プロローグ



丘の上の墓地。

そこで一組の男女が墓参りをしている。

「こいつらにはいつもの酒っと。ふぅ、増えた銘柄も全部暗記しちまったなぁ」

「こっちはお菓子ですよ。召し上がれって言うのも変ですね」

それぞれの墓標の前にみな違ったものを供えてゆく。

「あの時のガキどもはもうみんな巣立っていったからな。たま〜に足長おじさん気取るヤツくらいはいるが顔は出さん。そっちにはどうだ?」

「ちゃんと、ときどき来てくれてますよね」

その備えられた花は以前に彼らが来た時との間に何度か換えられているようだった。

「もうパイロットを現役でやってる奴も少なくなったな。後はあの鬼教官くらいなもんか」

「朋也くん、それを本人の前で言ったらまたすっごく怒られますよ」

短く結った髪を風に流しながら女性は自らの夫の言葉に答える。

「どうする? あいつら待ってると思うが」

「もう少し。あの子達がこうして大事無いのも皆さんが見守ってくれてるおかげですから。それに今日は来れないお母さん達の分も……」

そういって目を閉じ墓標に祈る。

「そうだな、伝説のエースパイロットもいるんだ。特にあいつらのことはしっかりと見ててもらわないとな」

そして夫婦は二人で願う。

かつて共に駆けた戦友に、共に過ごした恩師に、共に生きた家族に。

この平和と大切な人達の無事を。

「あれから随分と時間が過ぎたな」

「そうですね。ここに来るのももう何度目でしょうか」

「さあな。まったくみんな忙しいからって俺達に墓参りまかせっきりだしよ。ったく」

「まあまあ、じゃあそろそろいきましょうか」

「ああ、今度こそ他のヤツラも連れて来てやるからな。みんな」

そして二人はゆっくりと立ち上がり、その場を後にした。




U.C.107年。

人類が宇宙にその生活圏を広げ始めた時から、もうすでに一世紀以上の時が流れた時代。

人類は幾多の戦争と革命を乗り越え、比較的安定を保った時代、と後の歴史は語る。

だが、その空白の時間の中にも人類は戦いを止めることはできないでいた。

かつての一年戦争の最中に起こった様々な歴史が今も紐解かれ続けているように。

一年戦争とグリプス戦役の間に起こったジオン残党との戦いが隠蔽されたように。

第一次ネオジオン抗争の裏側で人知れず戦い続けていた少年少女達がいたように。

偉大な歴史家の紡ぐ壮大な年表の中で、愚かな歴史家達が語る戦いは、またも人知れず始まろうとしていた。





















あとがき



ども、壱式です。

はい、とまぁこんな雰囲気で始まってしまったガンダムKanonの三次創作です。

なおこの作品の本編にはKey作品とガンダム正史の他に正史外の外伝、ちょっといきすぎた独自解釈、なんかどこかで見たことあるような展開等が含まれてる節がありますが、未熟者の書く三次創作なのでどうか大目に見てやってください。

その手の話が苦手ならスルーしてください。

まあ、二次創作系サイトを見てる人達なら大丈夫……かなぁ?

というわけで続きが気になる方は本編も……まさかプロローグで終わるって事はないよね?