?」
「ちょっと確かめてくる」
「鳴海さん?」
ひよのの問いに何も答えず、歩はバットを持ってベンチを出た。
浩平の投げたボールが打者のバットの下を通過しキャッチャーミットに収まった。
「ストラーイク、アウト!」
「しゃあ!」
二人目も三振に切って捨てた。今日も球の走りは快調だ。
そしていよいよクリーンアップ打線になる。
まず始めの三番、鳴海歩。浩平も個人的に知っている相手だが野球の能力は未知数。これまで一試合も出ていないから情報も何一つない。
しかし打っていた前三番打者の浅月香介を七番に下げてまで持ってきた相手だ。油断は出来ない。
歩が構えたのを見て浩平はまず直球、ど真ん中に投げた。するといきなりフルスイング。球は快音と共に浩平の頭上を飛んでいった。
「なっ……!?」
慌てて振り返る。だがどうやら飛距離が伸びないようだ。レフトの杉並が無事捕球してスリーアウト。
交代となった。
「やっぱりな」
ベンチに戻るや、歩はメットを放り投げそう呟いた。
「どういうことです?」
「キャッチャーを変えたのはフェイクだ。あそこはどうやらピッチャーが配球を決めてるらしい」
歩はひよのの資料の一点を指差す。
「あんたのデータじゃ、これまでもツーアウト後のバッター相手の初球はど真ん中である確率が八割以上を示してる。
確認のためにそこだけを狙ってみたが、案の定そこに投げ込んできた。間違いないだろ」
「でもどうしてそうだと気付いたんですか? いまの言い方じゃあくまでこれは確認だったみたいですけど」
「多分、投球に入るまでの間隔じゃないかな?」
首を傾げるひよのの横、帽子を被りながらのカノンの言葉に歩は頷いた。
「あのピッチャー、構えてから投げるまでが早すぎる。あれはキャッチャーの指示を見ているとは考えにくい」
「加えて言うならあの兄ちゃん、一度も頷いたり首を横に振ったりもしてへんしな。まぁ歩やなくてもそのうち気付くやろ」
火澄も気付いていたのだろう。両手を頭の後ろで組みながらのんびりとベンチを出て行った。
ほえー、と感心するようにひよのは歩たちを見て、
「……あれですね。皆さんがこうやって一箇所に集まると私の方がバカなんじゃないか、っていう錯覚に陥ります」
「いや、あんたは割とバカだろ」
「ひよのちゃんパンチ!」
その拳を難なくグローブで受け止めつつ、歩もまたベンチを出た。
二回表。再びキー学の攻撃。
だがここでも快音は一度も響きはしなかった。
カノンの超コントロールとひよののデータ、そしてそれを元にリードする歩の好配球によって攻勢を完全に封じられた。
四番の浩平はあえなく空振り三振。続く五番の瀬戸孝司は見送り三振、六番の風上将深はどうにかバットには当てたものの内野ゴロでアウト。
結局この回もヒットなしで0点で終わる。
投手戦になるか、という雰囲気が漂い始めた二回の裏。しかしそんな雰囲気を打ち砕くように白球が宙を舞った。
「よっしゃ!」
月臣学園の四番、ミズシロ・火澄が左中間へ運ぶツーベースヒットを放ったのだ。
ここから立て続けにカノン、アイズがヒットを放ちキー学はいきなりノーアウト満塁のピンチを迎えた。
「……まずいな」
祐一を含む内野陣が浩平の回りに集まる。作戦会議だ。
「どうやら一回の段階で浩平が配球を決めてることに気付かれてたみたいだな」
「でも、どこに来るかわかってて打てるほど野球って簡単じゃないと思うんですけどねぇ」
「まぁ純一の言うとおりだが……」
答えたのは朋也だ。彼はそれぞれの塁にいる月臣学園の選手たちを見て、
「ようするに何処に来るかさえわかれば打てる連中なんだろ、あいつら。なんか雰囲気が普通の高校生じゃないしな、あれ」
それはなんとなく純一にもわかるのか、「あぁ」と妙に納得したような返事を呟いた。
「ともかく」
祐一がミットを口に当てながら言う。
