「神魔戦記 三次創作」

                    「爆裂と疾風」

 

 

 

 

 

 草原で転がっている女性の頬を風が優しく撫でる。

 彼女は何かに気がつきゆっくりと体を起こした。

 どこかで叩き付けるような音――否、それは破壊的な轟音。

 ゆっくりと立ち上がった彼女はその音の方へと歩き始めた。

 

 

 

 地面に穿たれている三つの木の杭。

 その太さは直径三十センチほどでさらに衝撃を軽減させるための呪札まで張られている。

 しかし、それでも叩き付けられたメイスによって木はミシミシっと自身を軋ませており呪札も効力が発揮されているのか怪しく思えてくる。

 さらに驚くのはそのメイスを振るっているのが女性、年齢もまだ若いと思われる。

 二本のメイスを両手で振るい赤髪をサイドで纏めた女性。

 旋風のようにメイスがぶつかり続け、そしてついに"バキ"木は吹き飛びバラバラに粉砕された。

「ハァ……ハァ……?」

 向こうがこちらに気がついた用なので手を小さく振ってみる。

「?」

 小さく首を傾げた彼女はこちらへと近づいてきた。

「えっと……どちら様ですか? この国の人じゃないですよね?」

「ええ、私王国ウタワレルモノから来ましたのよ」

「ウタワレルモノ……?」

 彼女が困惑しているのも無理はないだろう。

 別にコミックパーティーとウタワレルモノは敵対している訳ではない。

 ただここがコミックパーティーの首都の城だとしたらどうだろうか?

「細かい事は別にいいんではなくて?」

「何が目的で?」

 二本のメイスが両手で構えられた。

 しかしそんなことはお構いなしにそのメイスに手を添えて言った。

「丁度お酒も切れた事ですし、お手合わせしてくださらない?」

「え?」

 それは別に冗談を言っているような表情ではなかった。

 

 

 

 練習場は模擬戦のために貸し切り状態となり周囲でコミックパーティーの兵達が観戦していた。

「私は、高瀬瑞樹。貴方は?」

「カルラと言いますわ」

 カルラは楽しそうに微笑んだ。

「武器は?」

 そう言われてカルラが腰に付けている拳一つが入るぐらいの小袋を瑞樹と自分の中間あたりに放り投げた。

 その小袋が地面へと落ちた時ちょっとした地響きがした。

「!」

「この袋は物を小さくして運びやすくするために作ってもらったものですの。

ただ、小さくなったのはよろしかったんですけど……

重たさが変わりませんでしたの」

 瑞樹はそれに手を伸ばして持ち上げようとしたがびくともしなかった。

 カルラはその袋の上に手をかざしてた。そして、

「――物は、元の姿へ戻る――」

 呪いを読み上げると袋は破れ中から現れたのは無反りの切刃造で鋒が無い、まるで鉈のような形をした刀だった。

 その巨大な刀は『絶対に折れず、曲がらず、刃こぼれしない刀』っというカルラの注文の上で作られた品で持ち運ぶのに屈強な大人が五人がかりという代物。

 絶対に刃こぼれしないという事で切れ味を二の次にしたおかげで、ナマクラ同然の刀となったが……

「さて、これで始めることができますわね」

 カルラは軽々その刀を持ち上げた。

 

 

 

