「じゃあね、りえちゃん」
「うん、また明日ね」
 夜も遅くなった街中、杉坂葵と仁科理恵はそう言って互いに別れをつげた。
「遅くなっちゃった……」
 時計を見ると、午後8時ちょっとすぎ、夕食は二人でとったので、空腹感は無い。
 しかし、女の子が歩くにしては心細くなる時間だ。
 理恵はゆっくりと足を進め、自宅へ向かおうと歩いていく。
「浩平さんも居ないし、練習とかしないのかな?」
 ゴールデンウィークにもしかしたら軽音楽部の練習があるんじゃないのかという思いもあったが、初日である今日は何も無かった。
 ただ……正午ごろに折原宅で爆発音がしたらしいという噂と、多数のヘリが住宅地を飛んでいたという目撃情報があるというくらいだ。
 なので、理恵は親友の葵とともにショッピングを楽しんでいた。
 しかし、美少女ぞろいのキー学の生徒、私服姿といえど一目でばれるのか、ナンパする若者がたくさん群がってきた。
 理恵はまじめなので、最初こそ丁寧に応対していたが、理恵の背後で葵が不動明王のごとく睨みをきかせている。
 無論、ナンパしてくる連中はすぐさま撤退していくが、それでもそういう連中は後を絶たない。
 それなので、仕舞いには全部ウラで葵が処理していたことに理恵は気がついない。
「最近……この辺で変な人がでるっていうけど……大丈夫かな?」
 理恵はきょろきょろと周りを見回し、誰もいないことを確認するとゆっくりと足を進めていく。
 ここ数日、夜の街中で不審な人物が出るというのはうわさになっている。
 真っ白な何かが徘徊しており、不良たち相手に喧嘩をしているらしい。
 ゆっくりとゆっくりと歩いているとふと、どこかから音楽が聞こえてくる。
「なんでしょうか?」
 音楽がするほうへと足を進めていく、
 何でだろうか……聞こえる音楽にはなぜか、引き寄せられる。
 音楽に導かれて公園へと足を踏みいれ、演奏者を探してみるが姿は見当たらない。
(フルートの音でしょうか?)
 耳を澄ませて音源を捜すかのように歩いているとやっと不思議な音楽の演奏者の姿を見つけることができた。
 白い、白いマントのような衣装に身を包んだ人が公園の一角の丘状になっている場所の頂上でフルートを吹いていた。
(すごい……)
 そのフルートの演奏の技術に理恵は思わず聞き入っていた。
 月をバックに顔を白いマントで隠した演奏者はそこで自分の世界を作り上げていた。
 悲しくて、それでも暖かいようなメロディー。
 誰かのために……遠くにいる誰かに届けるような、そんな印象が取れた。
「あんたも、演奏を聴きに来たのか?」
「え?」
 聞き入っていて、そして魅入っていたためなのか、後ろから声を掛けられるまで理恵は自分の後ろに誰か立っていることに気がつかなかった。
 振り返ると、一人の男子がギターケースのようなものを背負って立っていた。
「こんな時間に出歩いていると変な男に絡まれるぜ?」
 その男子は女顔で茶色い髪の毛をかきながら静かに眼を閉じて、理恵とともに演奏を聞き入った。
「鎮魂歌か……」
 その男子が呟いた言葉が理恵の耳にかすかに届いた。

 


