朝九時に集合予定だったので、当たり前のように十分の遅れてのインである。無論、スタッフも何もいないので安心しているというか、安堵しているというか、まあ、声優さんなどの職場にすれば早い時間だ。このくらい当然だろう、みたいな顔で席に着く。
「おいおいぃぃぃ!! 何当然な面して座ってんの!? 何か一言言えよ!!! つうか、地の文で言い訳っぽいこと思ってんじゃねぇ!!!!」
「いやだってさぁ、作者だってよぉ『冬場の仕事場は寒いから遅れても仕方ないよね』とかいって職場に遅れることだってあるんだから大目にみろよ」
「無理だから。言い訳じゃなくて我侭の部類だから、それ」
「そこがこの作品の売りだろう?」
「疑問系にするなよ! 主人公なんだろ!? 内容知ってんでしょ!!??」
「いやぁ、あんまつうか、全然知らないんだよな、これが。作者もさっぱりみたいだし」
「こんなんで良いのかよこれ」
「良いんじゃね?」と、俺は一息ついてから「今日のお題はこちら!!」指差し発言!
「まだ決まってないんすか!」
「だってよぉ、先週に前回書き終えてからこれだろ? 決まってる訳ないじゃん。つうかさ、これ、思い付きだから今更だろう?」
「それが駄目なんでしょうが!!」
「いやいや、案外こういった文章のほうが人気があるかもしれねーじゃん?」
「疑問形かよ!!」
「当たり前だろうが」
相沢は胸を張る。って、俺か? まあいいや。自信満々なのさ、と言いたいのだ。何に自信があるのかは胸の内に隠しておく。内緒なのさ。男はいつでもグラスハートなんだよ、きっと。
「何が当たり前なんだよ」
「だって、これが作られているときはまだ公表もされていないんだぞ」
「マジっすか!?」
「ああ。それにあれだよ、無駄な言葉回しや地の文で作られてるから誰も見ないだろう、という安易な安心感を持ってるから、一気に書けるんだって。まあ、あんまり無意味に文章打つな、つうことのツッコミがないのもそのためだ」
「って、長いし重要なこと言っちゃってるよこの人!!」春原が立ち上がって指を刺してくる。ああ、頬っぺたが痛い。
「ホントに刺すやつがあるか、こらぁ」
「いや、そういったツッコミもいるのかな、と思ったんだけど、いらない?」
「さあな。だが、俺はいらん」
相沢は指を叩き落した。軽くだぞ。本気で叩き落してやるとあれだ、指が二本になっちまうしな。
「ちょっと待てぇぇぇぇ!!!! 何で二本になんの!? つうか、叩き落すって指をなくすきですか、あんた!!!」
「だからやってねぇだろうが。ありがたく思えよ、設定では鉄○アト○と同等らしいからな、俺。つうか、地の文にツッコムなっての。指二本になるよ」
「マジっすか!?」
「嘘に決まってんだろうが。まあ、藤林杏はそのくらいにしたいって……、ありゃ、そういえば今日はいないな」と辺りを見回す。隣にいるえっと、す、す……、かす原しかいない。
「ちょっと待てぇぇ!! またどうして名前間違えんの!? 仕様なの!?」
「いや、なんとなく。仕様じゃないぞ、春原君。もう、おれもツッコムきしねぇので、スルーな」
「ホントだよ、仕様じゃないよ!! って、何!? スルーかよ」
「ま、それは置いといてだ。んで、今日は藤林君はどうしたの? 便秘か? それともあれか、痔か? 痔なのか!?」
「本人が聞いてたら殺されるよ、本当。今日は妹の藤林椋と買い物だってさ」
「そうか。あと、お前の藤林君の呼び方についての意見があったんだが、いや、意見つうか文句?」
「文句っすか!? まあ、そりゃ作品が違えば何とやらじゃないの? 正確に模してたらオリジナリティがないためじゃないんすか?」
「馬鹿いってんじゃねぇよ! 正確に模倣できないためだ。オリジナリティなんて初めから捨ててるのさ!! 胸張って言えるね。ああ、言ってやるともさ!!」
「威張るとこ間違ってない!? 間違ってない!?」
「いやあ、あと、作者が作品知らない、ということはないので安心してほしい。作品は知ってるよ。だって、ブログで感想書いてるし、ゲームだってきちんとプレイしてんだぞ。知ってるよ、多分」
