「お前等、温泉に入りたいかーーー!!!」

「「「「おーーー!!!」」」

「いや、全員ちゃんと入れるから」

「お前等、腹一杯肉を食いたいかーーー!!!」

「「「「おーーー!!!」」」

「いや、お前等俺の言ってる事聞いてるか?」






魔法会長祐一 第九話 「行くぜ親睦旅行!戦場は山!死にたくないのなら全力で食らえ!(意味はなし)」





「ノリが悪いぞ祐一」

鶴来屋温泉行きのバスの中、無駄に盛り上がる我が級友達、俺は一人ツッコミを入れる。

「これでも会長だからな」

「ふっふっふ、本 当は我等と一緒に騒ぎたいのであろう相沢!」

俺の後ろの席に座るこの無駄に暑苦しい男の名は、伊庭洋介、『組織の伊庭』の二つ名を持つ
トラブルメーカーだ。
因みに住井がこいつと対をなす二つ名『個報の住井』の名を持つ。
更に因みにこの二人の上をいくのが『スペシャリスト』の名を持つ杉並だ。

「俺をお前と一緒にするな、それにバスの中で騒いだってやれる事なんて高が知れてるだろ」

「そう言うと思っていたぞ相沢!我に秘策在り…だ」

「秘策〜?」

「そう!自己紹介といこうじゃないか!俺を含むオリキャラオンリーのな!」

自己紹介か、確かにやってないな……

「まあそう言うならやってみろよ」

「ああ!おう!ともさ!出席番号四番!伊庭洋介(いばようすけ)公式新聞部部長だ、特技は情報収集、
この学園の事で俺の知らぬ事はない!」

「断言しやがったなこいつ」

「ふっ、この俺を置いてそんな事を言うのは―――」

「はいはい、次行こう、次は歩だな」

伊庭の後に出てきた住井を無視して次の歩にふる。
この場はオリキャラの紹介だと言っただろに。

「相沢!」

「川崎歩(かわさきあゆみ)風紀委員所属、一番隊隊長を務めさせてもらっている。
学園の風紀を乱す輩をこの『桃華』で成敗し、会長の手助けをするのが私の役目 だ。
折原を筆頭に、このクラスには問題を起こして来た者が多い、
抜刀の許可が下りれば手加減はしないのでその積もりでな」

そう言い終えるとこちらに視線を送り、席に着く。

「次は〜由香か」

「瀬能由香(せのうゆか)中央委員会に所属しています。
相沢君のおかげで一年の代表になったので、
委員会の事で分からないことがあれば、私に聞いててください。」

由香、悪かったと思ってるんだから睨まないでくれ、
それに俺が会長じゃなくても結果は一緒だったと思うぞ?

「あ〜次は亮太頼む」

「うん、僕の名前は高橋亮太(たかはしりょうた)部活や委員会には所属していないです。
一日一善をモットーに、ボ ランティア活動とかよくしてます。
こんな感じかな?」

いつもながらの好青年っぷりだな。

「じゃ、最後に西川」

「ふむ、私の出番かね?私の名は西川孝紀(にしかわたかのり)またの名を『博士』という。
生徒会には所属していないが相沢閣下の為に働く所存だ。
特技はメカの開発、修理だ。何か入用ならいつでも頼みに来るといい、以上だ。」

いつも疑問なんだがその閣下てのは何なんだ?

「これで終わりだな、思うに想像以上に濃いメンバーだなこのクラス」

「はっはっは!このクラス一濃い相沢の台詞とは思えないな!」

「だからお前と一緒にするなって言ってるだろ伊庭!」

「そんな事は置いといて、オリキャラ紹介は終わった、次はこれだ!」

そう言いながら浩平が取り出したるは、一本 のマイク。

「住井、ミュージックスタート!」

「任せろ!」

流れるミュージック、この曲は―――!

「俺の歌を聴けーーー!!!」

「―――突撃ラブハートかよ!」

まあ、そんなこんなで時間は過ぎていく。
朝早い時間の為か、皆テンションが高く、カラオケ大会?は大盛り上がりで進んでいく。
このクラスのメンバーに、歌が上手いのが多いのもそれに拍車をかけたようで、
これを見越してたんだろうか?バスガイドがいないのは……