集まれ!キー学園 オリジナルストーリー
少年が願う『日常』
補習3コマ目『潰えた夢、作り出す新たな幻想』



「俺は上条灯夜、キー学の2年生さ、あんたは?」
 演奏も小休憩に入ったのか、夜の静寂に包まれた公園の中で先ほどから理恵の隣に居た男子、上条灯夜はそう切り出した。
「仁科理恵です。私もキー学園の2年生です……上条?」
 理恵は上条という名字に何か思い当たることがあるのか、首を横にひねった。
「どうかしたか?」
「いえ、どこかで聞いたことがあるような名字だったんで」
 理恵は少し思い出してみようとしても、なかなか思い出せない、どこかで聞いた……いや、見たことがある気がした。
「まあ、結構ありきたりな名字だからな、ところで、仁科は何組?」
「2−Aです」
 その言葉を聞いて灯夜は頭を片手で抱えながら何かを考えている。
「どうかしましたか?」
「いや、あのカオスクラスにあんたみたいなのが居たのかなって」
 ブッチャケ失礼な話だ。
「カオスクラスですか?」
「あれ? 知らないの? 1−C、2−A、3−Eのことは学校内じゃあカオスクラスって呼ばれてるんだぜ?」
 校内でも有名すぎる生徒が集められたクラス、一般生徒の間では興味の対象となるのは当たり前のことだ。
「上条さんは何組ですか?」
「ん? ああ、俺は2−D」
 普段から2−Aの濃いメンバーとの交流が多い理恵とは接点はほとんど無いといっても過言ではない。
 カオスクラスには特徴があり、ほとんどの場合、カオスクラス内か、カオスクラス同士でしか交流がない。
「ところで、上条さんはいつも聞きにくるんですか?」
 丘の上にいた白いマントの人のほうを見ながら理恵は灯夜に尋ねた。
「いや、アレはたまにしか現れないし、今日はなんとなくいるかな? って感じで来ただけだから」
 そうこう話していると、再びフルートの曲が流れ始めた。
 今度は、先ほどとは違い、明るく、楽しそうな音色を奏でている。
「ん? ああ、どうやら歓迎されているらしいな」
 理恵のほうを向きながら、白いマントの演奏者は演奏している。
「そうなんですか?」
 顔は見えないが、確かに白いマントの演奏者はかすかに見える口元が笑っている。
「ああ、俺みたいにあの演奏を聞きに来る奴はあんまりいないけど、あんたみたいに偶然聞いちゃう奴は結構いるんだ」
 灯夜は目を閉じて音楽だけを五感から取り入れ、楽しんでいる。
「上条さんは音楽が好きなんですね」
「俺のことは灯夜って呼んでくれ、名字で呼ばれるのは好きじゃない」
 突然、殺意のような何かがこもった瞳でにらまれ、理恵は萎縮してしまう。
「すみません、灯夜さん」
「ああ、ワリィワリィ、そんなに怖がらないでくれ」
 演奏が終わり、白いマントの演奏者はフルートを丁寧にケースにしまっていく。
 理恵はささやかな拍手を送ると、白いマントの演奏者は会釈して音も無く姿をくらませた。
「あれ? あの演奏していた人はどこにいったんですか?」
「気にしたら負けだ、いつもそういう風に消えるから」
 目を離していないはずなのに、いつの間にか丘の上から姿を消すという不可解な退場方法に疑問を抱くも、灯夜の一言で話題が終了する。
「さて、っと」
 背中に担いでいたギターケースの位置を直しながら灯夜は理科のほうを向いた。
「ここからは俺の番だけど、聞いていくか?」
 どうやらこの公園は夜になるとストリートミュージシャンが演奏しているようで、手馴れた手つきでケースからギターを取り出した。
「変わったギターですね」
 取り出されたエレキギターを見て、理恵は率直な感想を口にした。
 ネックと呼ばれる、通常は利き手とは反対側の手で押さえる細長く突き出ている部分の形状が翼のような形になっている。
 さらに、ヒールと呼ばれる、クラシックギターで言うならひょうたんのような形をしている部分の下のほうがスピーカーになっている。
「ん、ああ、俺のダチが作った一品物でな、これさえあればアンプ無しでどこででも演奏ができる」
 そういいながらヘッドホンを取り出し、端子を差し込んでからチューニングを行った。
「すごい友達ですね、そんなものを自分で手作りするなんて」
 クラッシックギターを作るというのなら個人レベルでも不可能は無いだろう。
 ただ、よいものを作ろうとすればおのずと職人レベルの技術や知識が要る。
 けれども、エレキギターを作るとなったら話は別で、電子工作をするようなものだ。
「まーな、でもこのギター、ネックは持ちにくいし、重たいし、これで6キロ近くあるから」
 通常のギターが3.5キロほどに対して灯夜が持つギターはその倍ぐらいの重さがある。
「でも、使ってるって事は気に入ってるって事ですよね?」
 どんなに扱いにくい道具でも、使い続けるということは愛着があるということだ。
 理恵の言葉に答えないまま、灯夜は差込んでいた端子を抜き取り、チューニングを終わらせた。
「さて、それじゃあ、1曲行きますか」