「月臣学園に勝ちたいなら大量失点は避けたい。1点くらいはくれてやる気でダブルプレーを狙おう」
「いや、三振にしてみせる!」
「三連打を浴びてる浩平が言っても説得力はないぞ」
「うぐぅ……」
ピッチャーを代えるというのも手の一つだが代えの投手は少なく、その上スタミナもそれほどない。そのカードをここで切るのは些か無謀だろう。
いまはどうにかこのまま乗り切るしかない。
「なんとか、抑えるぞ」
祐一の言葉を皮切りに、マウンドから守備陣が散っていく。
しかし浩平はまだ三振を諦めちゃいなかった。まぁ負けん気だけで言えば四天王でも随一の彼だ。1点くれてやるつもりで、など納得出来ようはずもない。
まぁその辺りは長い付き合いだ、祐一もわかっている。それで打ち取ってくれれば僥倖だ、くらいに考えていた。
だが熱くなった浩平の思考は一層狭まったしまったのだろう。第一球、なんとまさかのど真ん中。
「あのバカ……!」
しかし、途中で球が落ちた。そう見せかけてのフォークだ。
「なんの!」
だが七番の浅月香介はそれに合わせてきた。スイング中のバットの軌道をわずか下げて、落ちた球を芯で叩いた。
「なっ!?」
驚愕する浩平の右をライナーでボールが横切っていく。
「げ!?」
だが香介は見た。その球筋の向こうで既に純一が捕球体勢に入っていることを。
これはアウトだ。誰もがそう思い塁にいる連中は誰も走り出さず、香介もまた全力疾走をやめた。
「――!」
……だが、純一はこの中の誰より一つ上の思考を展開していた。
パスン。
「……な?」
二塁にいたカノンは見た。純一のミットに収まるはずのボールが、グローブを叩くだけでグラウンドに落ちていく姿を。
エラーか? という疑問はすぐに否定へ切り替わる。
捕球し損ねたわけではない。あれは間違いなくわざとだ。手首のスナップでボールを叩き落したようにカノンには見えた。
しかし何故?
「ま、さか……!?」
ボールが落ちる寸前、カノンは純一の意図を悟った。
「走れ!!」
ベンチにいた歩も気付いたのだろう、逸早く叫ぶ。だが気付くのが遅すぎた。
ボールは純一のミットに弾かれ、落ちた。ワンバウンド。即ちこのボールはアウトではなく、生きていることになる。
となればこれはエラー扱いのヒット。つまり――現在満塁のため、全員走らなくてはいけなくなる!
「嘘やろ!?」
慌てて火澄が走り出すが、球を拾った純一がすぐさまカノンにタッチし二塁ベースカバーに入った祐一へ送球し、ツーアウト。
そしてすかさず祐一がファーストへ送球。走り出しが遅かった香介はギリギリ間に合わずまさかのスリーアウト。
カノンが審判を見るが、何の反応も示さない。故意落球とは認識出来ていないようだ。
一瞬球場が静まり返った。
まさか……まさかの、
「トリプルプレー……だとぉ!?」
香介の悲痛な叫びを皮切りに、一気に歓声が湧き上がった。
「純一ぃ、お前最高だ!!」
「ナイスプレー!」
「すげーなお前ッ!」
「良いとこ持っていきやがってコノヤロウ!」
「あ、あはは……」
ボコボコとクラブで殴られていく手荒い歓迎を受ける純一。
まぁそれだけのプレーをしでかしたのだから仕方ない。……一部怨念の交じった一撃(By浩平)もあった気もするが。
で、逆の立場である香介は。
「香介のアホー!!」
「香介くんのバカー!!」
「……うぅ」
観客席からのバッシングに男泣きをしていた。
ともあれ、純一の好プレーでどうにか0点に抑えて二回終了。いまだ0−0。
三回。
両陣営とも下位打線となったこの回はどちらともヒットなしの投手戦で終わった。
浩平もカノンも共に二つ三振を取り十分程度でこの回は幕を閉じた。
これは長期戦になりそうだ、とどちらも考え始めていた。
そして四回の表。再び一番から始まるキー学の攻撃。
バッターボックスに立つのは先ほど守備で活躍した純一である。
