「さて、ついに始まることになったよこれ。いいのかねぇ」
「本当にやるの?」
「いやね、もう始まってるし。ぶっちゃっけ、もう座席についた辺りからスタートっぽいよ、これ。というか、作者がどうしても書き出したい、とか口にし始めたから始まったみたいだし、あんま本気ならなくていいんじゃないのかね?」
「そんなんで良いのかよ!?」
「まあ、何にせよ取り合えずスタートを切りましょうか」
「よっしゃ! 記念すべき第1回目はこれだぁ!!」
「というわけで、まずは……」
「ちょっと待てェェェェェ!! なんで科白ばっかの単調なスタート切ってんだよ!!」
「あん? だって、俺たち座ったまま会話してるだけじゃん。動く描写なんてあるわけないだろう」
俺は姿勢を正した。って、俺は誰なわけ? まだ内緒なんだろ。無駄にこんな描写継ぎ足すんじゃねぇよ、本当。と、えっと、この場合の「正す」は背筋がのびるなどではなく、本当の意味での姿勢を正す、である。ようは、座り方が異常だったのだ。
「って、無駄に動きの描写入れるなよ。てか、ダルそうに解説入れるなよな」
「何だよ。ないって言うか入れてやったんだろうが。文句ばっかでやってらんねぇよ。つうか、やる気の度合いでいえば、下段よりも下降気味なんだぞ、このやろう」
「本当にやる気なさ過ぎですよ、あんた」
「しかし、そうよね、確かにこれじゃ誰が誰だかわからないしね。まずは自己紹介から始めた方が良いかもね」
「そうだな、まずはお前。ほれ、ツッコミ担当から名乗れよ」
「って、僕がツッコミ担当かい!? 何? いつ決まったの?」
「何時って、本来の作品でも同じ立場みたいなもんだろう? 今更気にするなよ」
「そうよね。あんたなら問答無用で殴れそうだし」
「何それ!? 殴られること前提!? 本当、何なんだよこれ」
と、春原が頭を掻き毟る。いつか禿げてしまうのではないのだろうか、と少し心配してしまう。この場合の……。
「って、ホントいらない描写はやめろよ! やめて下さい!!」
「じゃあ、さっさと紹介始めろよぉ。読者様はもう諦めモードに突入してしまうだろうが。空気読めよな、ツッコミ」
「ツッコミって言うなよな!」
「はあ……、もういいよ。俺がしてやる。まずはツッコミ担当である春原……、す……、かすはら陽平だ」
「おいぃぃ!!!! どうして言い換えてんだよ!! 何、文句でもあるの? 名前に対して文句でもあるの!?」
「いやぁ、悪気はないんだよ」
「どちらかと言えば、あんた自身に文句があるんじゃないの?」
「なんですか、それ!? 僕の存在に文句があるだぁ、巫山戯るなよ藤林が!!」
「はあ? 何八つ当たりしてんのよ。文句はそこの男に言いなさいよ」
「いやいや、お前も言ったじゃん!」
「気にしない、気にしない。ほら、次進めて」
「勝手に進めるな……」
春原が発言をしようとした瞬間、滑空する辞典が額を直撃した。綺麗にヒットだ。恐ろしいほどの衝撃音が部屋に響き渡り、春原が倒れてしまう。
いやいや、本当に気にする点はそこではないのだろう、むしろ、気にしないほうが……。
「って、ツッコミ担当を倒しちまうSSや小説なんてあるのかよ!?」
「あるじゃない、ここに」
「お前、何? 言葉だけだからって無理やり行動を割り込ませるなよな。援護射撃か!?救助活動のつもりなのか!?」
「はあ、五月蝿いわよ。あんたにも投げつけるわよ」と、何処からともなく辞書が握られていた。
「いえ、遠慮させていただきます!!」と正座。頭は深く下げて額なんて床についていたよ、本当。無茶苦茶な話だよ。作者、こんなんでいいのか!?
(良いに決まってんだろうが!!)