 そう言って、灯夜は先ほどまで白い演奏者が立っていた丘の上に立ち、弦をはじく。

『気がついたら、目の前に目標も無く
 いつも、ただ彷徨うだけ
 あきらめずに新しい目的をさがすけれど
 簡単には見つからない
 あのころの俺の姿を思い出しながら
 勝ちたい相手に挑むけれど
 勝利条件は存在せず
 敗北条件ばかりで
 いつまでも勝てない
 だから俺は片翼を失う
 あの日、あいつの姿を見て
 なくした翼を悔やみ
 空が飛べないと恨み
 荒れ続けるけど
 彷徨うことでいつの間にか仲間ができ
 足りない翼を補い
 大空へといつか飛び立つ』

(自分の思いを音楽にした曲ですか) 
 灯夜の演奏を聞いて、理恵はそう思った。
 歌い方、歌にこめられた気持ち、表情。
 それらをすべてあわせることでひとつの音楽になっている。
 そして、理恵には絶対にこの曲を歌うことができないと確信を持つ。
 この曲は灯夜が歌うための、灯夜のための曲であり、他人が歌うことは許されない。
 そんな気持ちさえ持ってしまう。


『気がついたら、目の前に片翼があり
 それを掴もうともがく
 あきらめずに何回も挑戦し続けるけど
 簡単には戻ってこない
 あの時の俺の翼は戻ってこないけど、
 夢を見続けて、
 負けてた相手に挑むけれど
 勝利条件は存在せず
 ルールすら存在せず
 何回挑んでも、何回挑んでも
 いつまでも勝てない
 だから俺は戦うことをあきらめ、
 あの日、あいつの姿を見て
 自分を恨み続けて
 相手を分かってあげれずに
 互いの失った翼を分かち合って
 足りない翼を補い合って
 大空へといつか飛び立ちたい』

 演奏が終わり、ギターをケースにしまうとき、理恵は灯夜に尋ねた。
「もしかして、灯夜さんには、お姉さん居ませんか? 同じ学年に」
 その言葉に灯夜は無言で視線を理恵に送った。
「そうだけど? それがどうかしたのか?」
 露骨にいやそうな表情をする灯夜に理恵は疑問に思った。
「いえ、上条ってどこかで見たような気がしたんですけど、灯夜さんの顔を見て思い出したんです」
 灯夜の顔は確かに女のような顔をしている。表情や声、口調などで男だとすぐに分かるが、
「確か、2年生の中間テストの全教科満点者8人のうちの一人、でしたよね? 上条真奈さんは」
 灯夜には確かに双子の姉がいる。顔がそっくりすぎるくらいに、男女の違いがあるといえど、顔だけ見せられたら迷うほどだ。
「ああ、それは確かに姉貴だよ……だからどうしたって言うんだよ」
 灯夜は先ほどまで、その話題が出る前までとは態度が変わった。
「お姉さんが嫌いなんですか?」
「嫌いじゃないさ、ただ……どう接すればいいのか分からなくなるだけだよ」
 ギターケースを背負い、灯夜はベンチに腰を下ろした。
「隣、いいですか?」
 灯夜は無言で頷き、理恵は灯夜の隣に座った。
「姉貴は天才さ、成績もよくて、行動力もあり、性格もよくて、人気がある」
 まるで遠くを見るように遠い目をしながら口を開いた。
「小さいときからずっと比較され続けてきて、両親もみんな姉貴の味方だった……」
 灯夜は昔の思い出を理恵に聞かせる。

