ここはフォシル大陸の北にある平野。そこには平野を埋め尽くす程の魔物の群れがあった

その中央を14の影が突き進んでいく

彼らは “ルシフェル” 6対12枚の翼を持つ者の名を持つ集団である

目指すのは大陸中央にある巨大な城

冥王フィレの居城だ

目的地は見えているのだが、そんな彼らの周りに立ちふさがるは魔物の群れ

その群れに一度足を止め、中央に一組の男女を残し彼らを守るように二人一組で円になり、群れの方――円の外側を向く

相互に目を交わし、頷くとそれぞれのパートナーと会話をし始めた


「折原様、前はお頼みしました」
「任せとけ、環」

大剣を握る少年と長弓を持つ少女


「雪ちゃん、おなかへったよー」
「これが終わってからね」

風纏いし少女と両手で戟を持つ少女


「ミスんなよ、無表情なお坊っちゃま」
「ふん、貴様こそな。腐れ人形遣い」

数体の人形を従えし男と黒衣を羽織る少年


「いくわよー。遅れないでよね!」
「分かりましたわ、亜沙ちゃん」

ナックルガードをする少女と腕輪をならす少女


「……うん、たぶんあそこが弱いよ」
「では、そこを狙いましょう。さやかさん」

細剣を持つ少女と薄青のローブに身を包む少女


「裏葉、後ろは頼む」
「分かりました、柳也様」

一振りの刀を構える男と手の錫杖を鳴らす女性


そして中央の二人は……、

「ぐあ、面倒くせぇ…。ことり、“歌”うぞ?」

両腰に刀を掲げる銀の髪の少年と……


「うん、わかった。……それじゃ、いつものように……」

これまた二本の鞭剣を持っているワインレッドの髪の少女


二人は背中に意識を集中すると……


……ファサッ……


彼らの背から翼が現れた。そして、どこからともなく……“歌”は始まった


「我らは父なる神より生まれ……」
「母なる大地より育まれた」


歌い初めは少年から、それに少女が続く


「我ら人の子等と相対すること、それは」
「天地を敵とする事でしょう」


歌──と言うよりは詠唱に近いもの。二人は示し合わせたように息をそろえて続けていく


「我等の父親に」
「私達の母親に」
「「逆らうことは愚かな事である……そなた等の真の罪を知るがよい」」


二人を中心にそれぞれ円が広がる。その中に、いくつもの線が走り、陣となる
そして、二人が詠唱する……


「天よ 地よ 我が呼び掛けに応え 鳴動せよ」
「滅びの思考 地をも焼き尽くす炎よ 我が前に顕れん」


静かな──しかし力強い詩が紡がれていく。その周りでは剣戟の音と炸裂音、または血と叫びの音で溢れかえっていた


「其は 相反する力を合し 天の父の裁きとならん」
「全てを焦がす炎が 思考を持ったとき 母なる地の怒りを 招くであろう」


それぞれの組が斬った数は百を超え、二百を越えようとしているが、まだ地の果てまで魔物は続いている


「我らの敵を滅するは 万物を破壊する力なり」
「母の憤怒は 全ての地を焼き尽くす光とならん」

「神の怒り(ワースオブゴッド)」
「大地の破滅(ハルマゲドン)」


その言葉と同時に男と女は手をつなぎ

『連携・続行(コネクト・コンティニュー)』

と声をそろえて言うと、男の方が上に魔術を放つ
最終段階の合図のようだ


「父と」
「母の」
「「怒りが同時に起きるとき それはその地の全てを焼き付くさん」」


平面だった二つの魔術陣が重なり、一つになる。それは中央から上下に膨らみながら分かれた
それはすぐに複雑な模様をした球となり、平野の大半を飲み込んだ。それと同時に仲間は二人のそばに戻る


「「貴様等(貴方達)の罪は生まれてきた事ではない 人に牙をむいたことが真の罪
 今、この地に溢れかえるものは断罪の光…… 滅びよ(なさい)!!」」


そう叫ぶと、二人は空いていた手を空に向けて最後の言葉を紡いだ

球──立体魔術陣から光が放たれる


「「……世界の終焉(カタストロフ)」」


その日……フォシル大陸、北部平野は光に包まれた……



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創世歴2497年 二月

十人の勇者と各国の軍隊により
冥王フィレが倒される


同年 三月

冥王大戦の終結により、国家連合軍が解体。自国の軍隊に組み込まれる


同年 十一月

国際協議が行われる
この時、大戦時の勇者十人にSSSランクを二人加えて時の使者“クロノス”が発足


創世歴2498年 四月

国際協議
来年五月より行われる、フォシル大陸の視察メンバーが決定。同時に、クロノスメンバーが全員EXランクに認定


同年 十月

世界の復旧率が平均50%を突破


創世歴2499年 五月〜八月

フォシル大陸の視察及びマッピング
この時、北部平野にある巨大な穴と大陸南部に、渦潮の乱立する大きな入り江を発見。それぞれインパクトクレーター、モーター・インレットと命名


同年 十二月

復旧率が70%を突破


創世歴2500年 一月

国際協議
同年九月に武祭を執り行うことが決定。場所はスノーフェリア大陸



テンペスト界記より抜粋《世界記憶庫(アーカイブ・コア) 蔵》




彼らの物語はまだ始まったばかり

今までの影の舞台から表舞台に移り変わる

彼らの未来に待つものは……

創(生かす)か……

造(生かされる)か……

それとも……死か……

事実を知っているのは全ての記録のある

世界記憶庫だけである……




“冥王倒れ 一時の平穏が訪れよう

 しかし 翼を持ちし断罪者が

 曙の明星とともに現れ

 雪の地に再び動乱来たる

 されど 動乱収まりしのち

 世界は 統一への道を歩むであろう”

     第二世界の動向より抜粋
         (創造主ミシュラ 著)





      双翼の奏でる鎮魂歌

    〜leqiem for dabul wings〜




to be next...


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あとがき

どうもはじめまして、双翼の詩というものです。
略して双翼とでも呼んでくれて構いません。
とりあえず、この作品が初投稿となります。至らない点もあるでしょうが、今後も暖かく見守っていただければ幸いです。



まぁ、投稿は初ですが、処女作はまだ懐に隠し持ってたりします。
ただ、あまりにも恥ずかしいのでお目見えすることは無いでしょうが……
それと、更新は一ヶ月に一・二度を予定しています。要望があれば早くするかもしれませんけど……


さて、序幕を読んでいかがだったでしょうか?
なんだかもう既に七作品もクロスしちゃってます
まだこれからもクロスさせて、最終的には10作品近くなる予定です
ごちゃ混ぜにならないように気をつけていきたいと思います


あと、気づいた人も居ると思いますが、魔術にMagic The Gatheringを取り入れています。後でオリジナルの魔術もでますが、そこはご了承ください

感想、質問、苦情がある方は下の@を半角に直してメールをください

bop-for-mtg.2006@docomo.ne.jp