各自が持ち歌を披露し、騒がしくも楽しいバス移 動は、昼食をとる会場への到着ともって終わりを告げた。

バスの扉が開くと同時に飛び出す馬鹿が一人、住井。

「雲一つ無い空!」

馬鹿二人、北川。

「美味しい空気!」

そして三人目 の浩平。

「そして!」

「やー」

「きー」

「にー」

「「「くー!!!」」」

と同時に三人が飛び上がる。
こいつ等騒ぐときは本 当に騒ぐな……

「お前等騒ぐな!」

「はっは、相沢よ、今日騒がずしていつ騒ぐと言うのだ!」

いつの間にかバスの上に立ち馬鹿笑いする伊庭。

「あ〜こいつ等は……歩!」

しょうがない、一度御灸を据えるか。

「此方の準備は完了している、あとは命令を待つだけだ」

俺が歩に視線を向けるとそこには腕に光る?風紀委員の腕章を、腰に『桃華』を据えた姿があった。
これが阿吽の呼吸というやつか。

「よし、抜刀許可!この馬鹿どもを大人しくさせろ!」

「任務了解、制裁、開始」

の台詞と共に地を駆ける歩、学園五刀が一『桃華』は居合い刀であり、歩もそれに応じ、
居合いを主体とする戦い方だ。

「「ぎゃーーー!」」

必殺の一閃は北川と住井を一撃で再起不能へと陥らせる。

「北川、住井の両名の制裁完了、残りの制裁に移 る」

「はっはっはこの伊庭洋介、簡単には…あぎゃ!」

バスの上で踏ん反り返っていた伊庭は一瞬の内に天に召された。
あいつ気配とかは消せるくせに、運動神経はそんな良くないんだよな〜。

「伊庭の制裁完了、最後は折原、お前だ」

浩平に向かって刀を突きつけるその姿は、格好良いの一言に尽きる。
これはそりゃあ女子に持てる訳だ。

「このトラップマスターを捉えられるか?」

トラップマスター、浩平の持つ異名で、これは数々の事件を巻き起こし、
その追撃を自らが作ったトラップにより退けて来た実績から、風紀委員がつけた名だ。
因みに色々ある異名の七割は風紀委員がブラックリストを製作する時につけた名前だったりする。

「我が誓い、今ここに果たせ、桃華!」

これまでのどの攻撃よりも早い一撃―――

「速い!だが!」

―――だがそれは浩平の持ち前の勘に前に避けられてしまう。

「ふっ、終わりだ折原、由香!」

だが歩の攻撃は唯のブラフでしかなかったのだ!

「まったく、少しは大人しく、しなさいよね!」

一瞬の隙に浩平の懐へと入り込む由香。そして――

「なにっ!」

――放たれる剛拳。

「せい!」

それは浩平をこれでもか!というほど吹き飛ばした。

「ぐばぁ!」

「折原への制裁を完了、祐一、此方の仕事は完了した」

「了解、二人とも流石だな、葉子、有紀寧」

「私達の方の準備も完了しました」

「後は生徒会メンバーと川崎さん、瀬能さん、だけです」

「了解、二人は俺達と一緒でいいだろ?」

「ああ」

「うん、構わないよ」

さて、二人の了解は取れたし、一仕事しますか。

「OK、それじゃあ少し遅くなったけど昼食にしようか皆、各班用紙されている薪を使って火を熾してくれ、
肉や野菜は前に用意してある分から好きなだけ食ってくれ、
米がいる場合はそこにある飯盒を使って各班で炊く事、
取り敢えずは以上か?それじゃあ各班準備に掛かってくれ、
そうそう、どうしても火が熾せない班は西川に頼めばすぐ火を熾せるから、それじゃあ頂こうか皆!」

俺がそう言うと共に各班の男子は火を熾す準備をし、女子は食材を取りに向かう。

「おっしゃー祐一、火を熾すぞ」

「もう回復したのか浩平」

相変わらず回復の早い奴だなこいつは。

「まあ食えるときに食わないとな」

「そういう事だ相沢」

そう言いながらにょきっと起き上がる北川と住井、いきなり起き上がられるとちょっと怖いぞ、おい。

「はぁ〜お前等は……まあいい、そこと向こうが俺達の場所だから、そこの鉄板はお前らが使え、
俺はあっちの火を熾してくる、西川行くぞ」

「はっ」

良くも悪くも俺の言う事を忠実に聞いてくれる西川、まあ凄く助かるんだが、なんだかな〜?