 運動でも、勉強でも姉に勝てなかったこと、
 どれだけ努力しても勝てなかったこと、
 常に比較され続け、親に皮肉を言われ続けたこと、

『同じ遺伝子を持っているはずなのに、何でお前は駄目なんだ?』

 理恵はそれを静かに聴いて、口を開く。
「大変だったんですね」
「別に、だんだんそういうのが当たり前になってしまってな、何も気にしなくなった」
 それでも、姉に勝つことだけを夢見ていた。
「だけど、中学3年のとき、俺はテストで姉貴に勝った」
 わずかな差、1点差でも、初めて勝つことができた。それは灯夜にとって、夢がかなった瞬間だった。
「だけど、そもそも俺の認識が間違っていたんだ」
 灯夜に負けたということが両親は信じられなかったらしく、その日の夜、一晩中、何をしたのかと問いただされた。
「元々、俺には勝利条件が存在してなかったんだよ」
 勝利条件が存在しない戦い、
 どれだけ努力しても勝てない相手。
「それで俺は両親と喧嘩してな、家出して、喧嘩し続けた」
 相手を選ばずに喧嘩して、殴り合って、自分の思いをぶつけ続けていた。
「高校に入っても俺は少し荒れててな、そんなとき、俺は『あいつら』に出会った」
 灯夜は楽しそうにその友達のことを語る。
 1年前、学校の屋上で偶然であった3人の生徒、
 神無刹那とその親友、黒桐龍、そして、蕪崎皆人。
「あいつらは俺と同じなんだと直感的に分かってな」
 腹の中にとてつもない量の物を溜め込んでいた刹那。
 その刹那と支え、支えられてで自分を保っていた龍。
 初対面の人間にとんでもないことを口走って何でもやっていた皆人
 みな、片方の翼を失った者同士だった。
「そいつらのおかげで、俺は今、こうやって目標ってほどじゃないけど、新しい夢を探してるのさ」
 ギターケースを持ち、灯夜は笑顔でそういった。
「ミュージシャンを目指してるんですか?」
 理恵は先ほどまでの演奏の技術や歌声を聴いて、あることを思いついた。
「いや、別にソコまで考えてるわけじゃない、ただ……何か打ち込めることを探してるだけ」
「それだったら、軽音楽部に入りませんか?」
 軽音楽部、という言葉を聞いて灯夜は少し考える。
 折原浩平が部長を勤め、去年の文化祭では確か、相沢祐一とともに白熱したライブをやっていたはず……
「やめとくよ、俺はあくまで趣味の延長線上でやってるし、それに俺は俺でメンバーがいるから」
 メンバーが全員あのカオスクラスの生徒で構成されている危険な部、
 あの折原浩平が部長だということと、ブラックリスト1・2フィニッシャーコンビがいる部。
「それにあんな魔窟に足を踏み入れるほど俺は人間離れしてないし、これ以上人間離れした人間との交流を深めたくない」
 『これ以上』という言葉を強調しながら遠い目で夜空を見る灯夜に理恵は疑問を抱くが、それは聞かないほうがいいだろう。
「でも、今年の文化祭は俺も演奏しようかな?」
「それだと対決になりそうですね」
 浩平のことだから、自分に挑戦してくるような人間がいればきっと正面からぶつかっていくだろう、
 だって、折原浩平という人間は、騒がしいこと、楽しいことのためなら平気で体を張ってでも楽しむのだから。
「それもいいな、言っておくけど、俺は負ける気なんて無いからな」
 楽しそうに、そして、闘争本能を刺激されたのか、獲物を狩る狩人のような表情を灯夜は理恵に向ける。
「ええ、お互いに頑張りましょう」
 その表情を見て理恵は最大限の笑顔を返した。
「ところで、仁科ってパートは何?」
「ボーカルです、歌うのが好きですから」
 それを聞くと、灯夜は再びギターケースからギターを取り出した。
「なら、ちょっと聞かせてくれよ」
「いいですよ、じゃあ……」
 そう言って2人は夜の公園で音楽を奏でる。