――かったりぃ。
心中でそんなことを呟きながらバットを構える。
基本的に面倒くさがりな純一だ。先程の大立ち回りで既にボルテージが軒並み減少していた。
第一球目が来る。自分が結構苦手にしている外角高め。ボールかと思って見送れば、ストライクをコールされた。
審判を半目で睨むが、それでジャッジが変わるはずもない。こういう操作が上手いのが月臣学園ということなのだろう。
第二球。内角やや高め。反射的にバッドをスイングしたが、ファール。
第三球。微妙に曲がるフォーク。掠めて、これまたファール。これでツーストライク。もう追い込まれた。
こりゃもう駄目かなー。諦め癖のある純一はバットを握る力を抜き、
「何やってるんですか兄さん!」
いきなり響いた、聞き覚えのありすぎる声に「ビクゥ!」と肩を震わせた。
「ね、音夢……?」
観客席最前線。そこに音夢がいた。
「なにやる気なくしてるんですか兄さん!?」
……さすがは妹。どうやらバレていたらしい。
「ちゃんと最後まで打ってください!」
「純一くーん! さっきみたいなカッコイイのよろしく〜!」
「朝倉先輩ファイトでーす! 朝倉先輩なら出来ますよー!」
その後ろにはみさおや美春たちもいた。
「あいつら……好き勝手言いやがって」
相手がどれだけ強いのかわかってないからそんなことを言えるのだろう。
だが、
「……ったく。かったりぃ!」
バットを握る手に力を込める。
――音夢にお小言を言われるのはごめんだし、あいつらにしょんぼりされるのもごめんだ。
四球目。投球モーションに入ったのを見届けて、
「!」
純一はバントの構えに出た。
純一はキー学ナインの中では最も足が速い。上手く転がれば十分にヒットにはなりえる。
奇策。だがカノンの反応は凄まじかった。
「なっ」
完全なボール球。慌てて純一はバットを下げた。
「……あのタイミングで軌道変更出来るのか、凄いな」
完璧な奇襲だと思ったのだが、これで相手はバントにも警戒するだろう。奇襲としての意義は失った。
さて、どうしたものか。
「んー……よし」
純一は一つ頷くとバントの構えを見せた。もう奇襲としての意味合いがなくなったいま、隠す必要もないということか。
月臣学園の内野陣・外野陣共に警戒してやや前へ出る。
純一がバントをしたことはこれまでないので、歩たちもどうなるかわからない。緊張感漂う中、カノンがボールを投げた――その瞬間、
「「!」」
純一がバントの構えを解いた。これは、
「バスター!?」
純一はカノンの反射の高さをさっきの一件で悟った。だから修正不可能になるギリギリまで待ち続けたのだ。
これはカノンの球がさほど早くないから出来る芸当だ。もう少し球が速ければスイングが間に合わずに終わっただろう。
だがそれら全ての要因が合致する。一瞬でそう判断し、純一はバットを振り抜いて――白球が舞い上がった。
「!」
しかし無理な体勢からのバスターだ。力は入らず飛距離は伸びない。まぁ普通ならアウトだろう。普通なら。
だが内野陣が前進していたせいで空いた穴に上手い具合にボールが落ちた。前進していた外野がそれを拾うが、足の速い純一は既に一塁を踏んでいる。
この試合だけでなく、大会始まって以来の月臣学園からの初ヒット。それが――純一となった。
再びの純一の活躍に、観客席が多いに湧いた。
「……やれやれ。柄にもない」
そんな中、苦笑交じりに純一はヘルメットを被り直したのだった。
さて、キー学はそのまま勢いに乗るかと思いきや、後続が続かなかった。
二番の朋也が三振、三番の祐一が内野ゴロに終わる。
一応その間に純一が盗塁を二回決めて三塁にまで進んでいるのだが、既にツーアウトとなっていた。
何故かキャッチャーの歩が盗塁をしても送球しなかったのだ。