「ご苦労様祐一」

「ありがとう郁美、まああいつ等の気持ちも分からないでもないんだがな」

郁美に挨拶を返しながら俺は薪の準備をしていく。

「去年まではあれに祐一も加わっていたからな、私達役員は大変だったんだぞ?」

そう言い少し此方を睨む智代、まあやんちゃ盛りだからな中学時代なんて。

「う〜む、まあ騒げる時に騒いどかないといけないと思ってな、学生の間だけだろ?こうやってられるのは」

「にはは、祐くんならいつまでも変わらないと思うよ?」

「それは褒められてるのか貶されてるのか微妙だぞ観鈴、っと準備できたぞ西川」

そう言いながら西川に視線を向けるとその手には放熱板?を先端につけた銃らしきものが握られていた。

「はっ、それでわ―――」

「―――ファイエル!」

「おお〜!」

「小型着火兵器、名を『光子力銃マジンガン』です」

「また無茶な物を作ったわね」

とは郁美の談、俺もそう思ってるんだがな。

「西川さんは祐一さんの言う事を聞くので問題はないでしょう」

「それも困り者なんですけどね」

葉子と有紀寧がそう言いながら食材を並べ始める。

「さて、火も熾ったし、各自適当に食べててくれ、西川は他の班を見回って火が熾ってない所は助けてやってくれ」

「了解しました、それでわ」

「ああ」

これがIQうん百の天才なんだから、世の中分からないものだな。
そんな事を考えながら西川を見送った俺の元に奴はやって来た。

「ふむ、どうやらこの俺の出番はなかったようだな」

「杉並、それに純一もか」

「そう、相沢、お前の永遠のライバルこと杉並正義だ」

「かったりぃ」

杉並に連れて来られた感たっぷりの純一と、無駄にやる気120%の杉並のコンビは高校に上がっても健在か。

「変わらないなお前等も、男連中はあそこで固まってるから行って来い」

「おう」

「ふむ、承知した」

「祐一くん!」

そして二人を追い回す風紀委員の音夢、これが中学時代から変わらない姿だ。

「おっす音夢、純一達ならあそこにいるぞ、何かあったら俺達も動くから、
あっちの生徒会メンバーと一緒にいてくれ」

「ありがとう祐一くん」

「やれやれ、それじゃあ俺は見回りに行きますか」






「祐く〜ん」

「おっす五人とも、楽しんでるか?」

「おっす祐一、まあ楽しませてもらってるさ」

「おひさ〜祐一、とっても楽しいよ」

「おはよう相沢君、私も楽しませてもらってるわ」

「適度に楽しませてもらってるよ祐一」

「おう、ならよかった、今日明日ともに楽しんでくれ、じゃあな」







「祐一く〜ん!」

「おはよう祐一君」

「おっすことり、叶、楽しんでるか?」

「バッチリ楽しませてもらってるっす」

「うん、楽しませてもらってるよ」

「おはよう相沢」

「おはよう相沢君」

「おはよう眞子、ななこ」

「おはようございます祐一様」

「おはようございます祐一君」

「あい、おはようございます祐一君」

「おう、おはよう環、美咲、和泉子」

「皆楽しんでもらってるみたいだし、俺は見回りの途中だから行くわ」

「うん、また後でっす」

「おう」


こうして俺は各クラスを見回っていった。
その先では舞人が馬鹿やってたり、さつきが騒いでそれを雪が止めようと頑張ってたり、
那美や美由希が互いの料理のダメダメっぷりを披露して、
それを真一郎や小鳥がフォローしているのが眼に入った。







「う〜む…ここは何処だ?」

どうやら知らない山の中を歩いていたせいで道に迷ったみたいだな。

「さて、どうしたものか……」

適当に山の中を歩く、本 来はじっとしている方がいいらしいが……

「ん?あれは……」

しばらく歩いた先に少し開けた場所を発見、そして一人の少女も発見した。

「誰だ?こんなところ?」

背格好からすると俺と同じ高一か一つ上か下って所だろう。

「なあ、ちょっといいか?」

「あなたは……!?」

黒髪おかっぱでセーラー服を着た少女が此方を睨みつけてくる。
その表情は俺と同じ年頃とは思えない迫力に満ちていた。

「あ〜俺は相沢祐一、鶴来屋に泊まりにきてる学生なんだが」

「あなたが、話は姉から聞いています」

「姉?」

「私の名前は柏木楓、姉の名前は千鶴です」

「千鶴…ああ、鶴来屋の会長がそんな名前だったな」

「ええ、それで貴方は何故ここに?」

「ああ、情けない話なんだが道に迷ってな、出来たら元居た場所まで案内してくれないか?」

「……そうですね、分かりました」

「悪い、助かるよ、え〜っと楓、でいいか?それとも柏木さん?」

「……楓で結構です、柏木だと色々と紛らわしいので」

「了解、それじゃあ案内頼むよ楓」

「はい、それじゃあ行きましょう、こっちです」

こうして俺は楓の案内のおかげで、元居た場所に戻る事が出来た。
が、俺が居ない間に浩平達が騒ぎ、色々と大変だったと、
智代や葉子にしかられる破目 になってしまったのはここだけの秘密にしとこうと思う。

「それにしても、楓っか、なんか不思議な子だったな、色々と……」

「何やってるんだ祐一、速く行こうぜ」

「ああ、今行く」

まあ今考えてもしょうがないか、知るべき事なら知る時が来るだろ。
そう考えながら俺は浩平達が待つバスへと歩を進めて行く。




あとがき

オリキャラの性別が分かりにくいと言われましたのでここに書いときます。
伊庭洋介、高橋亮太、西川孝紀の三名が男で、
川崎歩、瀬能由香の二名が女になります。
クラスのキャラ設定表をいま作っている最中ですので、
詳 しい設定はもうしばらくお待ちください。
でわ