 それから1時間後、灯夜はギターケースを背負って街中を歩いていた。
 あれからすぐに理恵は家に帰ると公園から姿を消し、やることも無くなった灯夜もすぐに公園を後にした。
「さて、家に帰るか、それとも……」
 灯夜はふと、思い出したかのように携帯電話を取り出し、龍に電話をかける。
『もしもし?』
「おう、俺だ。今何してる?」
『何って、今はちょうど外に出てるぜ?』
 それを聞いて灯夜は考えるようにうなった。
『どうかしたのか?』
「いや、暇だからな。ちょっと集まれないかなって」
 もうそろそろ出歩くにはリスクが伴う時間帯になってはいるものの、灯夜達にとってはあまり気にしていない。
『ああ、皆人の奴はまだ仕事中だし、刹那は……今日は誘いにくいからな』
 どこか重苦しくしゃべる龍に灯夜は心配そうな声を出す。
「そういうお前は大丈夫なのか?」
『俺のことは心配ないさ、ただ、ちょっと外を歩きたい気分だからな』
 その言葉を聞いて灯夜はほっとした。
「そっか、ところで今日はあいつが公園に居たぞ」
 灯夜は公園にいた白いマントの演奏者について龍に伝えた。
『そっか、まあ、今日ぐらいは何も言わないさ……』
「お前も……大変だな」
 テンションが高いことが存在意義のひとつとなっている龍のテンションが低いというのは、それほど悩んでいるということを意味する。
『ところで、明日は暇か?』
「明日?」
 灯夜は頭の中で明日の予定を検索するが、何も無かったはず。
『ああ、皆人と明日集まらないかって話をしてたんだ。まあ、刹那の場合は朝にでも特攻しかけて連れ出せば問題ないだろうし……ただ、俺らが集まるとロクでもない面倒事とか、いろんな奴が集まってくるからおれ自身は結構気が乗らないっちゃ乗らない』
 その現象のほぼ8割はお前と皆人だろうと心の中で突っ込みを入れる。あくまで心の中で、
「乗り気じゃないのなら何で集めようとするんだよ」
『だって、暇だし。せっかくの黄金週間だぜ? 本当だったら無人島にでも行って0円生活でもしてみたいくらいなんだから』
 絶対にお前は銛を持って魚を取りに行くつもりだろう。
 灯夜は口には出さずに心の中で突っ込みを再び入れる。
「まあ、その辺は置いといて、別に俺はいいぜ、何するんだ?」
『そうだな、トリアエズ暴れますか。新学期始まってから結構たまってるから発散しないと、鬼ならぬ四天王が居ない合間にな』
 その言葉に背筋が冷たくなる感覚に襲われるが、毎度の事なのでもはやスルー。
「表舞台に立てば結構楽しめるかもしれないのにな」
『表舞台に立てないからこうやって裏で暴れてるんだろ? 表舞台に立てるかどうかなんて神にでも聞けよ』
 電話越しの会話なのに互いの表情が容易に想像できる。
 龍は笑っている。
 灯夜も笑っている。
 でも、心では笑っていない。
「なあ、ついでに明日、練習しようぜ、俺もちょっとやりたいことあるから」
『OK、トリアエズ明日の昼にでも集まろうぜ、どうせ刹那の家にモーニング絨毯爆撃でも仕掛けるし』
 言っていることが物騒だが、これが黒桐龍との日常会話だ。
 電話を切り、灯夜は夜の街中を歩く。
 夢を探しながら、
 仲間と楽しむために。
「さて、かえって寝るか」

あとがき

 3話目です。そして、現在楽識です。
 軽音楽部の影薄にして、最凶のガーディアンに守られた少女、仁科理恵とオリキャラその3とのお話です。
 形式的に、オリキャラとの二人っきりでの会話が主体で、内容もオリキャラの話ばかりになってきて、本編のコメディー色がほとんど無くなってますね……
 今回のお話は『夢』です。
 
 上条灯夜 2年生 2−D 部活には所属していない
  刹那と龍のクラスメイトにして悪友、メイドイン龍製のギターを背負って毎晩ふらふらとしており、たまに公園で演奏している。
  中等部からの生徒で、四天王やその周囲の人物に対してのうわさをよく知っており、何度かクラスが一緒だったこともある。
  やや、不良じみているが中身は結構いい人で、人付き合いも結構うまい。
  双子の姉と家庭でのトラブルとすれ違いから一時期グレていたが、今は更正済み。
  ただいま青春(夢)を模索中で当面はミュージシャンを目指しており、日夜努力している。
  騒ぎに巻き込まれたら動くことを主なスタンスにしており、自分からは特攻を仕掛ける龍などに心の中で突っ込みを入れている。

 今回の話では名前だけの登場のオリキャラが2名存在しており、1話で名前が出てこないキャラも含めてあと3人、メインキャラが出てきます。
 
 歌に関してはスルーで、文字数も合ってないし、歌詞だけ……
 
 次回は……こちらの完全オリジナルキャラメインのドタバタ劇の予定です。
 キー学キャラとのやり取りはどうしても面識があまり無いという設定なので、どこか距離を置いたような感じがして、暗い話に展開してしまうので、もっと張っちゃけた話にでもしたいです。

 まあ、楽識キャラクターたちが表舞台に出てくることはたぶん無いでしょう。
 それこそ神様に聞いてください(笑)

 勝手に中間試験の満点者のうち空きの2名のうちの一人を使ってますが、ある程度スルーでお願いします。

 って言うか、葵が怖いキャラになってる……まあ、原作も理恵のために頑張ってますからモーマンタイですよね?

 話数が進むにつれて微妙に文章量が増えていますが、もしよければ感想、ご意見などがありましたら教えていただければ幸いです。