「まぁ、つまり鳴海歩は司令塔というか配球を決めるためだけのキャッチャーであって、能力的にはそれほど高くはないんだろう。
下手に送球してミスしたりすれば純一の足だ、すぐに点に繋がるだろうしなぁ」
戻った祐一がそんなことを言いつつ、ベンチに腰を下ろした。
「相沢氏でも打てませんか」
「杉並。俺を完璧超人とか思ってるようだが、そんなことはない。俺だって普通の人間だ。上には上がいる」
特に歩との相性は極めて悪い。いや、物事をいろいろ考えて行動するタイプにとって歩は天敵だろう。
なんせ、生半可は知恵や考えは全て読まれ、裏をかかれるからだ。身体能力は確かに祐一や朋也の方が上だろうが、全てひっくるめて読まれては対処のしようもない。
純一は面倒くさがりだが、あれで四天王の中では浩平の次くらいに精神的な要因が影響しやすい人間だ。おそらくその辺りがさっきのヒットに繋がったのだろう。
そういう意味では朋也ももしかしたらなんとかなるかもしれないが、あれこれと考える性質の祐一はとことん相性が悪すぎる。
まぁそういうわけで、おそらく今回自分はたいした活躍は出来ないだろうと踏んでいた。もし活躍するのならば純一と、
「あの男、だろうなぁ……」
祐一の視線の先。そこには背中に炎を纏った(ように見える)男がバットを携えバッターズボックスに入ろうとしていた。
バットを構えた浩平は若干苛立っていた。
もともと負けず嫌いな上に、目立ちたがり屋な浩平なわけだがここまでまったく良い場面がなく、むしろピッチャーとして打たれまくったようなイメージしかない。
そして本日超絶活躍中である純一がまさしく孤軍奮闘の勢いでめちゃめちゃ目立っているではないか。
「おのれ純一め……」
何故かその怒りの矛先は月臣学園ではなく純一に向いていた。
三塁の上で寒気でも感じたのか、純一が身を震わせている。
浩平はギュッとグリップを握り締めた。こうなったらせめて打撃で目立ってやる。そうなれば狙うべきはただ一つのみ。
そうやって力む浩平を横目にし、歩は低めをカノンに要求した。
浩平は低めに弱い。そして大概初球は振りに来るのでここで三振を稼ごうと考えた。
歩の読みは正しい。実際浩平は低めは苦手だし、初球の空振り率はかなり高い。
「ふっ!」
カノンがボールを投げた。それは歩の要求通りの場所へ飛ぶ。
浩平がバットを振りかぶって、風を叩き切らんとするかのように全力でスイングした。
空振りになる。そのはずだったが、
カキーン!!
「なっ!?」
快音一発。
浩平のバットによって打たれたボールはカノンを頭上を大きく飛び越え、みるみる飛んでいく。
落ちてこない。落ちてこない。結局ボールの行き着いた先は――柵の向こう、得点ボードだった。
「うっしゃ――――――ッ!!」
浩平の雄叫びが球場を突き抜けた。
歩に間違いがあったわけじゃない。むしろ原因は、
「浩平みたいなとんでも人間を頭で読もうってのがそもそも無理なんだよ」
ベンチで祐一は肘を着きながら、そんなことを呟いた。
浩平のツーランホームラン。
ダイヤモンドを一周した純一と浩平が互いにホームベース近くでハイタッチを交わしていた。
五番がアウトになりスリーアウト。四回の表が終わって2−0。月臣学園の初失点となった。
そしてキー学二点リードで、四回の裏に突入する。
あとがき
えー、こんばんは神無月です。
キー学VS月臣学園の前半戦が終了しました。
全体的に純一が大活躍でしたね。かったりぃとか言いつつ案外熱くなりやすいのが純一だったりします。
逆に良い意味でも悪い意味でも冷静な祐一はそういう意味では歩とは相性が悪い。本人の言うとおり朋也や他の面々同様未だ活躍なし。
まぁそれでもどうにか勝ち越してますけど。とはいえ、もちろん月臣学園……スパイラル勢もこのまま終わるわけがないですね?w
さて、次回は月臣学園の攻防。浩平の運命やいかに(ぇ
ではまた〜。