「って、ツッコむなよな! お前、作品崩壊しちゃうよ、これ!?」
「まあ、コンセプトらしくて良いんじゃない?」
「良くぁないだろうし、コンセプトなんてなかっただろうが。だいたい、紹介したあときっとツッコミはいるよ本当」
「そこが面白いんじゃないの?」
「何言ってんだよ。そんなのフィクションだから許されるんだよ。リアルだと誰も読まねぇよ、本当」
「どうでもいいけど、紹介してよ役立たず」
「あんだと、この暴力女! つうか、お前の出番なんてもっと先だろうが、何でいんだよ!?」
「作者が『もう、お前出て行っても良くね? てか、作品できてないし、変更できるから良くね?』だって」
「巫山戯んなよ、マジで! 作品自体どころかそこからツッコミいるのかよ」
「そんなことより早く紹介してよ」
「はいはい」
一呼吸ついてから声を出す。もう億劫だ。誰か変わって欲しいもんだ。春原ぁ、早く起きろよな。
「えーっと、先程、辞書を投げつけていたキャラクタつうか、お人は藤林杏。まあ、クラ○ドっつう作品でも凶暴なやつである。もう檻から放たれた獣だって、うお!?」
その言葉と同時に頬を掠める弾丸(もとい辞書)。赤い液が垂れ始めるのと、命の危険性を肌に感じる。もう、N○K的なしゃべり場じゃないよ!! 真剣なしゃべり場だよ、本当。
「あ、ああ、獣じゃなくて曙だったな」
「どうして例えが酷くなってんのよ!! あんたも私に殺られたいの!」
「いやいや、待て待て。これは俺の言葉じゃなくて、ほら、あれだ」
「何よ?」
「神の声……、か?」
言葉を一つ発すると同時に、強力な衝撃が通過するのを感じ、意識が遠退いていた。というか、全然進んでないけど、大丈夫!?
おおよそ十分後。
二人は奇跡的にも目覚め、会話再開を余儀なくさせられた。本当にさせられているので言葉の綾だよ、とか冗談もない。いや、作者が昔、その冗談が嫌いだったからないとかではない、多分。
「ほら、最後はあんただけなんだから、さっさと紹介しなさいよ」
「はい。俺は相沢祐一というもので、クラ○ドよりは前作であるカ○ンの主人公である。タイトルは凶器の方ではないので安心してくれよな」
「質問なんだけど、何であんただけ作品違うんっすか? 何か訳あり?」
「いやあ、作者がね『銀○の主人公の声と同じだし、クロスオーバでも主人公多いし、これで良いんじゃね?』つうことらしい。ちなみに、俺はお前と同じでモテナイ」
「何だよ最後の一言! いらないじゃん!」
「まあ、取り合えず的なことを言ってみただけじゃん。あんまり文句ばっかだと変更させられんぞ」
「マジですか!?」
「嘘だ(本当)」
「わかりにくい科白はやめてよね! 読者さんがいたらどうするの!?」
「いねぇだろ、こんな作品。何? タイトルないし、作風おかしいし。大丈夫、いないいない。いたら、ほら、あれだ、作者が驚く」
「それだけで済むのかよ!?」
「しかし、本当にタイトルなしで始まるとはね」
「だって、作者が『溢れる溢れちゃうよこれ』とか叫んで書いてんだよ。壊れた作品に決まってるだろ」
「それじゃ、僕たちも壊れキャラじゃん!?」
「そうだろ、実際。あと、春原。キャラクタは略すな。作者に消されっぞ」
「マジで?」
「嘘(本当)」
「同じネタはやめろよな! つうか、どんだけ言葉の後ろにマーク付けんだよ!! 適当なんだから無駄に努力するなよな!!!」
「そこはあれでしょ。頑張って書きましたよ、って姿の表れじゃない?」
「そうだぞ、春原。あんまり苛めてると突然本編もなく終わっちまうぞ」
「嘘なんだろ?」
「本当(本当)」
「そこはマジなんですか!? どんだけテンション変化大きいの!? 気力値くらい安定しとけよな!!」
「いや、脱力とか掛けられてんだよ。もしくは、マホトラとか」
「ネタに苦しむ作品にはなりそうね」
「そこも含めてだな……、えっ、この回はもう終わり? マジですか? つうことで、次回よろしく!!」
「「「じゃな」」ねぇー」
≪後書きではないようなあるような≫
「って本当に終わりっすか!?」
「ああ、何でも『次回までにはタイトル決めたいなぁ』とかぼやきながらキーボード打ってて気分が落ちたらしい」
「ホント、これ大丈夫なんですか!?」
「まあ、0回だし、終わっても良いんじゃない? 連載だかどうだかわからないし」
「だよな」
「本当、不安だよ」
「まあ、あれだな、取り合えずお開きにしますか」
「そうね。私も椋と約束あるしね」
「んじゃ、僕も」
「じゃーな」
(といいますか、本当短くてすいません)