「詳しくはどうなん?」
「……作品は知ってるんだよ。それでいいじゃん!! それだけじゃ駄目なのかよ、おい!?」
春原の目の前で叫ぶ。叫ぶ。唾を飛ばして叫ぶ。ワザとだ。
「ワザとかい!? まったく、汁を飛ばしながら叫ぶのは良くわかったよ。じゃあ、僕も質問なんすけど、タイトルについても苦情がきてるけど、これ、まだ決まらないの?」
「それを考えるためにこの会話が広げられていたはずなんだけど、グダグダになっているので決まらねぇな。なんか案ない?」
「って、ついでくらいに訊くなよな!! ホントこの作品大丈夫なんすか?」
「知らねぇよ。正直、この作品がお蔵入りすることだけは避けたいよな」
「本当にね」
二人は暗くなる。部屋も暗いし、男だけだと気分も暗い。オタク同士の会話のようにはいかないのだ。オタクに失礼な気もするが、春原がオタクなのだから仕方がない。
「ちょっ、僕だけですかぁぁぁ!!!」
「もう一つ疑問があるんですけど」
「何だよ、本当。面倒でないもので頼むよ。タイトル決まってないんだから」
「やる気ないな、あんた。主人公ですかホントに?」
「一応だって言ってんだろうが! 藤林だって本編ではいないかもしんないんだぞ。本当に何にも決まってないんだぞ!!」
「自慢げに言わないでくださいよ、本当。何? 僕も決まってないんすか?」
「いや、お前はあれだよ、決定キャラクタだよ。変えられないんだよ。難しいんだよ、ツッコミ担当の変更は、というか代返は。だから安心しろ」
「あんま嬉しくないんすけど」
「まあ、あれだよ。俺の場合、下手すると『○ョンも声優一緒だったよね?』とか言い始めて代わるかもしれないだろう? 危ないんだよ、主人公も」
溜息一つを吐く。溜息で良かったよ、本当。これがゲ○とか内臓的なものだったら、『これは一体!? 次回の展開はどうなる!?』とかいうのだろうな、とか考えていたとかいないとか。そんなところなので、溜息を吐く。
「二回も溜息吐いちゃってるよ、この人。というか、気を落とすならそんな発言しないでくださいよ」
「だってさぁ、お前は確定なのに俺は不安定なんだよ。もうやってらんないじゃん。『春原も新○も同じ声優なんだし、もう○魂っぽくストーリ進まね?』とか発言してたし。もうホント、確定申告並みに確定されたいよ俺も」と目を細めて春原を見る。もう、やってらんないよ、作者さん。確定してよ。
(いや、役所じゃないから)
「そんなに駄目なのかな、俺」
「つうか、もうそろそろ疑問いいっすか? ツッコミもしんどいし」
「ああ、そういや何か言ってたな。あんだよ?」
「このSSのストーリなんですけど……、はい?」
春原が発言している途中におかしな音が鳴り響く。こういった場合、音の文字が流れたりするようなのだが、その辺りはまったくない。どういった音かと言うと、MADAO(マジで勝負してダ○シムに倒れてされてしまった時に流れる音)に近いだろう。ダダッダーン! ダーダーダダ! である。あれ? これはスト○ートフ○イ○ーUの時の敗北音楽か?
「いや、わけわかんない説明はいらないですから。しかし、今回もおかしなところで終了ですか」
「まああれだよ。作者の都合とか文字数が原因なんだろうよ。作者も人生にやる気ないし」
「いやいや、そういった発言はいらないから!! もっと、こっちに本気になって欲しいよ、あんた!!」
「取り合えず、今回はここまでだ。次回をよろしく!」
「「じゃーな」」
≪後書きではないようなあるような≫
「これ、本当にネット上に載るんっすかね?」
「さあな。しかしあれだろ、これは卑猥小説でもエロパロでもないし、大丈夫じゃねぇの? まあ、地の文が少ない点が文句の対象かもな」
「そうだね。でも、そこは読者がいたらの話だし、タイトル決定以降は変わるかもしれないしね」
「それはないんじゃないの。テンポはこれだから、ずっと」
「そうなんですか……」
「まあ、期待しないで読んでもらうっきゃないよな」
「だね」
(二回目だけど、今回もすんませんでした)