 コミックパーティーの軍師である千同和樹は瑞樹を捜していた。

「瑞樹のやつ一体どこに行ったんだ……」

 和樹は瑞樹と休暇を使ってどこかへ行くという約束をしていた。

 しかし、オリジナルの魔術の作成に夢中になりすぎてしまいすっかりその約束を忘れてしまっていたのだ。

「ホントに瑞樹のやっ――!」

 和樹は微弱だったが振動に気がついた。

 振動はすぐに収まったが、二度、三度……振動は何度も廊下を、壁を、天井を、建物を振るわせる。

「これは一体?」

 その通路を進んでいくとその振動が徐々に大きくなるのが解った。

 そしていつしか歩く歩幅が徐々に大きくなっていく。

 瑞樹がいるであろうと当たりをつけて元々行くつもりだった場所、模擬戦場。

 そこで和樹は見た……数十人の兵士達の集まりを。

「おい、一体何が起こってるんだ?」

 近場にいた一人の兵士に話しかけるとその兵士は和樹の顔を見て端へと避けた。

 彼だけではない、そこにいた全ての兵達が道を作ったのだ。

「?」

 意味が解らなかった、ただ答えはその先にある。

 和樹はゆっくりと足を進め、そして扉へと辿りついた。

 ドアノブに手をかけようとした時、大きく扉が振動した。

「……っ」

 意を決してドアを開くとそこには一人の男がいた。

「ん? マイ同志和樹よ、来てしまったのか」

「来てしまったって一体どういうこ……なっ?」

 突然突風が吹き荒れいくつもの小石が飛んできた。

「これは……」

 その場は惨劇のそれであった。

 大地に刻まれた数々の爪痕はその場の凄まじさを語るには十分であった。

「あれは!」

 そこには瑞樹がいた。

 両手に持っているメイスが空を切るごとに嵐のごとく轟音が周囲に響く。

「お上手お上手、でもそんな程度では当たりませんわよ」

「っ!」

「これならどうです? 烈火の技(れっかのわざ)、でりゃあああああ!」

 巨大な大剣の『覇陣』の一撃は斬るというよりも叩き割るっといったものだった。

 さらにその叩き付けられた一撃は大地を抉りさらにその場所から爆炎までもが吹き上がり端に植えてあった木々が次々と爆ぜてゆくしまつ。

「大志、これは一体どういう事なんだ?」

「我が輩に言える事はただ一つ」

「?」

「この戦い、長引けば恐らくどちらかが死ぬまで続く」

 確かに二人の攻撃は当たれば一撃で終わってしまう可能性を十分に秘めている。

「なら直ぐに止めなくちゃ!」

「誰があの中へ止めに行く?」

「それは……」

 そう、外に出ている兵達は自分たちへとばっちりが来るのを避けるために外へ避難したのだ。

「俺が止める」

「ふはははははははははははは!! そうだ、それでこそマイブラザー同志和樹だ!」

 和樹は右腕を振るった。

 袖が捲れ、その腕に巻かれた金色の籠手。

 手首部分のくぼみがわずかに光を発した直後、和樹の前後左右にそれぞれ魔法陣が展開される。

 その様子をカルラは横目で見ていた。

『ふふ、そろそろ引き際のようですわね』

 心の中でカルラはつぶやき妖艶に笑った。

「よそ見してる暇なんてあるの?」

 不意をつく一撃を瑞樹が入れるも全て空を切る。

「なかなか暇つぶしになりましたわ。相手ならまた今度してさしあげますわ」

「この状態で逃げられると?」

 カルラは笑顔のまま壁に剣を振り下ろした。

 爆音とともに壁は粉々に吹き飛ぶ。その時カルラが壊した方と別の壁から誰かが姿を現した。

「カルラ! 某(それがし)を騙したな!」

「あら? 嘘を言った憶えはありませんことよ。それよりも、後は任せましたわよ」

「な! ちょっと待て! カルラ!」

 トウカの静止の声に聞く耳を持っていないカルラは壊した壁からさっさと逃げてしまった。

「カルラ……?」

 トウカはゆっくりと周囲を見た。

 回りにはこみっくパーティーの兵達が囲んでいた。

「……某(それがし)としたことが!」

 顔が蒼ざめているトウカは口元を引きつらせていた。

 それから数日トウカは勾留され呼び出されたハクオロが涙を流すトウカを無事引き取った。

 練習場は修理に一ヶ月かかったものの今では無事に修復されて兵が練習に勤しんでいる。

 そして練習場の隅のほうに兵達によってこんな看板が立てられた。

『火気厳禁』

 あとこれは余談だがカルラとトウカは隣町まで買い物に出たはずだがカルラにころりとトウカが騙されたことにより隣国のこみっくパーティーまで来てしまったとか……

 

 

 

 あとがき

 初めまして、”と〜やさん”といいます。

 とりあえず最初に、イベントが流れた事は残念でしたが三周年おめでとうございます

 さて、カルラの口調がつかめなかったのでわざわざアンインストールしたうたわれるものをインストールし直しましたがうまく書けている自信はないw

 いやぁしかし人のまねというのも結構大変です、なんせいつもは二次とかではなくオリジナルがメインですからキャラの口調がつかめなくてつかめなくて……

 一応キャラ紹介に乗せられてるカルラと瑞樹の模擬戦を書いたつもりです

 はじめは瑞樹の『メテオクラッシャー』の異名がついた時の話を書くかどうか迷ったのは内緒(ぉっ

 へたな書き物ですが出来ればそこらは目をつむって頂けたら幸いです

 ここまでつきあってくださった皆さん、ありがとうございました